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3月13日のニュース
マレーシアリーグの今季の運営費用は15億円超
U23アジアカップに向けたU23代表候補合宿参加者17名が発表-Y.S.C.Cのルクマンもメンバーに
佐々木匠選手がヌグリスンビランへ加入でMリーグ今季3人目の日本人選手誕生
クランタン・ユナイテッドFCがクランタン・ダルル・ナイムFCに改名

マレーシアは昨日からイスラム教の9月に当たる断食月ラマダンが始まっています。およそ30日間、イスラム教徒は日の出前に食事を済ませ、日没まで水を含め何も口にしませんが、そのラマダン中の3月22日と26日にはW杯アジア2次予選のオマーン戦がアウェイとホームでそれぞれ行われます。3月26日にブキ・ジャリル国立競技場で開催されるホームの試合は、日没とともに明ける断食後に食事をとるイスラム教徒への配慮もあって午後10時キックオフとなることが発表されています。

マレーシアリーグの今季の運営費用は15億円超

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は今季2024/25シーズンの運営費用が5000万リンギ(およそ15億7000万円)となる予想を発表しています。

MFLは今季からVARを導入しますが、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、このVAR導入と運用にかかる費用が昨季に比べて増加するとして、それをカバーする新たな資金源が必要になると説明しています。なおMFLはVAR導入と運用にかかる費用について、これまで970万リンギ(およそ3億円)になると発表しています。

この970万リンギには初期設備投資として、試合会場へVAR設備を移動するためのトレーラーなども含まれるとしています。なおスチュアートCEOは、この移動式VARはスタジアムに常設する場合と比べるとその費用は3倍になるとしていますが、マレーシアのインターネット環境や、スタジアムの状況などを考慮すると現時点では最善の方法であると説明しています。なお、来季以降についてはVAR関連の初期投資費用がなくなるためおよそ三分の一の320万リンギ(およそ1億円)まで減額できるということです。

U23アジアカップに向けたU23代表候補合宿参加者17名が発表-Y.S.C.Cのルクマンもメンバーに

4月15日からカタールで開幕するAFC U23アジアカップ2024。マレーシアU23代表も出場するこの大会に向けて、マレーシアサッカー協会(FAM)は3月17日から始まるU23代表候補合宿の参加者17名を公式サイト上で発表しています。

2024年3月 マレーシアU23代表候補合宿参加メンバー
*は9月のAFC U23アジアカップ予選出場者、#は11月のU23代表候補合宿参加者

氏名 年齢 所属
GK *#ラーディアズリ・ラハリム 23 TRE
*#アジム・アル=アミン 23 SEL
DF #ムハマド・アブ・カリル 19 SEL
*#ウマル・ハキーム 22 JDT II
アニル・ヴィグネスワラン 21 MAN
#アイマン・カイルル・ユスニ 22 PRK
MF #フィルダウス・フアド 22 PRK
*#シャヒル・バシャー 23 SEL
*#ナジムディン・アクマル 21 JDT II
*#ファーガス・ティアニー 21 JDT II
*ウバイドラー・シャムスル 21 TRE II
ファリス・アブドル・ラシド 23 TRE II
*#サイフル・ジャマルディン 22 SRP
FW #ダリル・シャム 22 JDT
#*アイマン・アフィフ 23 KDA
#*アリフ・イクマルリザル・アヌアル 22 PEN
#*ルクマン・ハキム 22 YSCC
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、JDT II-ジョホール・ダルル・タジムII(U23)、TRE-トレンガヌFC、TRE II-トレンガヌFC II(U23)PRK-ペラFC、SEL-スランゴールFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、YSCC-J3 Y.S.C.C.、MAN-ドイツ3部SVヴァルトホーフ・マンハイムU21 

