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7月3日のニュース
成績不振で更迭された前ペラ監督が不当解雇を訴える
クランタンは給料未払いにより新規選手獲得が1年間禁止に
今季3人目の監督就任発表のクランタンでバーンハート前監督の処遇が不透明に

イスラム教の最大の祝日の一つ、アイディル・アドハクランタンを挟んでリーグ戦のない期間が続いていますが、その間にマレーシアリーグでは年中行事(笑)とも言える給料未払い問題が複数報じられています。スーパーリーグの大半のチームは、各州政府など運営母体からの公的資金によるチーム運営の仕組みから脱却し、完全プロ化へ移行している過渡期とはいえ、チームの運営側や事務方のプロ意識が相変わらず低く、プロ選手に給料を払わない一方で勝利を求めるといったマレーシアサッカーの風潮はいまだに一部のチームでは問題にすら思われていないようです。
また今週水曜日の7月5日からは今季2度目のトランスファーウィンドウが開き、選手の移動がありそうですが、こちらについては既に発表になっているものも含め、別記事で取り上げます。

成績不振で更迭された前ペラ監督が不当解雇を訴える

第15節に入った今季のマレーシアスーパーリーグで2勝3分10敗の11位に低迷するペラFCは、昨季終盤から指揮を取っていたリム・ティオンキム監督を5月末に解任し、ペラFC U23チームのユスリ・チェ・ラー監督を監督代行に指名していますが、このリム監督がペラFCに対して不当解雇であるとして、2年契約の残りとなる16ヶ月分の給料支払いを求めて産業関係局に不服申し立てを行なったと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

リム監督は、チームが設けたKPI(重要業績評価指標)を達成できなかったことを理由にした契約解除は不当であるとして、2年契約を満了する前の契約解除はチーム都合だとして、契約内容に基づいた給料の支払いを求めて、今回の不服申し立てを行なったとしています。また同席した弁護士は、産業関係局に調停を求める一方で、この調停が失敗に終わった場合には労働関係裁判所に訴訟を起こす予定があると話しています。

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チーム創立100周年を迎えた2021年には、給料未払いによりこのシーズンの開幕戦先発XIのほぼ全員が退団し、11位に終わったペラは、2022年に当時の2部プレミアリーグに降格しました。給料未払いにより新規選手獲得禁止処分を受けたこともあり、U19とU21チームの選手でやりくりしながらも10チーム中9に終わったことから、チームは元U17代表監督で、ドイツ1部バイエルン・ミュンヘンでユースコーチを長年務めたリム監督を起用し、若い選手主体のチームの底上げを求めました。その状況ではすぐに結果が出ないことは、リム監督を起用したチーム経営陣が一番分かっていたはずですが、成績不振を理由とした更迭にはリム監督はもちろん、多くのサポーターもSNS上でその理由に疑問を呈していました。

今季実施された1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの合併という大規模なリーグ改編により、本来ならば1部スーパーリーグには昇格できていないはずの昨季のプレミアリーグ下位クラブでは、ペラの他、Jリーグ大分でのブレー経験もあるチェ・ムンシク監督を更迭したクランタンFC、元ペナン監督のトマス・トルチャ監督を解雇したクランタン・ユナイテッドFCが前半戦で監督を交代していますが、トップリーグで戦うだけの戦力補強が不十分なまま、成績不振を理由に監督を交代させるチームに仕える監督は不遇としか言いようがありません。

クランタンは給料未払いにより新規選手獲得が1年間禁止に

マレーシアサッカー協会FAMは、スーパーリーグで現在14位最下位のクランタンFCについて、未解決の給料未払い問題があるとして、クランタンFCとスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLに対して、新規選手獲得を禁止する処分を課したことを書面で通知したことを発表しています。

FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長は、今回の処分が給料未払いが原因であると説明し、処分の期間が今季一杯となることも明らかにしています。またクランタンFCは今回の処分に対して不服申し立てを行なったものの、給料未払い問題が未だ解決されていないことから、この不服申し立ては受け入れられなかったということです。これによりクランタンFCは、今月7月5日から開くトランスファーウィンドウでの新戦力補強は不可能となっています。

給料未払いによる新規選手獲得禁止処分は、昨季はサラワク・ユナイテッドFCがFAMではなく、FIFAから処分を課せられていますが、これは給料未払いとなっていた外国籍選手がFIFAの紛争解決室に訴え出たことが理由で、FIFAはサラワク・ユナイテッドFCに対してトランスファーウィンドウ3回に渡り、新規選手獲得禁止処分を課しています。

今季3人目の監督就任発表のクランタンでバーンハート前監督の処遇が不透明に

第15節に入った今季のマレーシアスーパーリーグで1勝1分12敗の最下位14位に低迷するクランタンFCは、開幕から指揮を取っていた、Jリーグ大分でのブレー経験もあるクランタンFCのチェ・ムンシク監督を更迭後、チームのテクニカルディレクターで、元マレーシアU23代表監督も務めたフランク・バーンハート氏を監督に据えてリーグ戦を戦ってきましたが、交代したバーンハート監督もチームの連敗を止めることができませんでした。そのクランタンFCは、チーム公式Facebookでアルゼンチン出身のアンヘル・アルフレド・ヴェラ新監督の就任を発表しています。

選手として、そしてその後は指導者としてインドネシアリーグに関わってきたヴェラ監督に後半戦を託すことにしたノリザム・トゥキマン オーナーですが、その一方でバーンハート氏は、自身がテクニカルディレクターに復職するのか、このまま契約解除となるのかが定かではないと、マレーシア語氏ブリタハリアンが報じています。なおマレーシアサッカー協会FAMの公式記録サイトでは、この記事執筆時点で未だにバーンハート氏の名が監督として掲載されています。

バーンハート氏は「トップリーグの監督は試合で活躍できる選手がいるチームを選んで、そこで結果を出すことが求められるが、クランタンではトップリーグで試合をしながら選手を育成することが求められるなど、監督の仕事は簡単ではない。」と述べ、今月7月5日か8月1日までとなっている今年2度目のトランスファーウィンドウで新戦力を獲得できないことから、後半戦ではU23チームの選手が主力としてプレーすることになるだろうと話しています。

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