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2月10日のニュース
タイFAカップ ベスト16-マレーシア人選手対決は実現せず
批判の多いマラッカFCとサラワク・ユナイテッドFCのM3リーグ参加は州内サッカー発展のためとアマチュアリーグ会長は説明
キナバル・ジャガーズFCのM3リーグ不参加はAFLのダブルスタンダードが原因?

昨日のニュースではKLシティFCの株式51%が金融コンサルティング企業のリナニ・グループ社に売却された件を取り上げましたが、KLシティFCを運営しているクアラルンプールサッカー協会(KLFA)のサイド・ヤジド副会長は、先日調印式が行われた株式譲渡について確定したわけではないと発言していると、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。KLFAのカリド・サマド会長も出席した調印式まで開きながら、こんな話が出てくるのは、KLFA内で権力闘争が起こっている可能性があります。「ポリティッキング」と呼ばれる、スポーツ団体内ではよく見られる派閥争いはマレーシアでは珍しくはありませんが、これがKLシティFCの民営化に支障をきたさないよう、見守りたいです。

タイFAカップ ベスト16-マレーシア人選手対決は実現せず

2月8日にタイFAカップベスト16の8試合が行われ、マレーシア代表DFディオン・コールズが所属するタイ1部のブリーラム・ユナイテッドが、元U19代表のFWザフアン・アゼマンが所属するタイ2部のウタイターニーFCと対戦しました。マレーシア人選手対決が期待された試合でしたが、コールズ選手は94分から途中出場したものの、ザフアン選手はベンチ入りせず、実現はしませんでした。試合は延長戦に入りましたが、119分にロンサナ・ドゥンブヤがPKを決めて、ブリーラム・ユナイテッドが準々決勝進出を決めています。

タイFAカップ ベスト16
2023年2月8日@ウタイターニースタジアム
ウタイターニーFC 1-2 ブリーラム・ユナイテッド
ディオン・コールズは94分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより

批判の多いマラッカFCとサラワク・ユナイテッドFCのM3リーグ参加は州内サッカー発展のためとアマチュアリーグ会長は説明

昨季のスーパーリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドFCと同11位のサラワク・ユナイテッドFCは、いずれも選手や監督、コーチへの給料未払い問題が解消されていないことを理由に今季のクラブライセンスが交付されませんでした。このため両クラブはアマチュアリーグのM3リーグへ参戦しますが、多くのサッカーファンは、この両チームが最下部の5部に当たるM5リーグからではなく、M3リーグに無条件で参加を認められた点を疑問視しています。これについてM3リーグ以下を統括するアマチュアフットボールリーグAFLのユソフ・マハディ会長は、マラッカ、サラワク両州のサッカーの発展のためと説明していると、マレーシア語紙のブリタハリアンが報じています。

「(2019年に)プルリス州サッカー協会(プルリス州FA)が外国籍選手への給料未払いを理由にFIFAから活動停止処分を受けて以降、州内のサッカー活動が停滞した。そして現在に至るまで、スーパーリーグにはプルリス州に本拠地を持つクラブがないことからも分かるように、その影響は計り知れない。

「各州のトップクラブがMリーグでプレーすれば、そのトップクラブを頂点とした州内のサッカー活動が停滞する心配がないことから、AFLはサラワク・ユナイテッドFCとマラッカFCにM3リーグへの参戦を許可した。」

さらにユソフAFL会長は、M3リーグに参加するマラッカFCは、昨季のスーパーリーグでプレーしたマラッカ・ユナイテッドFCとは全く別のクラブであると説明した上で、マラッカ・ユナイテッドFCの給料未払い問題は、両クラブのオーナーが異なることから、マラッカFCとは無関係の問題であるとも説明しています。

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マラッカFCを運営するマラッカ州サッカー協会は、マラッカ・ユナイテッドFCの主要株主ではなかったものの、一部株式を保有しており、全くの無関係というのは詭弁に聞こえます。またユソフAFL会長はマラッカ州サッカー協会の副会長を務めたこともあり、今回の決定には何の忖度もなかったのかという点には疑問が残ります。さらに言えば、このマラッカFC、そしてサラワク・ユナイテッドFCともに、昨季のスーパーリーグでプレーした選手はだれも残っておらず、果たしてM3リーグで試合ができるレベルのチームなのかどうかも疑問です。なし崩し的に解決しようとするマレーシア的な対応で損をするのは、未払い給料が解決しない昨季のマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCの選手、得をするのはマラッカ州とサラワク州サッカー協会に関わる政治家という図式が透けて見えます。

キナバル・ジャガーズFCのM3リーグ不参加はAFLのダブルスタンダードが原因?

サバ州のコタキナバルを本拠地とするキナバル・ジャガーズFCは、今季のM3リーグに参加予定でしたが、ホームスタジアムが見つからないことを理由に参加を見送っていますが、その実はM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLのダブルスタンダードが理由ではないかと、スポーツ専門サイトのハリマウマラヤが指摘しています。

キナバル・ジャガーズFCは、当初はコタキナバルにあるリカススタジアムをホームスタジアムとして使用する予定でしたが、Mリーグ1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、各クラブに対してホームスタジアムを共有する場合には最大2チームまでとする、という規則を新たに発表したことで、リカススタジアムの使用ができなくなってしまいました。

リカススタジアムは、スーパーリーグで昨季3位に終わったサバFCのホームスタジアムとして使われていますが、、今季から発足するMFL各クラブのU23チームのためのリザーブリーグに出場するサバFC U23もこのリカススタジアムをホームとすることから、サバFCとサバFC U23の両チームで、MFLが規定する「スタジアム共有は最大2チームまで」の上限に達してしまうため、キナバル・ジャガーズFCはリカススタジアムの使用ができなくなりました。

と、ここまでなら規則なのでやむを得ない、となるところですが、各クラブのU23チームを「1チーム」とカウントすると、今季のMFLで使用される複数のスタジアムでこの「スタジアム共有は最大2チームまで」が守られていないと、ハリマウマラヤが指摘しています。

その一つがクランタン州のスルタン・ムハマド4世スタジアムです。このスタジアムは昨季もクランタンFCとクランタン・ユナイテッドFCが共用していますが、前述のようにそれぞれのクラブのU23チームも加えれば、一気に4チームが共用することになると指摘しています。またクアラルンプールのKLフットボールスタジアムもKLシティFCとPDRM FCが共用しており、やはりそれぞれのU23チームを勘定に加えると4チームとなります。(注:この記事ではPDRM FCのホームスタジアムが、昨季と同様にKLフットボールスタジアムである前提で書かれていますが、先日発表された今季の日程では、PDRM FCのホームゲームはスランゴール州のMBPJスタジアムで開催するとされています。MBPJスタジアムはスランゴールFCのホームスタジアムなので、こちらで4チーム共用が起こることになります。)なおKLフットボールスタジアムは昨季のM3リーグ準優勝チーム、KLローヴァーズFCもホームスタジアムとする予定とされており、そうなると同じM3リーグに参加予定だったキナバル・ジャガーズFCがリカススタジアムを使えないという決定は文字通りダブルスタンダードということになります。

ハリマウマラヤの記事では、国内サッカーではピッチコンディションの悪さがたびたび話題になることから、良いピッチコンディションでプレーができるよう、MFLが同じスタジアムを共有するチーム数を制限すること自体は良いことだとする一方で、スルタン・モハマド4世スタジアムやKLフットボールスタジアムで許可されていることが、理カススタジアムで許可されていないことについてはその理由が不明であるとしています。

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