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2023マレーシアスーパーリーグ
第8節結果とハイライト映像-首位攻防戦はジョホールがクダを粉砕、監督交代のクランタンは連敗が止まらず

4月9日と10日にマレーシアスーパーリーグ第8節の7試合が開催されています。今節は日曜日と月曜日という通常とは異なる開催日ですが、これは4月8日がヌズール・コーランというイスラム教の祝日だったことによります。マレーシアではラマダン(断食月、イスラム暦では9番目の月)の17日がこのヌズール・コーランに当たりますが、この日は神が預言者ムハンマドに啓示を始めた日ということになっており、国民の祝日になっています。(試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年4月9日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:3,584人
トレンガヌ 2-0 クチンシティ
⚽️トレンガヌ:ジョーダン・ミンター2(22分、53分)
🟨トレンガヌ:シャールル・ニザム
🟨クチンシティ:シロジディン・クズイエフ、ヒディール・イドリス
MOM:ジョーダン・ミンター(トレンガヌ)

 トレンガヌがジョーダン・ミンターの2ゴールで3連勝しています。
新外国籍選手が活躍しないことからやっと出番が回ってきたジョーダン・ミンターが、3試合連続先発となったこの試合でも前後半にそれぞれゴールを決め、出場5試合で4ゴールと調子を上げてきています。
また、開幕戦の勝利以降、引き分けを挟んで6連敗となったクチンシティのイルファン・バクティ監督は、この日のトレンガヌは決して良いプレーをしたわけではないと話す一方で、クチンシティーの選手たちが試合を通して集中力が続かなかったことと、つまらないミスを繰り返したことが敗因と分析するコメントを出しています。とは言え、ここまでの8試合でわずか4ゴールではなかなか勝機はなさそうです。クチンシティには昨季の2部プレミアリーグでは11ゴール(17試合出場)で得点王となったアブ・カマラがいますが、ここまで2ゴール(8試合出場)とスーパーリーグの壁に突き当たっています。
クチンシティーの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2023年4月9日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:1,224人
ペナン 4-2 PDRM
⚽️ペナン:ジェームズ・オクゥオサ(11分OG)、スーニー・サアド2(17分、69分)、ラフマット・マカスフ(90分+3分)
⚽️PDRM:マーカス・マコーレー(3分)、アズミ・ムスリム(28分)
🟨ペナン:ハディン・アズマン、ニック・アキフ・シャヒラン
🟨PDRM:ファディ・アワド、マーカス・マコーレー、ノルフィクリ・タリブ
🟥PDRM:ファディ・アワド(🟨x2)
MOM:スーニー・サアド(ペナン)

 合わせて6ゴールの派手な撃ち合いを制したペナンが2連勝。
お互い点の取り合いとなった前半は、リードしたペナンにPDRMが追いつく展開となり2-2で折り返しました。後半に入ると53分にはスーニー・サアドがフリーキックからこの試合2ゴール目となる30メートルのミドルシュートを決めて、ペナンが再びリードを奪い、さらに69分にはラフマット・マカスフのゴールで追加点を挙げて、そのまま逃げ切っています。ペナンはこの勝利で順位を2つ上げて8位に浮上しています、
PDRMは自殺点でペナンに先制点を献上したものの、そこから2-2まで追いついた前半40分に、司令塔のファディ・アワドが2枚目のイエローで退場となったことが響き、逆転には至りませんでした。
PDRMの鈴木ブルーノ選手は76分から途中出場して、試合終了までプレーしています。

2023年4月9日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:13,722人
ジョホール・ダルル・タジム 6-0 クダ・ダルル・アマン
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ(23分)、フェロズ・バハルディン(48分)、オスカル・アリバス(50分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(53分PK)、アリフ・アイマン(77分)、レアンドロ・ヴェラスケス(86分)
🟨ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ
🟨クダ:マヌエル・オット
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)

