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8月3日のニュース
邦本宜裕選手がリーグ9連覇中の王者ジョホール加入か
クランタンが4名の外国籍選手獲得も色々と問題あり
スーパーリーグの2チームが同一選手をそれぞれ新加入選手として発表
アイディル前クダ監督は噂通りクチンシティ監督に就任

一昨日8月1日は今年2度目のトランスファーウィンドウ最終日でしたが、新規選手獲得禁止処分が解かれたリーグ最下位のクランタンFCが駆け込みで4名の外国籍選手を獲得するなどいくつか動きがありましたので、今日は移籍・新加入選手に関するニュースを中心に取り上げます。

邦本宜裕選手がリーグ9連覇中の王者ジョホール加入か

マレーシアスーパーリーグに新たな日本人選手がやって来るようです。スーパーリーグで9連覇中のジョホール・ダルル・タジム(JDT)のチーム公式SNSでは、日本を匂わせるようなティーザー動画がアップされていますが、マレーシアの噂系サイトではポルトガル1部のカーザ・ピアACから邦本宜裕選手が移籍するような記事が上がっています。

国内リーグは開幕から18連勝中で、既に2位のスランゴールと勝点14をつけ、今季のリーグ優勝もほぼ手中にしているチームが目指すのは、ACLで昨季のベスト16以上の成績を残すことです。そこでACLでのプレー経験がある邦本選手に白羽の矢が立ったのかもしれません。韓国リーグでは慶南FCや全北現代で活躍しながら、不祥事で退団しポルトガルへ移ると、そこでも活躍している選手です。実力も実績もある選手であることは周知の事実なので、マレーシアリーグでの日本人選手の評価を上げるためにも入団の暁には、ぜひ、活躍してほしいです。

クランタンが4名の外国籍選手獲得も色々と問題あり

今年2度目のトランスファーウィンドウ最終日となった昨日8月1日に、リーグ最下位のクランタンFCが5名の外国籍選手と1名のマレーシア人選手の加入を発表しています。クランタンFCは4月と5月分の選手への給料および日本の年金に該当する労働者積立基金EPFの雇用主負担分の支払いを行なっておらず、マレーシアフットボールリーグMFLの独立組織でクラブライセンスの交付を行う第一審機関FIBから7月3日に新規選手獲得禁止処分を科されていましたが、その後、「支払い済みを証明するための必要書類が提出された」ことを理由にFIBが7月28日に処分解除を発表していました。

今回のトランスファーウィンドウでクランタンFCに加入したのは以下の選手です。
FWデニス・ブシェニング(タイ、タイ3部MHナコーンシーから移籍)
マレーシアスーパーリーグでは2020年シーズンにはサバFC、21年シーズンにはUITM FC(現在はMリーグから脱退)、そして昨季22年シーズンにはクダ・ダルル・アマンFCでもプレー経験があり、通算成績は3シーズンで合計14試合出場6ゴール1アシストの記録を持っています。

DFアリー・セサイ(シエラレオネ、香港1部理文(リー・マン)FCから移籍)
英国生まれながら、シエラレオネ代表でのプレー経験もあるセサイ選手は28歳ながら、英国の株リーグやスウェーデン、ブルガリア、アゼルバイジャンリーグでプレーした後、インドネシア1部プルスバヤ・スラバヤやPSISスマランでもプレー経験があります。なおシエラレオネ代表としてのキャップ数は10。

MFアフメド・マグディ(エジプト、エジプト1部アル・ムカウルーン・アル・アラブSCから移籍)
今回が初めての東南アジアのリーグ参戦となる33歳のアフメド選手は、2012年のロンドンオリンピックに出場したU23エジプト代表のメンバーでした。

GKアリアクバル・アフメディ(イラン、イラン3部 Vahdat Aghashtから移籍)
イランのU19代表で数試合の出場経験があるアリアクバル選手も東南アジア初参戦です。

なおクランタンFCは2度目のトランスファーウィンドウが開く前に、開幕から在籍していたDFミゲル・フエンテス、MFマリオ・アルケス(いずれもスペイン)、FWイスマヒル・アキネード(ナイジェリア)、FWヌハ・マロング(ガンビア)の4名の外国籍選手との契約を解除していました。

クランタンFCの監督には、アルゼンチン出身で昨季はインドネシア1部ペルシタ・タンゲランでシーズン終了直前まで監督を務めたアンヘル・アルフレド・ヴェラ氏が就任しています。インドネシアリーグでは、プルシタ・タンゲランの他にもプルシプラ・ジャヤプラ、プルスバヤ・スラバヤ、プルシバ・バリクパパンで監督を務め、2016年シーズンにはプルシプラ・ジャヤプラの監督にシーズン途中で就任しながら、チームを優勝に導いています。インドネシアリーグに長く在籍したことで、インドネシア語が担当なヴェラ監督が、この新戦力を得てどのような戦いを見せてくれるのでしょうか。

