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髙木パルセイロが歩んだ3カ月。最終節で語った“正しさ”とは

「皆が手を取り合い進もうとしている道は、100%正しい。彼らが表現してくれたフットボールは、100%正しい。自信を持って言い切れる」。最終節のセレモニーで、髙木理己監督はそう力を込めた。

「正しさ」とは何なのか。曖昧で抽象的な言葉だが、番記者という立場からすれば腑に落ちるものがあった。

大きく変えたのは、戦術ではなく意識

序盤戦は開幕戦勝利に始まり、クラブ史上初となる第7節以降の首位。同じくシーズン2度目の首位に立つなど、好スタートを切った。第10節・松本戦では、信州ダービーでのJ初勝利を収める。飛ぶ“雷鳥”をも落とす勢いがあったが、その後に待っていたのは急降下だった。クラブワーストとなる9試合勝ちなしと失速し、一時は回復の兆しも見られたものの、好転しきれず。第24節・奈良戦での敗戦後、成績不振によってシュタルフ悠紀監督が解任となった。

シュタルフ長野の終幕。生まれた一体感、噛み合わなかった歯車

後任を託されたのは、髙木理己監督だ。今季は今治を率いて上位争いにとどまっていたが、連勝を重ねられず。4位のチームを解任となり、約1カ月を経て長野へ渡ることとなる。シュタルフ前監督とはS級ライセンス講習の同期。チームコンセプトとして掲げられた『ORANGEの志』を引き継ぐ構えを示した。

マインドを継承しつつも、スタイルに関してはひとえに継承とは言い難い。DAZNの実況に耳を傾けると、「明らかに変わった」と言う者もいれば、「踏襲した」と表現する者もいた。捉え方は見方や立場によっても異なるだろうが、筆者としては前者のほうがうなずける。

初陣まで残された準備期間は4日。初めに行ったボールトレーニングは、4対1のロンドだった。何気ないメニューではあるものの、そこにエッセンスを取り入れる。縦に刺す意識を高めながら、1タッチ制限によってテンポも加えることで、選手に動きが出てきた。序列がフラットになって目の色も変わり、初日から「明らかに変わった」と感じたことを覚えている。

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