 1位ジョホールと2位クダの対戦は、首位攻防戦と呼ぶにはあまりにも一方的な試合でした。
追随するスランゴールとサバをいずれも4-0で撃破したジョホールが、2位のクダを6-0と粉砕しています。しかも6ゴールをいずれも異なる選手が決める選手層の厚さは、もうマレーシアでは誰にも止めることはできなそうです。
この日のゴールで7得点目(8試合)を決め、得点王争いの首位を守ったフェルナンド・フォレスティエリ、それ2点差でを追う若きエース、アリフ・アイマン、その後にいずれも4ゴールで続くジオゴとフアン・ムニスと、昨季のリーグ得点王ベルグソン・ダ・シルヴァが出遅れても、開幕からの8試合で挙げた得点が36点、しかも失点はわずか1点と無双状態です。今季はまだ3分の1しか終わっていませんが、既にジョホールの10連覇が見えてきました。
クダはジョホールの早いペースに圧倒されながらも前半を0-1で折り返して、後半に期待を抱かせましたが、48分にアリフ・アイマンのゴールで0-2とされると、そこからの5分間でさらに2点を失うなど、堰を切ったように崩れてしまいました。

2023年4月9日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:5,761人
スランゴール 3-0 クランタン
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ(28分)、ラウフ・サリフ2(80分、90分)
🟨スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ、ヤザン・アル=アラブ、V・ルヴェンティラン
🟨クランタン:ジェラルド・ガディット
MOM:ラウフ・サリフ(スランゴール)

 第5節でジョホールに0-4と一蹴された後の2試合では5得点2失点で2連勝中のスランゴールが、新監督が就任したばかりのクランタンを一蹴して連勝を3に伸ばすとともに、2位に浮上しています。
この試合のヒーローはガーナ出身の20歳FWラウフ・サリフでした。第2節のクチンシティ戦以来となった今季2試合目の出場は73分からだったものの、そこから今季初ゴールを含む2ゴールを決め、終始、試合を優勢に進めながら、28分のエイロン・デル・ヴァイエのゴール以降は得点がなかったスランゴールの勝利を確実なものにしています。
この試合前日にテクニカルディレクターのフランク・ベルンハルトが、「休養」中のチェ・ムンシク監督に代わり正式に新監督に就任することが発表されましたが、流石に監督が代わって改善するほどチーム状況は良いわけではありませんでした。試合後の会見では選手のフィットネスレベルの低さを指摘したベルンハルト新監督ですが、8試合で1勝の原因は果たしてそこなのでしょうか。

2023年4月10日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:2,811人
スリ・パハン 1-0 クランタン・ユナイテッド
⚽️パハン:ステファノ・ブルンド(90+3分)
🟨パハン:なし
🟨クランタン:なし
MOM:ステファノ・ブルンド(スリ・パハン)

今季のパハンは、新加入のステファノ・ブルーノを加えてトップチームに7人のセンターバックがいますが、ファンディ・アフマド監督はDF陣と起用する以外に、そのステファノ・ブルンドや今季2年目のシェルゾド・ファイジエフらをMFとして起用したり、その他のセンターバックをローテーションさせるなどの采配を見せていますが、それが功を奏し、失点はリーグ最小のジョホールに次ぐ2位で6点、しかもパハンはジョホールと並んで今季まだ無敗と、ファンディ監督の構想がチームの好成績を生み出しています。守備が安定すれば、あとはゴールを決めるだけですが、この試合でもロスタイムの90+3分にステファン・ブルーノが191cmの高さを生かしたヘディングで、セットプレーからゴールを決め、パハンが1−0でクランタン・ユナイテッドを破っています。
土壇場で失点したクランタン・ユナイテッドは今季未だ勝利がなく、0勝2分6敗で最下位のままです。

