ボラセパマレーシアJP

2023マレーシアスーパーリーグ
第12節結果とハイライト映像
ジョホールがパハンとの無敗対決を制していよいよ独走体制に
クランタンUは2度のリードを守れず今季初勝利はお預けに

 5月23日と24日にマレーシアスーパーリーグ第12節が開催されています。首位ジョホール・ダルル・タジム対3位スリ・パハン、2位スランゴール対4位クダ・ダルル・アマンの上位チーム同士のマッチアップがあり、前半戦の天王山ともいえる今節はでしたが、上位チームが順当に勝利を収めています。またクランタン・ユナイテッドとクチンシティの旧プレミアリーグ組がいずれも旧スーパーリーグ組の上位クラブ相手に引き分けて久しぶりの勝ち点を上げています。この他、今節第12節終了後には2勝3分7敗で11位に低迷するペラのリム・ティオンキム監督が解任され、これで今季、解任された監督は3人目となりました。
なお今週末はFAカップの試合があるため、スーパーリーグの次節第13節は10日ほど間を開けて、6月2日から4日に開催が予定されています。
(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年5月23日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:5,666人
サバ 3-1 ペラ
⚽️サバ:ダレン・ロック(4分)、パク・テス(32分)、バドロル・バクティアル(41分)
⚽️ペラ:ハリス・ナイム(83分)
🟨サバ:バドロル・バクティアル、リザル・ガザリ
🟨ペラ:ラジャ・イムラン、サンディ・アフォラビ
MOM:パク・テス(サバ)

 前半だけで3ゴールを挙げたサバ、ペラの反撃を1点に抑えて快勝。
前節はトレンガヌと引き分け、ホームでの連勝記録が5で止まったサバですが、この試合では開始4分にゴール前の混戦からダレン・ロックが2試合連続ゴールとなるシュートを決めて先制すると、32分にはチーム得点王のパク・テスが今季6ゴール目を決め、さらに41分にはキャプテンのバドロル・バクティアもゴールを決め、サバが3-0とリードして前半を終了します。
後半に入ると、ややペースを落としたサバに対し、ペラは前線からプレッシャーをかけて積極的にボールを奪いにかかり、そこからのカウンターへと繋ぐ戦術へと切り替えます。それが功を奏したのが83分のハリス・ナイムのゴールでしたが、前半の大量失点が最後まで響き、試合はそのまま3-1でサバが勝利しています。
なおペラは、この試合の2日後の5月25日にリム・ティオンキム監督の解任を発表しています。第12節を終えて2勝3分7敗の11位という順位は、若い選手が多く、シーズンオフに大型補強を行ったわけでもない現在の戦力では順当とも言えるもので、正直なところ誰が監督になっても状況は急激に改善するとは思えません。

2023年5月23日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:651人
クランタン 1-4 PDRM
⚽️クランタン:ミゲル・シフエンテス(90+4分)
⚽️PDRM:マーカス・マコーレー(15分)、ナビル・ラトピ(33分)、ウチェ・アグバ(65分):鈴木ブルーノ(90分PK)
🟨クランタン:ガファル・アブドル・ラーマン、ヌハ・マロング、キム・ミンギュ、アリプ・アミルディン
🟨PDRM:ファディ・アワド、イザック・イズハン
MOM:ファディ・アワド(PDRM)

 いずれも昨季は2部プレミアリーグでプレーした昇格組同士の対戦となったこの試合は、今季既に3勝を挙げているPDRMが、今季1勝のクランタンを一蹴しています。
選手たちのパフォーマンスがチームが求めるKPI(重要業績評価指標)に達していないとして、次に勝つまで選手の給料を50%カットするとオーナーが発言するなど、ピッチ外での話題が先行するクランタンですが、熱狂的なサポーターが多いことで知られるチームで、今季ここまでのホーム4試合はいずれも5,000名以上の観衆を集めていました。しかしこの日の試合は、5,000名どころか1,000名を割り込み、今季ホーム最小観客数となる651名でした。品質の低いユニフォームを高値でサポーターに売りつけているなどの批判も出ているオーナーのチームをサポーターも見放したのでしょうか。
PDRMの鈴木ブルーノ選手は71分から出場し、今季3ゴール目をPKで決めています。

2023年5月23日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:1,114人
ヌグリスンビラン 3-3 クランタン・ユナイテッド
⚽️ヌグリスンビラン:シャーレル・フィクリ(36分)、ハフィズ・ラマダン(71分)、フィレモン・アニー(90+5分)
⚽️クランタン:O・J・ポルテリア(15分)、シャズワン・ザイノン(33分)、インドラ・プトラ(80分PK)
🟨ヌグリスンビラン:アナス・ラーマット、サフワン・バハルディン
🟨クランタン:O・J・ポルテリア、アシュラフ・オマル、
MOM:サフワン・バハルディン(ヌグリスンビラン)

