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2月1日のニュース
スランゴールはファイサル・ハリムとの契約延長を発表も、ブレンダン・ガンの去就は未だ決まらず
ACL2出場のスランゴールは本拠地の客席増設もピッチの張り替えはなし
ディオン・コールズはマレーシアよりも日本や韓国への移籍を望む

今朝のイラン対シリア戦はPK戦にも連れ込む熱戦を経てイランが勝ち抜け、これでいよいよベスト8が全て決まったアジアカップ2023で。しかし既に敗退したチームは次の目標に向かって動き始めています。グループリーグで敗退したマレーシアは5月10日に開幕する2024/25シーズンを前に2月3日から今年1度目のトランスファーウィンドウが開き、選手の移籍が活発化しそうです。またお隣インドネシアからは代表を初めてアジアカップのベスト16へ導いた韓国出身のシン・テヨン(申台龍)監督が他国から代表監督就任のオファーを受けたことを明らかにして物議を醸しています。

スランゴールはファイサル・ハリムとの契約延長を発表も、ブレンダン・ガンの去就は未だ決まらず

スーパーリーグのスランゴールFCはクラブ公式SNSで、代表でもプレーするFWファイサル・ハリムと今季の契約を結んだことを発表しています。アジアカップを終えてカタールから帰国して間もないファイサル選手は、シンガポール代表のDFサフワン・バハルディン、マレーシアU23代表のムカイリ・アジマルらとともに今季もスランゴールでプレーすることになりました。ファイサル選手は昨季開幕前にトレンガヌからスランゴールに移籍し、スランゴールでの1年目は28試合に出場して13ゴール11アシストの成績を挙げ、2022年シーズンのリーグ5位から2位へと躍進した立役者の1人です。

アジアカップではグループステージで敗退したものの、韓国のイ・ガンイン(李康仁、パリサンジェルマン)、上田綺世(フェイエノールト)らとともに第3節のベストXIの1人にも選ばれるなど、今やマレーシア代表の顔とも言えるファイサル選手の残留が決まったことで、来季のスランゴールの布陣も徐々に明らかになっています。

しかしその一方で、同じ代表選手のMFブレンダン・ガンについては契約延長が発表されておらず、スランゴールサポーターをヤキモキさせています。昨季はスランゴールでキャプテンを務めたガン選手は、今季の契約はアジアカップ後に決めたいと自ら話していましたが、先日のアジアカップ韓国戦では大会初出場初先発ながら、後半ロスタイムに交代するまでプレーし、存在感を見せたことから、36歳のガン選手に対してスーパーリーグのサバFCやスリ・パハンFCが獲得に動いているという噂もあります。

昨季はリーグ2位にとなり、今季はACL2に出場するスランゴールFCは若い選手が多く、プレーだけでなく精神的支柱としてのガン選手の存在は欠かせません。2016年のAFCカップ以来8年ぶりとなるアジアでのプレーも踏まえて考えると、少なくとも今季はチームにいてもらいたい選手ではないでしょうか。

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ガン選手は2021年7月に初期の精巣がんと診断され、2022年シーズンの終盤に復帰するまで1年以上にわたりサッカーから離れて治療を受けるなど、紆余曲折がありながらのアジアカップ出場でした。大会後には自身のSNSに投稿し、闘病生活からアジアカップという舞台に立つにいたった自身の人生には忍耐力が不可欠だったと語り、不可能を可能をするには「夢を持ち続けることが鍵だ」 というメッセージを投稿しています。

ACL2出場のスランゴールは本拠地を改修して客席数を増員もピッチの張り替えはなし

今季から始まるACL2に出場するスランゴールFCは、本拠地であるMBPJスタジアムのを改修することを発表しています。スポーツ専門メディアのスタジアム・アストロによると、新たな座席を導入する他、ウルトラスのエリアに屋根がつけられ、ピッチの周りの陸上競技用トラックの部分は人工芝で覆われるということです。

