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2月17日のニュース
MFLは給料未払い問題に厳罰で対処することを再度確認
新型コロナ対策に尽力した前保健相がJDTの役員に就任
2021年のリーグ得点王の去就は未だ決まらず

MFLは給料未払い問題に厳罰で対処することを再度確認

Mリーグ1部マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、マレーシアサッカー協会FAMと協力して、スーパーリーグのクラブで給料未払い問題にはこれまで同様、厳罰で対処することを表明しています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、過去数年間に渡って給料未払い問題を防ぐための厳格な規則と、問題を起こしたクラブに対する厳格な処分の結果、実際に報告された給料未払い問題の件数は2018年の200件以上から、近年では10件前後に減少したと話し、これまでの努力が功を奏していることに加え、今季のクラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCを例に挙げて、MFLとFAMがこの問題をなくすためには厳格な処分も辞さない覚悟であると説明しています。

スチュアートCEOは、「Mリーグでプレーするクラブは慎重な経営に加え、選手に対しては契約内容を遵守し、遅配のない給料支払いを行わなければならないことを理解していると確信している。選手への給料支払いが滞りなく行われているかどうかは、クラブライセンス交付の際の重要な判断基準になる」と述べて、こういった問題が再発しないことを望んでいると話しています。

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Mリーグがタイリーグに次ぐ東南アジア第2位のリーグであると、MFLがその「価値」の高さをどれほど主張しようと、毎年の様に発生する給料未払い問題によって、Mリーグがプロリーグとしては「二流」と言わざるを得ないでしょう。前述の様にマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCはクラブライセンスに交付せず、国内トップリーグへの参加を認めなかったことはこれまではあり得ないことでしたが、その一方で、両クラブを運営していたサラワク州とマラッカ州のサッカー協会は未だ、給料未払い問題を解決していないにもかかわらず、新たなチームを立ち上げて3部リーグへの参加が認められています。
3部リーグの運営はMFLではなくアマチュアフットボールリーグAFLの管轄とは言え、給料未払い問題未解決を放置している同じ人間が国内サッカーに関わることができる状況を容認している限りは、結局のところ、MFLがいう厳格な対応はいくらでも抜け道はあるということです。

新型コロナ対策に尽力した前保健相がJDTの役員に就任

前マレーシア政府保健相のカイリー・ジャマルディン氏は、所属していた政党「統一マレー国民組織」(UMNO)の党規則に違反したとして、UMNOを除名されていますが、このカイリー氏がマレーシアスーパーリーグ8連覇中のジョホール・ダルル・タジム(JDT)の役員に就任したと、英字紙スターが報じています。

父親が外交官だったカイリー氏は、シンガポールのインターナショナルスクールからオックスフォード大学の看板学部である哲学・政治・経済学部(PPE)へ進み、卒業後は英国の経済誌エコノミストなどでジャーナリストして働いた後、2008年の下院議員選挙に出馬し当選、政界に転身しました。
自身もポロの選手として2017年の東南アジア競技大会通称シーゲームズでメダルを獲得するほどのスポーツマンでもあるカイリー氏は、2007には当時のパハン州皇太子、現在はマレーシア国王であるアブドラ国王に代わって、マレーシアサッカー協会FAMの副会長に就任したこともあります。
2013年の総選挙で議席を守ると、当時のナジブ・ラザク首相政権下で青年スポーツ相に就任し、2013年から2018年までの大臣在籍時にはバイエルン・ミュンヘンのユースチームでコーチをしていた元マレーシア代表のリム・ティオンキム(現ペラFC監督)を2013年に招聘し、2018年にマレーシアで開催されるAFCU16アジアカップのトップ3入りを目指して青年スポーツ省とマレーシアサッカー協会が共同で設立した国家サッカー選手育成プログラム(NFDP)の責任者に就任させています。
2018年の総選挙では再選を果たしたものの閣僚から外れましたが、2020年に再度議席を守ると、今度は科学・テクノロジー・イノベーション相に就任して中国とのワクチン供与の契約を結び、ワクチン接種計画の特任大臣に任命されると、その後は保健相に就任しました。
2022年の総選挙ではそれまでの選挙区とは別の選挙区から出馬して落選、さらに所属するUMNOの執行部を批判したことから今年1月には除名処分を受けていました。

