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9月6日のニュース
誤審により無期限出場停止処分を受けたスーパーリーグ主審がVAR研修で目撃される
「未完の大器」ルクマン・ハキムは来季はインドネシアリーグへ移籍か
ジョホールのACLエリート入りには今季AFCカップ出場のトレンガヌとサバのアシストが必要

今日9月6日は、中国遠征中のマレーシア代表は成都市でシリアとの国際親善試合が組まれています。FIFAランキングを136位まで上げてきたマレーシアにとって、同93位のシリアとの対戦は、昨年12月のベトナム戦以来となるFIFAランキング100位以内のチームとの試合となります。マレーシア代表は今年はここままで6勝1敗の成績を収めていますが、相手はいずれも同等か格下の相手との対戦ばかりで、今日のシリア戦、そして3日後の9月9日の中国戦が現在の代表の実力を図る目安となります。またU23代表はタイのチョンブリーでAFC U23アジアカップ予選の初戦となるバングラデシュとの対戦が組まれており、前回2022年大会に続き本戦出場を目指すマレーシアU23代表は、最終節のタイU23代表戦まで負けられない試合が続きます。

誤審により無期限出場停止処分を受けたスーパーリーグ主審がVAR研修で目撃される

マレーシアサッカー協会FAMは、来季からスーパーリーグで導入予定のビデオ・アシスタント・レフリーVARのための審判を対象とした研修を行っていますが、FAM本部で行われている研修に、今季のスーパーリーグでの誤審を理由に無期限の職務停止処分を受けているズルカルナイン・ザカリア審判の姿が目撃されて話題となっています。

剃り上げた頭が特徴的なことから「ハゲ審判」(失礼)と一部サポーターから呼ばれているズルカルナイン氏は、これまでも「疑惑の判定」を下していましたが、今年3月のスーパーリーグ第5節、3月17日のサバFC対ペナンFC戦で両チームそれぞれに1度ずつ与えるべきでないPKを与えた誤審があったとして、FAMの審判委員会よりスーパーリーグでの審判を含む無期限の職務停止処分を受けています。そのズルカルナイン氏がFAMのSNSに投稿された写真からVAR研修に参加していることが明らかになると、SNSやメディアはズルカルナイン氏がスーパーリーグ審判に復帰するのでは、とざわつきましたが、これに対してFAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長が説明しています。

「ズルカルナイン審判は、ほぼ1年間職務停止処分を受けており、この間、FAMはカウンセリングを複数回行っている。FAMはズルカルナイン氏がVARを担当するのに十分な経験を持つ審判であることから、職務停止処分を一旦解除し、VAR研修に参加する機会を与えることにした。またスーパーリーグ各チームのU21チームが対戦するプレジデントカップとU19チームが対戦するユースカップで現場復帰が予定されており、その際もFAMが担当試合を注意深く監視する予定である」とノー・アズマン事務局長は話す一方で、現時点では直ちにスーパーリーグやマレーシアカップなどの試合の審判に戻す予定はないことも明言しています。

「未完の大器」ルクマン・ハキムはインドネシアリーグへ移籍か

2018年にマレーシアで開催されたAFC U17アジアカップでは、チームはグループステージ敗退ながら、優勝した日本代表の唐山翔自選手(G大阪)らと大会得点王を分け合うなど将来のマレーシア代表を背負って立つと期待されてきたルクマン・ハキム。2020年にはマレーシア人のヴィンセント・タン氏がオーナーのベルギー1部KVコルトレイクと5年契約を結ぶも、KVコルトレイクでは在籍3年間でわずか3試合出場に終わり、今年2月からは出場機会を求めてアイスランド2部のUMFニャルズヴィークに期限付き移籍をしていますが、ここまで9試合出場で出場時間は171分とやはり出場機会が十分に得ることはできていません。そんな中、サッカー専門サイトのヴォケットFCは、ルクマン選手の次の移籍先はインドネシアリーグなどが候補に上がっていると、伝えています。

UMFニャルズヴィークでは1ゴールを挙げるなど、KVコルトレイクよりは出場時間が増えてはいるものの十分とは言えないことから、ヴォケットFCはさらに出場時間を増やしたいルクマン選手を獲得したい意思を表明しているクラブとの交渉が進むのではと予想しています。ルクマン選手が所属するアイスランド2部は春秋制を採用しており、今季の最終節第22節は9月16日に行われますが、現時点では大半のリーグで移籍期間は終了していることから、今季終了後はまずはKVコルトレイクに戻り、来年1月以降の移籍が考えられます。そしてヴォケットFCの記事では、マレーシアスーパーリーグのクラブの他、インドネシアやポーランドのクラブなどがルクマン選手獲得に関心を示しているとしています。