今回のメンバーで注目されるのは、ドイツ3部SVヴァルトホーフ・マンハイムのU21でプレーするDFアニル・ヴィグネスワランです。ヴィグネスワラン選手は2021年からドイツでプレーしており、2021年にも19歳で前回のAFC U23アジアカップ2022予選に出場するU23代表に選ばれました。しかし、この時は代表合宿に一度も参加しないままメンバーに選ばれたため、一部サポーターから疑問の声が上がりました。それと関係しているかどうかは不明ですが、当時のブラッド・マロニー監督は結局、予選3試合で一度もヴィグネスワラン選手を起用しませんでした。今回は合宿からの参加となるヴィグネスワラン選手は、Y.S.C.C.のルクマン・ハキムとともにわずか2名の国外組ですが、期待したいです。

また上の17名の他、3月8日から始まっている2026W杯アジア2次予選のオマーン戦に向けたA代表候補合宿に参加している選手の内、以下の11名については、最終メンバー入りしなかった場合には、そのままU23代表合宿に合流することをFAMは発表しています。(*は9月のAFC U23アジアカップ予選出場者、#は11月のU23代表候補合宿参加者)

P 氏名 年齢 所属
GK シーク・イズハン・ナズレル 22 TRE
DF *#ハリス・ハイカル 22 SEL
*#ジクリ・カリリ 22 SEL
*V・ルヴェンティラン 23 SEL
*#サフワン・マズラン 22 TRE
アザム・アズミ 23 TRE
MF *ムカイリ・アジマル 23
ノーア・レイン 22 SEL
*#T・サラヴァナン 23 SRP
FW ハキミ・アジム 21 KLC
*#アリフ・イズワン・ユスラン 20 SEL
チーム名:TRE-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、PEN-ペナンFC)

なお今回発表されたメンバーから、A代表でも主力として活躍し、1月のアジアカップ2023でもPKを決めている22歳のMFアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)はU23代表候補ではないことも明らかになっています。

マレーシアU23代表は、今回のU23アジアカップではウズベキスタン、クウェート、ベトナムと同じD組に入っており、4月17日に初戦となるウズベキスタン戦に臨みます。

佐々木匠選手がヌグリスンビランへ加入でMリーグ今季3人目の日本人選手誕生

昨季のスーパーリーグでは6勝9分11敗で9位に終わったヌグリスンビランFCが前愛媛FCの佐々木匠選手を含めた新たな加入選手を発表しています。なお佐々木選手についてはSNSでは獲得の噂が出ていましたが、やっと正式に発表されました。

昨季のJ3では22に出場して2ゴールを挙げた、166cmで25歳のMFと紹介されている佐々木選手は、元U20日本代表の経験やMF以外にFWも含めたあらゆるポジションができる選手ともクラブ公式サイト(マレーシア語です)で紹介されており、その期待の高さが感じられます。また佐々木選手は、PDRM FCの鈴木ブルーノ、クチンシティFCの谷川由来両選手に続く、今季のスーパーリーグでプレーする3人目の日本人選手となりました。

ヌグリスンビランはこの他、新たな戦力として元ナイジェリアU17代表で27歳のセンターバック、アリユ・アウドゥ・アブバカル(カザフスタン2部ハーン・テングリFCから移籍)や、昨季はPDRM FCでプレーしたFWジャック・フェイの加入も発表しています。セネガル出身で30歳のフェイ選手は昨季はPDRM FCのセカンドチームでプレーし、20試合に出場し8ゴールを挙げています。また昨季途中にスランゴールFCから期限付き移籍した22歳のミャンマー代表FWハイン・テット・アウンが今季も期限付き移籍でプレーすることや、同じスランゴールFCからU19やU23代表でもプレー経験がある20歳のGKシャーミ・アディブを期限付き移籍で獲得したことも発表しています。

なおヌグリスンビランは今季について、限られた予算により若いマレーシア人選手主体でチーム編成を行うことを表明しており、昨季のキャプテンでクラブのレジェンド的選手でもある36歳のFWザクアン・アドハや、昨季は24試合に出場した代表GKのシーク・イズハン・ナズレル、21試合出場(内17試合先発)のMFトミー・マワトの他、16試合で6ゴール2アシストのFWシャーレル・フィクリらがチームを去っています。さらに昨季の指揮を取ったK・ディヴァン氏が3部リーグのマラッカFC監督就任のため退団した後は、その後任も発表になっていません。

