ボラセパマレーシアJP

2023マレーシアスーパーリーグチーム紹介(1)
ジョホール・ダルル・タジム
トレンガヌFC
サバFC

マレーシアスーパーリーグはいよいよ明日2月24日に開幕しますが、開幕戦で対戦するのは昨季は国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジム(JDT)とリーグ2位のトレンガヌFCです。明後日2月25日には他のチームの試合も始まりますが、今日から数回に渡り、今季のマレーシアスーパーリーグのチーム紹介をしていきます。1回目は明日の開幕戦で対戦するJDTとトレンガヌFC、そして昨季3位のサバFCです。

ジョホール・ダルル・タジム(JDT)

<ホームスタジアム>
スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ-40000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-1位(22試合17勝5分0敗 得点61失点12勝点56)-ACL本戦出場権獲得
マレーシアカップ-優勝
FAカップ-優勝
ACL-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWジオゴ(ブラジル、前BGパトゥム・ユナイテッドFC)
MFオスカル・アリバス(スペイン、スペイン2部FCカルタヘナから移籍)
MFフアン・ムニス(スペイン、ギリシャ1部アトロミトスFCから移籍)
MFエンドリック(ブラジル、ペナンFCから移籍)
GKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビランFCから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ)

<チーム概要>
スーパーリーグは現在9連覇中、さらに昨季はマレーシアカップとFAカップにも優勝して国内三冠を達成するなど他を圧倒する強さを誇るジョホール・ダルル・タジム(JDT)は、新監督にエステバン・ソラリ前アルゼンチンU23代表コーチを迎え、昨季のクラブ史上初となったACLベスト16以上の成績を目指して、あくなき補強を行なっています。
外国籍選手は、2019年から20年まで在籍し32試合で16ゴールを挙げたFWジオゴ(ブラジル、前タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)や今季中のマレーシア国籍取得取得を目指すMFエンドリック(ブラジル、ペナンFCから移籍)ら4名が新たに加わります。またマレーシア人選手の獲得については常々「国内トップクラスの選手しか興味がない」と話すオーナーのイスマイル殿下の言葉通り、代表GKで昨季のリーグ最優秀GK賞を受賞したシーハン・ハズミをヌグリスンビランFCから獲得し、同じく代表GKファリサル・マーリアスとの間で正GK争いが繰り広げられます。
既存の選手も昨季はリーグ新記録となる29ゴール(19試合)を挙げたFWベルグソン・ダ・シルヴァ(ブラジル)や2年連続リーグMVPの若きエースFWアリフ・アイマン、昨季リーグ最優秀MF受賞のアフィク・ファザイル、同最優DF受賞のシャールル・サアドに加え、代表チームでも両サイドバックを務めるマシュー・デイヴィーズとラヴェル・コービン=オングらもおり盤石です。この他、代表選手ながらチームでは控えに回っているアキヤ・ラシドやシャフィク・アフマド、モハマドゥ・スマレのFWトリオ、そして今季は代表入りが期待されるMFナタニエル・シオ・ホンワンなど豊富な資金力による選手層の厚さこそがJDTの強さの根源です。スーパーリーグトップクラスのチームを2チーム作れるほどの陣容は、ローテション起用も問題なく、死角が見当たらず、今季も優勝候補の最右翼です。

<注目選手>
MFアフィク・ファザイル、MFシャマー・クティ・アッバ
昨季のリーグ最優秀MFに選ばれたものの、MFナズミ・ファイズとの併用も多く、絶対的な主力選手とは言いがたいアフィク選手。今季からの試合数増加に加え、守備的MFとしてポジションがかぶるベテランのナチョ・インサの衰えもあり、今季は出場試合数を増やして一気にブレークする可能性があります。
一方、昨年7月に負った膝のケガからやっと復帰するシャマー選手は、JDTでは主力の座を掴み、代表でも自身初ゴールを挙げるなど実績を積み始めた矢先のケガでしたが、今では完治してドバイ合宿でも元気な姿を見せていました。試合の流れを読むことに長けたアフィック選手とピッチを所狭しと駆け回るシャマー選手の2人がチームで活躍すれば、それはそのまま代表チームの強化にもつながります。

