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1月18日のニュース
クランタンFCは今季のスーパーリーグ出場資格消失
ペナンFCが新体制を発表-アクマル監督代行が正式に監督就任、レジェンド外国籍選手はTD
ルクマン・ハキムがJ3のYSCC横浜に期限付きで移籍

AFCアジアカップ2023では、同じ東南アジアから出場しているインドネシアやベトナムがそれぞれイラクや日本に善戦し、またタイは格上のキルギスに勝利を挙げる中、ヨルダン相手の初戦で惨敗を喫したマレーシア。16年ぶりの出場となった今大会は、当初目標としていたベスト16進出どころか、勝点0でグループステージ敗退の目も見えてきました。そんな中でキルギス戦で2ゴールを挙げてタイの勝利に貢献したFWスパチャイ・ジャディードがマレーシアと国境を接するパタニ県出身で、マレー系の血を引くイスラム教徒であることから、彼こそマレーシアに帰化させるべき選手だったのではといった記事が全国紙に掲載されています。今大会出場のマレーシア代表23名中、国外生まれながらマレーシア人の親を持つことでマレーシア国籍を取得した「ハイブリッド」帰化選手と、国内で5年以上プレーしたことでマレーシア国籍を取得したブラジルやコロンビア出身の帰化選手合わせて14名を抱えるチームにとっては強烈な皮肉になっています。

クランタンFCは今季のスーパーリーグ出場資格消失

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)のクラブライセンス控訴委員会が会合を開き、今季2024/25シーズンのスーパーリーグ出場に必要となる国内クラブライセンス申請が却下されていたクランタンFCによる控訴を検討した結果、これを却下する決定したことを発表しています。

この決定はクランタンFCに公式に通知され、クランタンFCの今季のスーパーリーグ出場資格が消失しています。これにより20234/25シーズンのスーパーリーグは13チームが出場することになりました。

クランタンFCは給料未払い問題により、今年1月1日に国内クラブライセンスの発給を行う第一審機関(FIB)によってライセンス申請を却下されており、この決定を不服として控訴していました。

クランタン州の州旗の色からレッドウォリアーズ「赤い戦士」の愛称で呼ばれるクランタンFCは、全身のクランタンFA時代の2012年にはリーグ、FAカップ、マレーシアカップを全て制して国内三冠を達成した他、2011年から13年にかけてはリーグ、FAカップ、マレーシアカップを合わせて6回という古豪です。しかし2018年にスーパーリーグで11位となり2部プレミアリーグに降格、それまでの放漫経営の結果、毎年給料未払い問題を起こすクラブとなっていました。2020年シーズン終了後には未払い給料などの負債を背負う形で実業家のノリザム・トゥキマン氏が新たなオーナーになったものの、「金も出すが口も出す」タイプのノリザム氏が昨季2023年シーズンだけで3名の監督の首を飛ばすなど運営が混乱しました。さらに再び発生した給料未払い問題によりMFLからはトランスファーウィンドウ期間の新規選手獲得禁止処分を受け、また外国籍選手を含む主力選手をシーズン途中で契約解除したこともあり、昨季は26試合で2勝2分22敗の最下位となっただけでなく、リーグ新記録となる121失点を記録するなど散々でした。

ペナンFCが新体制を発表-アクマル監督代行が正式に監督就任、レジェンド外国籍選手はTDに

昨季2023年シーズンのスーパーリーグでは6勝6分14敗の10位に終わったペナンFCが今季2024/25シーズンの新体制を発表し、昨季2023年シーズンの終盤に「休養」したチョン・イーファット監督に代わり、シーズン終了までの3試合を1勝1分1敗の成績で監督代行を務めたアクマル・リザル氏が正式に監督に就任しています。

スーパーリーグで監督就任の条件となるAFCプロライセンスを取得したばかりのアクマル新監督は42歳、現役時代はマレーシア代表でFWとして24試合に出場しています。なお監督代行として指揮を取った昨季の3試合の成績は1勝1分1敗でした。

ペナンFCはこの他、アクマル新監督とともにAFCプロライセンスを取得した47歳のマンズール・アズウィラ コーチが今季はU23チームのペナンFC IIの監督に、かつてペナンFCの前身ペナンFAでプレーし1996年から3年連続で最優秀外国籍選手賞をを受賞した経験があるモロッコ出身の「グレート・メルツ」ことメルザグア・アブデラザク氏がテクニカルディレクターに就任したことも公式SNSを通じて発表しています。

ルクマン・ハキムがJ3のYSCC横浜に期限付きで移籍

マレーシアU23代表でもプレーするFWルクマン・ハキム・シャムスディンがJ3の横浜YSCCへ期限付き移籍することがクラブ公式サイトで発表されています。移籍期間は2025年1月1日までということで、公式サイトで始まっている今季のユニフォーム販売ページでは背番号が13となることも確認できます。

ちなみにルクマン選手加入を報じたゲキサカの記事では「YS横浜がベルギー1部クラブから21歳FWを獲得」という見出しで、ルクマン選手がマレーシア人選手であることには一切触れられていませんでした。

2018年にマレーシアで開催されたAFC U16選手権(当時、現AFC U17アジアカップ)ではU16マレーシア代表でプレーし、チームはグループステージで敗退したものの、優勝したU16日本代表の唐山翔自選手(当時はガンバ大阪ユース)らと共に5得点を挙げて得点王を獲得しています。

その後はマレーシア国内リーグのスランゴールFCのセカンドチームを経て、マレーシア人実業家ヴィンセント・タン氏がオーナーのベルギー1部KVコルトレイクと2019年に5年契約を結び渡欧しますが、出場機会に恵まれず、2023年シーズンは出場機会を求めてアイスランド2部のニャルズビークへ期限付き移籍していましたが、ここでも十分な出場機会を得ることはできないまま移籍期間を終えています。

U16代表以降も、ルクマン選手はU18代表として出場した2019年の東南アジアサッカー連盟AFF U18選手権でオーストラリアに決勝で敗れたもののチームの準優勝に貢献した他、既にA代表でもプレー経験がある選手です。また現在は今年4月に開幕するAFC U23選手権に出場するマレーシアU23代表候補でもあります。今季のJ3リーグは2月下旬に開幕することが発表されており、U23アジアカップ前のマレーシアU23代表合宿に参加する場合には開幕直後からチームを離脱するも考えられ、その結果、横浜YSCCでも十分な出場機会を得られない懸念もあります。

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Jリーグでプレーするマレーシア人選手は、2019年から22年までJ2ファジアーノ岡山やJ3アスルクラロ沼津に在籍したハディ・ファイヤッド(現マレーシア1部ペラFC)以来となります。ハディ選手は膝前十字靭帯損傷などの大ケガもあり、満足のいく成績を残せないままマレーシアに戻りましたが、ルクマン選手にはマレーシア人選手の評価を上げるためにも活躍を期待したいです。

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