 クランタン・ユナイテッドがロスタイムの失点で今季初勝利を逃しています。
2連勝で順位を7位まで上げてきたヌグリスンビランが今季未勝利のクランタン・ユナイテッドをホームに迎えたこの試合は、前節で敗れたもののKLシティに善戦したクランタン・ユナイテッドが積極的に攻め、15分に相手DFのミスからボールを奪ったO・J・ポルテリアが3月31日以来およそ2ヶ月ぶりゴールを決めて先制します。さらに33分にはゴール前に上がったクロスをポルテリア選手が頭で落とし、これをシャズワン・ザイノンがノートラップでシュートし、クランタン・ユナイテッドがリードを広げます。しかしその3分後にはヌグリスンビランもシャーレル・フィクリのゴールで1点を返して、前半はクランタンが1点リードで終了します。
後半に入ると両チームとも攻めあぐむ展開となる中、71分にハフィス・ラマダンがペナルティエリアの外から同点ゴールを決めて、試合は振り出しに戻ります。しかし80分には相手ゴール前でグレゴリー・メンデスが倒されクランタン・ユナイテッドがPKを得ると、これを41歳のキャプテン、インドラ・プトラがスーパーリーグ通算104得点となるゴールを決め、今季チーム最多となる3点目を挙げたクランタン・ユナイテッドが再びリードを奪います。そして試合は90分を過ぎ、クランタン・ユナイテッドの今季初勝利を飾るかと思われた90+5分、右サイドからフィレモン・アニーがクランタン・ユナイテッドゴール前にロングボールを蹴り込むと、パンチングで逃れようとしたGKアシュラフ・オマルの指先を掠めるようにゴールに吸い込まれ、土壇場でヌグリスンビランが引き分けに持ち込んでいます。

2023年5月24日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:14,684人
ジョホール・ダルル・タジム 2-0 スリ・パハン
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ(45+1分)、フェルナンド・フォレスティエリ(74分)
🟨ジョホール:アフィク・ファザイル、レアンドロ・ヴェラスケス
🟨パハン:デヴィッド・ローリー、ニコラス・スウィラッド
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(ジョホール・ダルル・タジム)

 開幕から11連勝中のジョホールと7勝4分のパハンの今季無敗チーム同士の対戦は今節最も注目されたマッチアップでしたが、地力に勝るジョホールがパハンを破李、独走体制を固めています。
パハンのファンディ・アフマド監督は今季ここまで11試合で47得点のジョホールに対し、試合前には守備的な戦術で臨みたいと話していましたが、その言葉通り、前半はGKザリフ・イルファンとDF陣が文字通り身体を張って守り、時折カウンターしかけるなど善戦ます。しかしロスタイムにジョルディ・アマトがパハンDFラインの裏へ出したロングフィードを左サイドで拾ったフェルナンド・フォレスティエリがセンタリング。これをベルグソン・ダ・シルヴァがDFに競り勝ってゴールし、ジョホールがリードして前半を折り返します。
後半の74分にはリーグ得点王のフォレスティエリ選手が、5試合連続となる今季13ゴール目を決めてパハンを突き放し、ジョホールが開幕からの連勝を12に伸ばしています。

2023年5月24日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:10,637人
スランゴール 3-2 クダ・ダルル・アマン
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ(23分)、ファイサル・ハリム(40分)、ノール・アル=ラワブデ(78分)
⚽️クダ:アミールベク・ジュラバエフ(6分)、ウィリアン・リラ(28分)
🟨スランゴール:なし
🟨クダ:カラムラー・アル=ハフィズ、カミル・アクマル
🟥クダ:カミル・アクマル
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴール)

 首位ジョホールを勝点差8で追う2位スランゴールは、これ以上、勝点で離されるわけにはいかず、また4位のクダはAFCカップ出場枠が懸かる2位争いに残るためには勝利が必至ですが、そんな中で先制したのはアウェイのクダでした。開始6分に右コーナーキックから、ゴール前でマークがはずれたアミールベク・ジュラバエフの今季初ゴールでクダが先制します。しかしスランゴールはペナルティエリア内でヨハンドリ・オロスコが倒されていたPKをエイロン・デル・ヴァイエが決めて同点に追いつきます。しかしその5分後にクダは、昨季はJリーグの甲府でプレーしたウィリアン・リラがペナルティエリア内でDFをかわしてゴールを決め再びリードを奪います。するとスランゴールもファイサル・ハリムのゴールで40分に再び追いつき、前半は2-2で終了します。
後半に入るとギアを挙げたスランゴールは好機を作りますが、得点には至らないまま試合が進みます。それでも77分にペナルティエリアの外でムカイリ・アジマルが倒されてPKを得ると、そのPKからのゴール前のこぼれ球をノール・アル=ラワブデが押し込み、この試合初めてスランゴールがリードを奪います。その後もクダの反撃に耐え切ったスランゴールが逃げ切り2連勝。一方のクダは連勝が2でストップしています。