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今日からタイで始まるAFC U23アジアカップ予選にも出場するルクマン選手ですが、U23代表招集は昨年6月のAFC U23アジアカップ本大会以来となっています。この時は絶対的なエースという位置からは程遠く、最終節のベトナムU23代表戦では出番もありませんでしたが、代表から離れていたこの1年間でどれだけ成長したかが見ものです。、

なおヴォケットFCの記事では、ルクマン選手自身はKVコルトレイクのトップチーム入りを目指しているということですが、このKVコルトレイク移籍自体もルクマン選手が求められたというよりも、オーナーがマレーシア人であることが最大理由なのは明らかなので、まずはこのAFC U23アジアカップ予選で自身の価値を高めるような活躍を見せて欲しいです。

ジョホールのACLエリート入りには、今季AFCカップ出場のトレンガヌとサバのアシストが必要

アジアサッカー連盟(AFC)が主催するクラブチームによる国際大会は現在、合計40チームが参加するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)と、その下部大会として合計36チームが参加するAFCカップの2つがあり、今季2023/24シーズンから秋春制に移行した両大会には、マレーシアからはそれぞれ昨季のスーパーリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムFCと、同2位トレンガヌFCと同3位サバFCが出場します。

このACLとAFCカップについて、AFCは先月8月、両大会の大幅な改編を含めた新たな3つの大会を来季2024/25シーズンから開催することを発表しています。そして現行のACLに相当するトップカテゴリーはAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ADLE)の名称となり、現在の40チームが参加するACLから、参加チームを文字通りエリートチームに絞り込んだ24チームでの開催となります。

今季のACLにはマレーシアからはリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジムが出場しますが、来季から始まるACLエリートに出場するためには、チームの所属する協会がAFCのクラブコンペティションランキングで西地区あるいは東地区で上位6カ国に入っている必要があります。8月23日現在、東地区のマレーシアは現在、日本、韓国、中国、タイ、オーストラリアに次ぐ6位につけており、このままいけば2024/25年シーズンはACLEで1チーム、その下部リーグに当たるAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)で1チームの出場枠を獲得できます。

なお、AFCクラブコンペティションランキングの順位を決めるポイントは、過去8年間にAFCチャンピオンズリーグ (ACL) とAFCカップに参加したチームの成績に基づいて算出されます。このポイントを稼ぐにはACLとAFCカップに出場したチームが、そこで結果を残すことが重要になります。マレーシアで言えば、2006年から2014年まではAFC下位の協会に所属チームのための大会、AFCチャレンジカップ(2014年に廃止)に出場してポイントを稼ぎ、2015年にはAFCカップでジョホールが優勝して大量のポイントを獲得しています。その一方でそのジョホールは、2015から4年連続でACL予選出場が懸るプレーオフ出場しながら、2年連続のPK戦負けなどで敗れ続けてACL出場を逃していました。

しかし2019年からはこのジョホールが直接、グループステージ出場権を得たことで、それ以降のマレーシアのポイント獲得の中心となり、マレーシアの順位を押し上げる原動力となっています。また昨季2022年にはKLシティがAFCカップで準優勝しており、こちらもやはりポイント獲得に貢献しています。

現在、AFCクラブコンペティションランキング東地区6位のマレーシアのポイント数は29.551でこれは7位のベトナムとは0.482差、8位の香港とは2.501差と僅差になっており、順位が7以下になればACLEの出場権を失ってしまいます。このため来季以降のジョホールのACLEへの出場権を確保するには、今季のACLに出場するジョホールはもちろんのこと、AFCカップに出場するトレンガヌFCとサバFCの成績が重要となります。というのも、クラブコンペティションランキングでは、ACLとAFCカップ出場チームが獲得したポイントはその合計が各協会所属の出場チーム数で割った平均で計算されるため、マレーシアで言えば、3チームの獲得層ポイント数割る3が今季の獲得ポイントとなります。

7位ベトナムはハノイFCが、8位の香港はキッチーFC(健志体育会)が出場する一方で、AFCカップには両国とも出場チームはありません。このため、ACLグループステージでこのハノイFC、キッチーFC以上の成績を残しても、AFCカップでトレンガヌFCとサバFCがたとえばいずれも東南アジア地区プレーオフで敗退すると、獲得ポイント数がベトナム、香港を下回り、ランキングを下げることになりかねない、ということなのです。

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