ボラセパマレーシアJP

3月21日のニュース
W杯アジア予選-マレーシアは選手のフィットネスレベルに不安
大山鳴動して…結局プルリス・ユナイテッドのスーパーリーグ参入は白紙に
給料未払いのクダとKLシティには勝点剥奪処分の可能性をFIBが言及-最悪の場合はクラブライセンス交付取り消しも
スランゴールは今季開幕前に国外クラブを招いてミニトーナメント開催か

いよいよ今日3月21日から2026年W杯アジア2次予選が各地で再開されます。勝点6でD組の首位を走るマレーシアは、この組最強と目される勝点3のオマーンとの首位攻防戦に臨みます。マレーシア時間では3月22日の午前2時キックオフとなるこの試合であわよくば勝点1が取れれば、3次予選進出も見えてきますが果たしてどうなるでしょう。

W杯アジア2次予選-マレーシアは選手のフィットネスレベルに不安

マレーシア時間では3月22日午前2時キックオフとなるW杯アジア2次予選D組第3節のオマーン戦を前に行われた試合前会見でキム監督は「我々の置かれている状況は理想的とは言いがい。12月に昨季の国内リーグを終え、今季の開幕は5月と空白期間が空いている。代表選手は1月のアジアカップ2024以降は実戦の機会がなく、国内クラブの中には未だプレシーズンのトレーニングを始めていないところもある。このためフィジカルの面では明らかにハンデを背負っており、さらに現在はイスラム教の断食月であることもムスリム(イスラム教徒)の選手には負担になっている。」と、特にスタミナ面での不安について述べています。

さらに、この試合前の唯一の実戦となったネパールとの練習試合でも代表チームの全メンバーが揃っていなかったことを明らかにしたキム監督ですが、それでもオマーン戦に向けてできる準備は全て行なったと述べ、お互いに理解しあっている選手たちは試合が始まって10分もすれば連携に問題もなくなるだろうと話しています。

また記者会見に列席したDFディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)は、重要な局面でミスをしないよう心がけたいと話しています。「試合開始から全力で臨む必要がある相手ではあるが、(実践不足から)チームは試合終盤には特に疲れが出ることが予想される。そこで求められるのは精神力の強さであり、それを見せることができれば良い結果をクアラ・ルンプールに持ち帰れると思う。」と語っています。

オマーンは、マレーシアのFIFAランキング132位に対して80位と明らかに格上ですが、アジアカップ2024では2分1敗でグループリーグ敗退が決まると、大会直後に前チェコ代表監督のヤロスラフ・シルハヴィー氏が監督に就任しており、この新監督のもとでどのようなサッカーをするのかが不明です。なおマレーシアとオマーンが最後に対戦したの2016年で、この時はオマーンがマレーシアを6-0と一蹴しています。

大山鳴動して…結局プルリス・ユナイテッドのスーパーリーグ参入は白紙に

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、スーパーリーグ参入のための「特別クラブライセンス」を申請していたプルリス・ユナイテッドFCに対して、独立組織の第一審機関(FIB)がライセンス交付を行わない旨を決定したことを公式サイトで発表しています。この結果、今季のスーパーリーグは13チーム編成となる可能性が高くなりました。

昨季14位のクランタンFCが未払い給料問題を理由にFIBから今季のスーパーリーグ参加に必要なクラブライセンスが交付されないことが決まると、昨季の2部プレミアリーグと1部スーパーリーグの合併により、2部プレミアリーグが休止中であることから、MFLは3部リーグに当たるM3リーグのクラブに対して14番目のチームとなるための特別クラブライセンス申請を受け付けると今年1月に発表しました、

昨年10月にはM3リーグ優勝のイミグレセン(入国管理局)FC、2位KLローヴァーズFC、3位ハリニ・スランゴールや今回のプルリス・ユナイテッドFCを含めたM3リーグの7クラブから出されていたクラブライセンス申請をFIBは「条件を満たしていない」として全て却下していたこともあり、それからわずか数ヶ月後に出されたこのMFLの発表には半信半疑の声も上がりました。

それでもM3リーグの上位3チームとプルリス・ユナイテッドFCがこの「特別クラブライセンス」を申請すると、MFLは昨季のM3リーグトップ3のチームではなく、9勝5分10敗で8位に終わったプルリス・ユナイテッドFCを条件付きながら「特別クラブライセンス」の交付候補として選びました。そしてその理由としてスポンサーによる2500万リンギ(およそ8億円)とされる豊富な運営資金を上げるとともに、500万リンギ(およそ1億6000万延)の小切手のコピー(笑)も提出されたことなどを説明しました。

