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安倍乃花の土壇場弾で連勝。劣勢、疲労、アクシデント乗り切る【監督、選手コメント付き】

写真提供:WEリーグ

AC長野パルセイロ・レディースは11月24日、WEリーグ第3節をアウェイ・ヨドコウ桜スタジアムで迎え、セレッソ大阪ヤンマーレディースに1-0と勝利した。

ホームでの前節から中4日の連戦下で、先発を1人変更。奥津礼菜に代わって鈴木日奈子が入った。攻撃時は4-3-3、守備時は4-4-2の布陣を敷く。序盤から相手のビルドアップに対し、ハイプレスが機能。アンカーの脇阪麗奈を消しつつ、強度の高いアプローチからカウンターへと繋げる。相手のミスを誘ってボールを奪い、川船暁海らが積極的にシュートを放った。

カウンターだけでなく、ビルドアップでもテンポよく前進。前半だけで7本ものCKを得る。高さでは分があるものの、なかなかフィニッシュに至れず。C大阪に決定機を作らせなかった一方、逆に決定機を生かしきれなかった。

スコアレスで迎えた後半、C大阪は2枚替えを敢行。4-3-3から慣れ親しんだ4-4-2に戻してギアを上げる。AC長野はセカンドボールが拾えず、奪ってもパスが繋がらない。2枚替えで対抗してやや盛り返したかに見えたが、依然として苦しい時間が続いた。

それでも後陣が持ち堪えた。橋谷優里が負傷交代するアクシデントもあったが、奥川千沙と岩下胡桃のセンターバックコンビがリスク管理を怠らず。スピードのある矢形海優と田中智子の2トップに対し、なんとか食らいつく。粘り強い守備からカウンターに持ち込み、78分には福田ゆいのCKから安倍乃花がヘッド。途中出場の安倍とタニガーン・デーンダーの高さを生かそうと試みた。

そして90+2分、ついに均衡が破れる。大久保舞が滞空時間の長いボールを放り込むと、ペナルティエリア右で待ち構えた安倍がヘッドで競り勝つ。ボールはGKの頭上を超え、プロ初ゴールとして吸い込まれた。直後にタイムアップのホイッスルが鳴り、廣瀬龍監督体制で初の連勝。3連戦の半ばを勝利で乗り越えた。

開幕から3試合を終え、暫定5位とトップハーフに浮上。次節は中2日で、3位のアルビレックス新潟レディースとのホームゲームに挑む。

以下に廣瀬龍監督、安倍乃花、大久保舞、菊池まりあ、奥川千紗のコメントを掲載する。

 

■廣瀬 龍監督

――まずは試合の総括をお願いします。

前節の広島戦では、前へ、前へというサッカーが功を成して勝てました。今日も同じ方向、狙いを持ってスタートしました。前半はセレッソを相手に押し込みましたけど、決定打がなかったです。こういうゲームで点が入らないと、些細なことでやられてしまうのではないか。そんな前半でした。

後半は一つそこを引き締めて、ディフェンスラインのイージーミスがないように。または攻撃陣がシュートで終わったり、前方でプレスをかけることを、チームのために懸命にやろうと送り出しました。安倍(乃花)はヘディングが強い選手だったので、投入したのが当たったような形でした。

――前半は相手の脇阪麗奈選手をうまく消しつつ、プレッシングがはまった印象がありました。

球際で攻撃陣が勝っていたり、中盤で勝っていた部分がありました。このまま行って良い形でシュートで終われればと思っていました。何本かシュートは打っていましたけど、可能性のあるようなパターンがあまりなかったです。どうやったら点に近づける形が作れるかということで、前半は悩んでいました。

――後半は苦しい時間が続いた中で、交代によって盛り返した印象もありました。

球際とかの勢いで勝っていた部分があった中で、セレッソはいろいろ改善してくるだろうと思っていました。そこで一つ球際が弱くなったり、プレッシングのタイミングが悪くなったりしたところがありました。いろいろと選手を代えて、最後は攻撃のパターンも何もないですけど、何かしらストロングを持った選手を投入した結果でした。

――守備の強度が弱まったのは、疲労の影響も感じましたか?

川船(暁海)だとかは特に球際を体で持っていくようなタイプなので、見ているよりは疲労があったと思います。

――センターバックを中心にリスク管理を怠らず、2試合連続の無失点となりました。

試合が終わってから言われて、「そうなんだ」と思ったくらいです(笑)。バックラインは集中して前後半をやってくれました。ビルドアップでも彼女たちが良いリズムを作るのが大切で、それはよく言っています。そういうことを忠実にやってくれたおかげだと思います。

――初の連勝でホームに帰ります。中2日と厳しい日程ですが、意気込みを聞かせてください。

日にちがないのはみんな一緒です。この4連戦で一番休みがないところですけど、日頃のトレーニングの成果がチーム全体で出るかどうか。ホームなので、サポーターの力を借りて頑張りたいと思います。

 

■FW 19 安倍 乃花

――橋谷選手の負傷を受けて途中出場しました。

両サイドが代わっていましたけど、(橋谷)優里さんのアクシデントで急きょ出ることになりました。残り時間が少なかったので、自分の得意なヘディング(のチャンス)を待つだけでした。

――大久保選手からボールが来るイメージはできていましたか?

自分が入ったら逆サイドを見てくれているところはありました。そこで来たところを自分が当てるか、決めるか。仕事を果たすしかないと思って入っていました。

――滞空時間が長いボールで、威力を出すのも難しいように見えました。

速いボールが来るかと思いましたけど、思ったよりふわっとしたボールでした。まずは落下地点を読んで、あとは競り勝つだけでした。

――ボールはGKの頭上を超えていきました。

GKも大きくて、止められるかと思っていましたけど、うまく入りました。マイナスで奥津(礼菜)選手と伊藤めぐみ選手も呼んでいました。その声もあったので、少しGKが出たのかなと思うところもあります。

――折り返すという選択もあったのでしょうか?

なかったです。声は聞こえていましたけど、途中出場の自分が結果を残すしかないと思っていました。自分で行っちゃいました(笑)。

――そもそもサイドでの起用というのは、どういう意図だと汲み取っていますか?

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