ボラセパマレーシアJP

MリーグへのVAR導入は時期尚早-元FAM審判委員長

今季のMリーグはまだ第4節までしか終了していませんが、マレーシアサッカー協会FAMが認めたものも含めて多くの誤審がクラブやファンから失望や怒りを勝っています。この状況を改善するために、MリーグはVARを導入するべきだという声も大きくなっています。

マレーシア語紙シナルハリアンの取材に答えた元FAMの審判委員長のスブヒディン・サレー氏は「いくつかの誤審は審判の位置どりが悪いことが理由で起こっており、そういった場合にはVARにより異なる角度からプレーを検証することで正しい判定を下すことが可能になる。しかしそれ以外のケースについてはVARを導入したからといって誤審がなくなるものではない。」と説明し、そもそもMリーグはVAR導入の用意ができていないとコメントしてます。

FIFAワールドカップやU20W杯で主審を務めた経験もあるスブヒディン氏は、VARを導入すれば誤審がなくなるというのは全く誤った考えである、と前置きした上で、VARを使いこなすためには技術、経験、知識などを含め審判自身のレベルが一定以上であることが必要であると述べています。その上で正確な判定ができない審判がVARの映像を見ても、現在と同様の解釈、同様の判定しか望めず、同様の誤審は起こるだろうと述べています。

その上でスブヒディン氏は「(VARの画像として利用される)Mリーグのテレビ中継の映像はVARに採用するレベルに達していないが、それよりも前にまず、現在の審判の質の向上が最優先されるべきであり、技術的に十分なレベルに達するまで育成し続けていくことが必要だ。」と述べています。

今季のMリーグでは1部スーパーリーグでいずれもスリ・パハンが、クダ戦では同点ゴールをオフサイド判定で取り消され、またPJシティ戦では線審がオフサイドとしながら主審がこの判定を覆してPJシティの同点ゴールを認め、どちらの裁定もマレーシアサッカー協会FAMの審判委員会が試合後の検証の結果、誤審を認めています。

Mリーグでは審判の質については毎シーズン議論の対象になり、VARの即時導入が叫ばれており、隣国タイでは既に国内リーグでVARが導入され、インドネシア国内リーグも2022/2023年シーズンからの導入が検討されています。

*****

上記のスブヒディン氏がマレーシアサッカー協会FAMの審判委員長だった際には、審判のプロ化が計画され、20名ほどがリストアップされていましたが、新型コロナの感染が拡大するとそれを理由にプロ化計画の中断を発表しました。それ以降は何の進展もないようですので、スブヒディン氏が主張するようにプロ化も含めた審判の技術向上のための取り組みがVAR導入に優先されるべきことのように思います。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