その上でFIBは、この小切手のコピーにある500万リンギ が実際にクラブの口座にあることを証明する書類を3月9日までに提出、2023年12月分までの給料未払いがないことを証明する書類を3月13日までに提出、スポンサー企業によるクラブに対するスポンサー契約を証明する書類を3月15日までに提出、そしてこれらスポンサー企業から既に一部スポンサー料が支払われていることを証明する書類を3月22日までに提出することを求めていました。しかし、FIBはプルリス・ユナイテッドFCから証明書類が提出されていないとして、今回、シーク・モハマド・ナシルFIB委員長名で特別クラブライセンスの交付を行わないことを決定したことを発表しています。

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昨年10月の時点でにクラブライセンス申請の資格審査に通らなかったM3リーグのクラブがわずか数ヶ月後に同様の審査に通ることなど期待できはずがなく、チーム数を偶数にしたいという単なる数合わせ以上の理由なしにこの特別ライセンスを交付しようとしたことに無理があったように思えます。さらにM3リーグのトップ3を差し置いて、リーグで負け越した8位のクラブを選び、しかもそれが失敗におわるなど、今後のリーグ運営をスチュアート・ラマリンガムCEOを筆頭とした現在のMFL理事会に本当に任せて良いのか、という疑問すら浮かぶ今回の迷走ぶりでした。

給料未払いのクダとKLシティには勝点剥奪処分が科される可能性をFIBが言及-最悪の場合はクラブライセンス交付取り消しも

また同じMFLの公式サイトでは、給料未払い問題を抱えるクダ・ダルル・アマンFCとKLシティFCの状況についてFIBの見解が明らかにされています。これによるとFIBが3月15日までと期限を設けていた未払い給料の50%の支払いについて、両クラブともこれを達成していないということです。

FIBは両クラブが3月30日までに全ての未払い給料を支払わない場合には、今季のスーパーリーグでの勝点剥奪と罰金5万リンギ(およそ160万円)の処分を課すとしています。さらに3月30日までに問題が経血しない場合には、今季リーグ戦に参戦するための十分な資金があるかどうかを再検討し、場合によってはクラブライセンス取り消し処分を科す可能性に言及しています。

とは言え、2部プレミアリーグが休止中の現在は、たとえ勝点0で今季を終えてもカブリーグへ降格する心配どころか、来季もスーパーリーグ残留が明らかな上、給料未払いのクラブにとっては、5万リンギ程度の罰金を払えば、さらに未払い状態を引き延ばせるといった救済措置にもなりかねず、この処分内容は甚だ疑問です。

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上の記事にもあるように、今季のスーパーリーグが既に13チームとなったこともあり、FIBがクダとKLシティにクラブライセンス交付取り消し処分を科すことはまぁないでしょう。昨季の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグ合併により14チーム編成となったスーパーリーグはクランタンFCが脱落した結果、既に13チーム編成となり、ここからさらにクダかKLシティが脱落すれば、MFLによるリーグ合併そのものが失敗だったことにもなります。

この問題の根源にあるのはMFLによるクラブ民営化です。州政府からの公的資金提供なしでのクラブ運営を求めているMFLですが、今回で言えばKLシティFCは未払い給料支払いの原資についてクアラルンプール市役所(DBKL)からの「寄付」で賄うことを表明しており、MFLもこれを認めるなど、そもそも民営化自体が絵に描いた餅だったことを示しています。給料未払い問題がないクラブでも、例えばスランゴールFCはスランゴール州政府からの公金による直接支援はないものの、州首相がトップに鎮座する州政府関連会社がスポンサーになる形で資金提供を受けており、事実上の民営化には程遠い状況です。

スランゴールは今季開幕前に国外クラブを招いてミニトーナメント開催か

バンコクでのプレシーズンのトレーニングキャンプを行ったスランゴールFCは、現地ではいずれもタイ2部リーグのFW下地奨選手が所属するサムットプラーカーン・シティFCとアユタヤ・ユナイテッドFCと試合を行い、サムットプラーカーン・シティには6−0で勝利し、アユタヤ・ユナイテッドFCとは1−1で引き分けています。

そのスランゴールFCは5月の開幕を前に、インドネシア、シンガポール、ブルネイのクラブを招いてミニトーナメントを行う計画があると、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロが報じています。詳細は明らかになっていませんが、スランゴールFCは2020年にバンコク・ユナイテッド(タイ)、プルシブ・バンドン(インドネシア)、ハノイFC(ベトナム)を招いて「アジア・チャレンジ2020」と称した、2日間で4試合を行うミニトーナメントを開催しています。

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