2023年5月24日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:3,300人
トレンガヌ 1-0 ペナン
⚽️トレンガヌ:アンク・ヌル・シャキル(74分)
🟨トレンガヌ:なし
🟨ペナン:ウスマン・ファネ
MOM:シャールル・ニザム(トレンガヌ)

 3試合ぶりの勝利を挙げたトレンガヌが7位に浮上しています。
今季ここまでの4勝全てがホームというトレンガヌは、この日は司令塔ハビブ・ハルーンが警告累積による出場停止、またタイ代表FWのアディサック・クライソーンは背中を痛めてベンチ外と主力を欠く苦しい布陣でこの試合に臨みましたが、前半は両チームとも決め手を欠く展開となり0-0で終了します。
ハビブ選手不在の影響が大きいトレンガヌは、後半に入ると押し気味に試合を進めるものの相手ゴールを破れないまま試合が進みます。そんな中、トレンガヌのトミスラフ・スタインブリュックナー監督は、イヴァン・マムート、アンク・ヌル・シャキル、ニック・ハセフィーのFW3名を次々と投入して勝負を賭けますが、それが功を奏し、ソニー・ノルデからのパスを受けたアンク・ヌル・シャキルがペナンDFをかわして74分に決勝ゴールとなるシュートを決めています。

 

2023年5月24日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
観衆:610人
KLシティ 1-1 クチンシティ
⚽️KLシティ:チェチェ・キプレ(86分PK)
⚽️クチンシティ:アブ・カマラ(90+4分)
🟨KLシティ:なし
🟨クチンシティ:谷川由来、ズルアズラン・イブラヒム
MOM:アブ・カマラ(クチンシティ)

 クチンシティがロスタイムの同点ゴールを決めて執念の引き分けに持ち込んでいます。
リーグ6位のKLシティが13位で開幕戦以来勝利がないクチンシティの対戦は、ホームのKLシティが試合を終始優勢に進めるものの、クチンシティの粘り強い守備もあり、ゴールには至らず前半は0-0で終了します。
後半に入ってもKLシティは好機を得ながら、いずれもシュートが枠を外れるなどが、0-0での引き分けが見えてきた86分、クチンシティのセリオ・サントスが自陣ペナルティエリア内で、KLシティのショーン・ジャネッリを倒してPKを与えてしまいます。このPKをチェチェ・キプレが決めたKLシティが待望の1点を挙げてリードを奪うと、試合はロスタイムへ突入します。自陣でFKを得たクチンシティはアダム・シャリンがKLペナルティエリアへロングボールを蹴り込むと、これをセリオ・サントスがヘディングでゴール前へ、そしてそれをアイルトン・アレモンが落とすと、この日は先発を外れていた昨季の2部プレミアリーグ得点王のアブ・カマラがシュート!これが決まって、クチンシティは土壇場で追いつくと共に、4試合ぶりの勝ち点を上げています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第12節終了時)

順位 チーム 勝点
1 JDT 12 12 0 0 49 1 48 36
2 SEL 12 9 1 2 30 13 17 28
3 SRP 12 7 4 1 18 9 9 25
4 SAB 12 7 3 2 29 17 12 24
5 KDA 12 7 1 4 24 18 6 22
6 KLC 11 5 4 3 19 16 3 19
7 TRE 12 5 2 5 16 15 1 17
8 NSE 12 4 5 3 18 22 -4 17
9 PEN 12 4 2 6 16 18 -2 14
10 PDRM 12 4 1 7 12 18 -6 13
11 PRK 12 2 3 7 9 26 -17 9
12 KCH 12 1 2 9 6 25 -19 5
13 KEL 12 1 1 9 13 43 -30 4
14 KLU 12 0 3 9 9 27 -18 3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第12節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)

順位 選手名(所属チーム) シュート 枠内S アシスト
1 フェルナンド・フォレスティエリ(JDT) 13 45 25 7 12
2 エイロン・デル・ヴァイエ(SEL) 10 24 19 1 12
3 ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT) 8 34 15 1 8
4 ウィリアン・リラ(KDA) 7 32 10 2 12
5 クパー・シャーマン(SRP) 6 19 10 2 12
ファイサル・ハリム(SEL) 6 19 16 4 12
パク・テス(SAB) 6 16 8 0 11
8 アリフ・アイマン(JDT) 5 20 9 9 12
フアン・ムニス(JDT) 5 20 12 0 10
ステファノ・ブルンド(SRP) 5 21 10 0 11
スーニー・サアド(PEN) 5 33 16 0 11
パウロ・ジョズエ(KLC) 5 30 16 2 12
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