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4名の新外国籍選手加入が発表されたクランタンですが、実はチーム公式SNSでは大量7名の外国籍選手加入が紹介されていました。しかし上で取り上げた4名以外の選手とは最終的に契約に至らなかったことが複数のメディアで報じられています。

加入が発表されながら、結局、契約に至らなかった一人はトレンガヌFCでプレーするFWジョーダン・ミンターでした。トミスラフ・スタインブリュックナー監督が就任した今季は昨季に比べて出場機会を減らしているミンター選手は、戦力が不十分なクランタンFCに移籍することで多くの出場時間を得られる可能性があり、十分に考えられる移籍でしたが、チーム公式SNSでミンター選手加入を知らせる投稿がされてから程なくして、投稿が削除されました。

またかつてクダ・ダルル・アマンFCやスランゴールFCでプレー経験があるMFアンディク・ヴェルマンサもクランタンFCのチーム公式SNSで加入が発表されながら、結局、契約に至らなかった選手です。2013年にはヴァンフォーレ甲府へ「練習生」として参加したこともあるアンディク選手は、その年の12月にスランゴールFCへ加入し2014年から4年間プレーし、2018年にはクダ・ダルル・アマンFCでもプレー経験があります。そのアンディク選手も契約について協議していながら、いわゆる「ドタキャン」になってしまったようです。そして3人目の選手の話が次の記事になっています。

スーパーリーグの2チームが同一選手をそれぞれ新加入選手として発表

上の記事で取り上げたクランタンFCの新加入選手ですが、実はチーム公式Facebookでは、以下の選手も新加入選手として発表されていました。

FWユセフ・エゼジャリ(スペイン、タイ1部コンケーン・ユナイテッドから移籍)
2021年からインドネシア1部のプルシク・ケディリ、バヤンカラFCなどでプレーし、昨季はタイと東南アジアでプレー経験を持つストライカーです。

このブログに記事を書く際に私は、選手の経歴を確認するためにトランスファーマルクトを使うのですが、このエゼジャリ選手のページを見ると現在の所属がクランタンFCではなく、同じスーパーリーグのヌグリスンビランFCになっていることに気づきました。そしてその後、ヌグリスンビランFCのチーム公式SNSを見るとエゼジャリ選手の加入が発表されていました。

この奇妙な状況に頭が混乱していたのですが、そんな中でマレーシア語紙ブリタハリアンが速報を掲載し、その背景が説明されています。このエゼジャリ選手の代理人とされる人物が自身のインスタグラムでクランタンFCに対して公式謝罪し、エゼジャリ選手は7月31日にクランタンFCとの契約書に署名した一方で、一昨日8月1日にはヌグリスンビランFCとの契約書にも署名をしていたことを明らかにしています。さらにエゼジャリ選手が複数のチームの契約書に署名していたことは知らされていなかったとしながらも、このような行為は到底許されることではないとして、エゼジャリ選手と話し合いを持つということです。(以下は左がクランタンFCの、右がヌグリスンビランFCのそれぞれチーム公式SNSで告知されたエゼジャリ選手の加入)

アイディル前クダ監督は噂通りクチンシティ監督に就任

スーパーリーグで13位で谷川由来選手が所属するクチンシティFCは、シンガポール出身でクダ・ダルル・アマンFC前監督のアイディル・シャリン氏が監督に就任することをチーム公式SNSで発表しています。なお契約期間は今季終了までということです。

クチンシティFCは今季開幕戦でクランタンFCを破り、2部プレミアリーグから昇格した6チームの中では最速で1部スーパーリーグで勝利を挙げたものの、その後は0勝4分13敗と苦しみ、先月にはイルファン・バクティ監督とスライマン・フシン コーチがそろって辞任していました。そしてその後任として噂されていたのが、昨季途中からインドネシア1部リーグのプルシカボ1973の監督に就任し、今季2023/24シーズン開幕から4試合を終えて突然、監督を辞任していたアイディル氏でした。

就任記者会見の様子を伝えたマレーシア語紙ウトゥサンボルネオ電子版では、アイディル新監督の「自分の仕事は、自信を持って勝利を目指せるように選手の士気を高めることだ。」とのコメントを掲載し、さらにチームワークとハードワークをチームに求める一方で、ピッチ上で監督、コーチと選手が実力を出し切れるようにしたい、とも話しています。

またチームも退団したGKジュリアン・シュワルツァー(インドネシア1部アレマFCへ移籍)、MFデシ・マルセルに代わり、ナミビアとタジキスタン出身のDFとFWを獲得する予定も明らかにしており、既にクランタンFCから獲得した2021年2部プレミアリーグのマレーシア人得点王FWヌルシャミル・アブドル・ガニ、そしてプルシカボ1973ではアイディル監督のもとでプレーしたFWペドロ・エンリケ・コルテス、MFブルーノ・ジバウのブラジル出身コンビなど新戦力も補強されており、あとはアイディル監督のお手並み拝見、と言ったところでしょうか。

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