長野県フットボールマガジン『Nマガ』

市立長野が北信制覇。「ずば抜けてる」エース古清水龍昇が2発 ※無料

「フィジカル的にはずば抜けている」。芦田徹監督がそう評するエースの2発で、今季初タイトルを手にした。

市立長野は長野県高校総体・北信大会の決勝で、長野日大に2-0と快勝。古清水龍昇が前後半に1点ずつを挙げ、守備陣も無失点に耐え凌いだ。

市立長野の我慢強さと、エースの決定力

北信大会の決勝で両者が相まみえるのは、実に5大会連続となった。すでに県リーグ1部第2節(市立長野が2-0と勝利)でも対戦しており、互いの手の内は見えていたはずだ。それでも「最初にバタバタするのはわかっていた」と市立長野の田仲一護。相手のハイプレスに対して思うように前進できず、シュートに至らない時間が続いた。

長野日大は21分に2つの決定機を迎える。右サイドから田中雅也がクロスを上げると、相手のクリアミスが吉川昇汰の前にこぼれるも、シュートはGK前田拓磨に防がれる。さらにその流れから再び笠原大誉がシュートを放ったが、これも前田に阻まれた。連続攻撃の起点となった田中は、ベルギーリーグ・KVコルトレイクでプレーする田中聡の弟。兄がスタンドで見守る中、積極果敢なプレーを示した。

しかし先手を取ったのは、ピンチを乗り越えた市立長野だった。25分、田仲が右サイドからFKを入れると、古清水がニアで頭に当てた。「キッカーの一護がいいボールを蹴ってくれるので、合わせるだけだった」と古清水。キッカーの田仲は「大会前にセットプレーをたくさん練習したので入ってよかった」と手応えを明かした。その後は長野日大の押し込む時間が続くも、市立長野が1点リードで前半を折り返す。

後半の長野日大は、眞鍋頭伸のドリブルを軸に攻め上がる。38分には眞鍋が中央突破からミドルシュートを放つも、枠の左。9分にも真鍋の運びから田中がクロスを上げ、チャンスを演じた。中盤のスペースを効果的に生かしつつ、ロングボールも活用。最前線の笠原と、55分に代わって入った内山来輝がターゲットとなるも、市立長野はキャプテンの若林愛斗を中心に跳ね返す。

そして前半と同様に、市立長野が我慢強く守る中で追加点を奪う。62分、森山紋夢のパスに古清水が抜け出し、ダイレクトで右足一閃。相手DFにコースを切られていたが、うまく股を抜いてゴール左隅に仕留めた。

2ゴールを決めた市立長野の古清水龍昇

「自分は背後に抜け出すのが強みなので、そこを狙っていた」と古清水。後半は相手が前がかりになってくる中で、背後に抜け出すシーンが増えていった。30分には再び森山のパスから右サイドを抜け出し、クロスで決定機を創出。自慢のスピードを生かし、高さを武器とする長野日大の守備陣に脅威を与えた。チームとして押し込まれる時間は少なくなかったが、最終的にはシュート数を7対7と五分に持ち込み、2-0と快勝。3大会ぶりの北信王者に輝いた。

2大会ぶり県制覇へ。3年生の決意

「自分たちが意図した通りにできなくても粘り強く戦えたし、最後のほうは順応して2点目を取って終われた。リーグ戦を見ていても最後に追いついたり、同点に追いつかれても最後に1点取って勝ったり…。少しずつ成長していると思う」。芦田監督はそう選手たちを讃えた。2ゴールを決めた古清水については「こういうフィジカル的な要素を持った選手は、いままでなかなかいなかった」と舌を巻く。スピードはもちろんだが、頭の高さに来たボールを胸トラップで収めるなど、アスリート能力の高さが際立った。

得点とアシストを記録した古清水、田仲、森山の3人は、昨季も出場機会を得ていた3年生だ。古清水が「もっと点を取ってチームを勝たせられるようになりたい」と言えば、田仲も「去年は先輩たちに引っ張ってもらっていた。今年は自分たちの代なので、前向きな気持ちで全員を引っ張っていきたい」と責任感を抱く。

北信王者として臨む長野県高校総体は、5月26日(金)に開幕。2大会ぶりの県制覇に向けて、指揮官は「今回(北信大会)も苦労したゲームが多かったので、本当に一つ一つだと思う。3年生は明るいキャラクターが多いので、一つ一つ勝って自信にして上に繋げていきたい」と謙虚に意気込んだ。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