2023年4月10日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:1,260人
KLシティ 1-0 ペラ
⚽️KLシティ:セバスチャン・アヴァンジーニ(45+3分)
🟨KLシティ:T・サラヴァナン
🟨ペラ:シャフィジ・イクマル、ルチアーノ・ガイコチェア、イクワン・ハフィゾ
🟥KLシティ:T・サラヴァナン(🟨x2)
MOM:ジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティ)

KLシティが辛勝で今季2勝目
前節に今季初勝利を挙げたKLシティが2連勝しています。前半終了間際に相手ペナルティエリアの外でKLシティが得たフリーキックは、ペラGKのT・シャヒースワランに防がれたものの、そのこぼれ球をセバスチャン・アヴァンジーニが押し込んでKLシティが先制して前半を折り返しました。しかし64分には、T・サラヴァナンがこの試合2枚目のイエローで退場となり、KLシティは10人になってしまいました。数的有利から若手主体のペラは好機を作るものの、シュートの精度を欠き得点できず、KLシティが逃げ切って2連勝しています。

2023年4月10日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:1,738人
ヌグリスンビラン 1-1 サバ
⚽️ヌグリスンビラン:トミー・マワト(21分)
⚽️サバ:パク・テス(76分)
🟨ヌグリスンビラン:ザイナル・アビディン、サフワン・バハルディン、カサグランデ、ハフィズ・ラムダン
🟨サバ:パク・テス、サディル・ラムダニ
MOM:シーク・イズハン・ナズレル(ヌグリスンビラン)

 開幕から4勝1分と好調だったサバは、第6節でジョホールに0-4と大敗すると、次節第7節ではKLシティに今季初勝利を許し2連敗。開幕からの5試合では2部プレミアリーグからの昇格組との対戦も多かったことから15得点5失点だったチームは、ジョホール戦とKLシティ戦の2試合では0得点6失点と、開幕当初の勢いを急速に失いつつあります。
昨季からスーパーリーグでプレーするヌグリスンビランとの試合でも、昨季まで鯖に在籍しながらシーズン途中で退団したトミー・マワトに21分に先制ゴールを決められて、後手に回ってしまいます。
後半の76分には、FWダレン・ロックに代わってチームのエースとなったMFパク・テスのゴールで追いつきますが、反撃もここまで。連敗は止まったものの、昨季スーパーリー在籍のチームとの対戦成績はこれで1勝2分2敗となり、昨季の3位からさらに上位を目指すサバにとっては苦しい試合が続いています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第8節終了時)

順位 チーム 勝点
1 JDT 8 8 0 0 36 1 35 24
2 SEL 8 6 1 1 17 8 9 19
3 SRP 8 4 4 0 14 6 8 19
4 KDA 8 5 1 2 13 11 2 16
5 SAB 8 4 2 2 16 12 4 14
6 TRE 8 4 1 3 11 6 5 13
7 PDRM 8 3 1 4 7 11 -4 10
8 KLC 7 3 2 3 8 10 -2 9
9 NSE 7 2 3 2 9 14 -5 9
10 PEN 8 2 2 4 12 15 -3 5
11 PRK 8 1 2 5 4 16 -12 5
12 KCH 8 1 1 6 4 17 -13 4
13 KEL 8 1 1 6 9 25 -16 4
14 KLU 8 0 2 6 5 13 -8 2
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第8節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)

順位 選手名(所属チーム) シュート 枠内S アシスト
1 フェルナンド・フォレスティエリ(JDT) 7 29 16 5 8
2 アリフ・アイマン(JDT) 5 13 7 5 8
エイロン・デル・ヴァイエ(SEL) 5 15 11 0 8
ステファノ・ブルンド(SRP) 5 14 5 0 7
パク・テス(SAB) 5 14 7 0 7
6 ハサン・サアド(PEN) 4 18 9 0 7
ジョーダン・ミンター(TRE) 4 10 6 1 5
ジオゴ(JDT) 4 11 6 2 5
フアン・ムニス(JDT) 4 18 10 0 6
クパー・シャーマン(SRP) 4 10 5 2 7
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC
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