しかしピッチに関しては、新たな排水システムを導入する一方で、同時にピッチの芝の張り替えを行うとプレシーズンに間に合わない可能性があることから、張り替えは行わないと、スランゴールFCのジョハン・カマルCEOは説明しています。

「芝を張り替えてからピッチが使用可能になるまでには6ヶ月から8ヶ月が必要で、5月に開幕する今季のスーパーリーグには間に合わない。今回導入する新たな排水システムにより、ピッチ上に水が貯まることもピッチが水田の様になる心配がなくなり、選手のケガも防ぐことができる考えている。」

またジョハンCEOは、マレーシア政府青年スポーツ省(KBS)が主導し、ジョホール州皇太子(ただし今月から父君のスルタン・イブラヒム殿下がマレーシア国王に就任したため、現在の正式な肩書きはジョホール州皇太子ではなくジョホール州摂政)のイスマイル殿下が一部の費用を負担するピッチ張り替え資金については、考慮はした結果、使用しないとも話しています。

スタジアムを所有するプタリン・ジャヤ市と協力して、既にメインスタンドの改修に加えて、音響や照明についても改修が終わっていると説明したジョハンCEOは、昨季は同じMBPJスタジアムを使用したPDRM FCが同じスランゴール州のスラヤンスタジアムに本拠地を移すことも明らかにした他、リーグ期間が今年5月から来年4月までと従来よりも5ヶ月長くなったことから、クラブの運用資金が30%ほど増額されたことも発表しています。

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2年間かけて秋春制へ移行する過程にある今季のマレーシアスーパーリーグは、5月開幕、来年4月閉幕の長丁場となっています。日本の様な四季はないマレーシアですが、季節は大きく乾季と雨季に分かれ、従来はリーグ戦が行われていなかった12月から2月はマレー半島では雨季にあたります。雨季以外でも集中豪雨が起これば、排水システムが機能していないピッチでは、その上に水溜りができ、ボールが止まってしまうため、ピッチの排水システムはどのクラブにとっても最重要です。しかしACL2に出るクラブであれば、マレーシアで一般的なカウグラス(アカツメクサ)からKBSが張り替えを奨励している高麗芝の一種ゼオン・ゾイシア芝への張り替えも同時に行って欲しかったところです。

ディオン・コールズはマレーシアよりも日本や韓国への移籍を望む

アジアカップ2023に出場したマレーシア代表のメンバーでは、ジュニオール・エルドストール(インドネシア1部デワ・ユナイテッド)とともに「海外組」の1人だったディオン・コールズ。所属するタイ1部ブリーラム・ユナイテッドでは昨季の国内三冠に貢献する活躍を見せていますが、マレーシアメディアの取材に対して、マレーシアクラブへの移籍については、現在は考えていないと答えています。

サラワク州クチン生まれながら、父親の母国であるベルギーで育ったコールズ選手は28歳で、ベルギーU18、U19、U21代表など年代別代表でのプレー経験があり、ベルギー1部のクラブ・ブルッヘ、デンマーク1部のFCミッティランなどでプレーした後、昨季途中にブリーラム・ユナイテッドへ移籍しています。欧州クラブからタイのクラブへ移籍したことで、次はマレーシアへの移籍の可能性を問われたコールズ選手は、「まだマレーシアリーグでプレーするときではない」と話す一方で、JリーグやKリーグへの移籍を希望していると、スポーツ専門メディアのスタジアム・アストロの取材に答えています。既に秋春制に移行しているタイリーグは今年の6月に2023/24シーズンが終了しますが、今季終了後についてはまだ何も決まっていないと話しています。

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ヨーロッパからタイへの移籍は、リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFCの代表選手コレクションに加わる布石ではないかといった憶測もある中での発言ということで注目を浴びています。個人的にはACLに出場する日本や韓国のクラブが獲得に動いてくれると面白いと思うのですが、どうなるでしょうか。

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