将来の首相候補とも言われ、与野党支持者を問わず人気の高いカイリー氏にはUMNOを除名された直後から各政党から声がかかっていましたが、同時にジョホール州皇太子でジョホール・ダルル・タジム(JDT)オーナーのトゥンク・イスマイル殿下も、ジョホール州の若者へのアドバイザーとして、またJDTも将来のクラブCEOへつながる様なポストをオファーしていました。

最終的にイスマイル殿下からのオファーを受ける形になったカイリー氏は、「一つの扉が閉まっても、別の扉が開くものだ。マレーシアNo.1のクラブに加わることができて光栄だ」と述べ、「アジアのトップクラブとなることを目指して、自身の経験を生かしてJDTを更なる高みへと押し上げたい」と自身のSNSでJDTの役員となったことを正式に表明しています。

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KJの愛称で知られるカイリー氏は、保守的な性格のUMNOの中では主流派ではなかった一方で、必要があればNGOや与党政治家などとも意見を交換を厭わない、柔軟な思考を持った政治家で、上の記事でも書いた通り将来の首相候補でもあります。14年の議員生活ながら3つの省で大臣を務めた実績もあり、最終的にはまた政界へ戻ることになるでしょうが、カイリー氏が加わることで、ピッチ内はもちろん、ピッチ外での補強も万全なJDTは、やはり国内では頭ひとつ抜けた存在と言わざるを得ません。

2021年のリーグ得点王の去就は未だ決まらず

ナイジェリア出身のFWイフェダヨ・オルセグンは、2021年にはスランゴールFCで26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王になっていますが、3季在籍したスランゴールFCからマラッカ・ユナイテッドFCに移籍した昨季は、ケガなどもあり7ゴール(12試合)と成績を落としています。所属していたマラッカ・ユナイテッドFCは、2022年シーズンの給料未払い問題が未解決となっていることから、今季のリーグ参加に必要なクラブライセンスが交付されず、リーグ撤退を余儀なくされ、イフェダヨ選手は未だに今季の所属が決まっていません。

2019年のスランゴールFC加入前年の2018年にもマラッカFA(当時)でプレーしていたイフェダヨ選手は、今季Mリーグでプレーすれば「当該協会(ここではマレーシアサッカー協会FAM)管轄区域において最低5年間の居住」条件を満たすことになり、マレーシア国籍を取得すればマレーシア代表としてプレーが可能になります。

しかし、今年31歳のイフェダヨ選手は、マレーシア国籍取得には興味がないと、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロとのインタビューで答えています。これまでスランゴールFC復帰の噂があったイフェダヨ選手ですが、スランゴールFCは一昨日に加入が発表されたベネズエラ出身のMFヨハンドリ・オロスコを今季開幕前の「最後の加入選手」としていることから、イフェダヨ選手のスランゴールFC復帰はなくなりました。

Mリーグ通算104試合出場で87ゴールの実績は、未知数の外国籍選手を獲得するよりも遥かに確実な補強になりそうですが、昨季終了後のイフェダヨ選手はそれどころではなかった様です。「昨年末に父を亡くし、非常に困難な時を過ごさざるを得なかった。昨季終了後から、スランゴールFCを含めた多くのクラブから実際にオファーを受けたのは事実だが、その時は自分にはサッカーのことを考える余裕がなかった。」とは話したイフェダヨ選手は、マレーシア国籍を取得して代表入り云々の前に、自分のトップフォームを取り戻すことが最優先だと、スタジアム・アストロのインタビューに答えています。

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