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昨季同様外国籍選手の獲得は5名程度にとどまりそうなヌグリスンビランFCは、マレーシア人選手については大幅な戦力アップはなく、外国籍選手のパフォーマンスが、そのままチームの成績に直結しそうです。外国籍選手は活躍すれば大きな支持が得られる反面、そうでなければ厳しい批判にさらされる中、周辺国に比べると日本人選手の数が少ないマレーシアリーグでの佐々木選手の活躍に期待したいところです。

クランタン・ユナイテッドFCがクランタン・ダルル・ナイムFCに改名

マレー半島の北部、西海岸に面したクランタン州は、クアラルンプールやペナンなどと比べるとイスラムの影響が非常に強い保守的な地域であると同時にサッカーの人気が高い地域でもあります。1946年創設で、クランタン州サッカー協会が運営していたプロクラブのクランタンFAは、赤色が基調になっているクランタン州の旗にちなんだザ・レッド・ウォリアーズ「赤い戦士」の愛称で知られ、2011年と2012年にはスーパーリーグを連覇し、2012年はカップ戦も合わせて国内三冠を達成するなど強豪として知られていました。

しかし2018年に11位となり、翌年から2部プレミアリーグに降格すると、給料未払い問題から戦力補強がままならず、そのまま浮上できませんでした。この間、オーナーがクランタン州サッカー協会から実業家のノリザム・トゥキマン氏に代わり、2023年にプレミアリーグとスーパーリーグが合併する改変により、5年ぶりにスーパーリーグへ復帰したクランタンFCでした、昨季は2勝2分22敗、得点29失点はリーグ新記録となる121で最下位となりました。さらにその後、給料未払い問題が解決されないことから、第一審機関(FIB)は2024/25シーズンに参加するためのクラブライセンスを交付せず、今季は3部リーグのM3リーグに参加することになっています。

このクランタンFCの凋落と相反するように現れたのがクランタン・ユナイテッドFCでした。2016年にクランタン州内リーグの州都コタ・バルのクラブとして発足すると、2019年にはM3リーグまで昇格するとクランタン・ユナイテッドFCと改名し、そのシーズンに優勝を果たして2020年には2部プレミアリーグへ昇格しています。そして昨季のリーグ改変により1部スーパーリーグに初参戦すると、クランタンFCを上回る4勝5分17敗で12位となっています。

そして老舗のクランタンFCが新興のクランタン・ユナイテッドFCを圧倒するという力関係は、今回のクランタンFCのスーパーリーグからM3リーグへの降格により完全に逆転しています。そしてこれに乗じてなのかどうかは分かりませんが、クランタン・ユナイテッドFCは、クラブ名をクランタン・ダルル・ナイムFCへと変更することを、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が了承しています。

ジョホール・ダルル・タジムFCや、クダ・ダルル・アマンFCといったクラブ名に見られるように、マレーシアの各州には正式名称があります。ジョホール州と一般に呼ばれているのはジョホール・ダルル・タジムですし、クダ州の正式名称はクダ・ダルル・アマンです。これに倣う形でクランタン・ユナイテッドFCも、クランタン州の正式名称を使ったクランタン・ダルル・ナイムFCと改名しています。

さらにクラブのロゴを従来の赤、白、緑の組み合わせから、やはりクランタン州旗の赤を前面に出したものに変更していますが、クラブ会長のロジ・ムハマド氏は、このリブランディングはクランタン州のサッカーファンを一つにまとめたいという意思表示であると述べています。さらにロジ会長は今回のクラブ名とロゴの変更をクランタンFCにとって代わろうとする目的ではないと述べていますが、クランタンFCの今後が不透明な中、クランタン州を代表するクラブになる可能性は大と言えるでしょう。

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