トレンガヌFC

<ホームスタジアム>
スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ-50000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-2位(22試合14勝2分6敗 得点39失点20勝点44)-AFCカップ出場権獲得
マレーシアカップ-ベスト4
FAカップ-準優勝
<主な新規加入選手
FWソニー・ノルデ(ハイチ、マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
FWジョーダン・ミンター(ガーナ、KLシティへの期限付き移籍から復帰)
FWイヴァン・マムート(クロアチア、ルーマニア1部FCSBから加入)
MFアディサック・クライソーン(タイ、タイ1部ムアントン・ユナイテッドFCから移籍)
DFサルドル・クルマトフ(ウズベキスタン、ウズベキスタン1部PFCソグディアナ・ジザフから移籍)
DFドマゴイ・プシッチ(クロアチア、クロアチア2部NK BSKビイェロ・ブルドから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ)

<チーム概要>
過去5季に渡り監督として安定した成績を収めたナフジ・ザイン氏が経営陣への不信からチームを去り、テクニカルディレクターのトミスラフ・スタインブリュックナー氏が新監督に就任したトレンガヌFCは、外国籍選手も昨季から残るのはハビーブ・ハルン(バーレーン)1人と、大幅な入れ替えを行なっています。
マレーシア人選手でも、代表で主力のFWファイサル・ハリムがスランゴールFCへ移籍し、近年リーグ上位にあったチームとは全く違うチームとなっています。その一方でGKラーディアズリ・ラハリム(21)、DFアザム・アズミ(22)といった若き代表選手も擁しており、新外国籍選手が上手く機能すれば、今季もリーグ上位進出は狙えるチームです。
また今季はAFCカップにも出場するトレンガヌFCの懸念材料を探すとすれば、選手層が薄く、主力と控えの差が大きいことでしょう。シーズンも佳境となる9月にはAFCカップ1回戦、そして勝ち残っていればマレーシアカップ準決勝もあり、過密日程での選手のやりくりを間違えれば、リーグ上位進出も危うくなります。

<注目選手>
FWイヴァン・マムート、FWジョーダン・ミンター
チェチェ・キプレ(13ゴール)、クパー・シャーマン、ファイサル・ハリム(いずれも6ゴール)、マヌエル・オット(5ゴール)と昨季のチーム総得点39点中30点を叩き出した4選手が退団したトレンガヌFC。その代わりとして期待されるのが新加入のイヴァン・マムートと、KLシティFCへの期限付き移籍から復帰するジョーダン・ミンターのFWコンビです。192cmと長身のマムート選手は今季が自身初となるアジアでのプレーになります。一方のミンター選手は2020年から2022年途中までセカンドチームのトレンガヌFC IIでプレーし、32試合で30ゴールを挙げ、昨季後半はKLシティFCへ期限付きしていました。KLシティFCでは10試合で3ゴールでしたが、この両選手の活躍が今季のトレンガヌFCの浮沈を担っています。

サバFC

<ホームスタジアム>
リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル-35000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-3位(22試合13勝3分6敗 得点36失点36勝点42)-AFCカップ出場権獲得
マレーシアカップ-ベスト4
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手
FWジェィコブ・ンジョク(ナイジェリア、クランタン・ユナイテッドFCから移籍)
FWジャイルトン・パライバ(ブラジル、中国2部青島青年島FCから移籍)
MFテルモ・カスタニェイラ(ポルトガル、アイスランド1部ÍBヴェストマンナエイヤ から移籍)
MFコ・グァンミン(韓国、韓国1部FCソウルから移籍)
DFガブリエル・ペレス(ブラジル、ブラジル3部GEブラジウから移籍)
FWダレン・ロック(PJシティFCから移籍)
FW S・クマーラン(PJシティFCから移籍)
FWジャフリ・フィルダウス・チュウ(ペナンFCから移籍)
MFスチュアート・ウィルキン(JDTへ復帰、その後完全移籍)
DF R・ディネシュ(スランゴールFCから移籍)
DFイルファン・ザカリア(KLシティFCから移籍)
DFダニエル・ティン(JDTから期限付き移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ)

<チーム概要>
昨季はシーズンの大半で2位をキープしながら、最終節に敗れて3位となったサバFCは、終盤の失速の原因となった得点力不足を解消するための補強を中心に行いました。スーパーリーグ撤退を決めたPJシティFCから代表FWダレン・ロックとチームメートのFW M・クマーランを、また昨季の2部プレミアリーグでリーグ2位の6ゴールを挙げたFWジェィコブ・ンジョクをクランタン・ユナイテッドFCからそれぞれ獲得、さらに2019年と2021年にJリーグ東京ヴェルディでもプレー経験があるFWジャイルトン・パライバも獲得しています。
また中盤にはJDTから期限付き移籍していたスチュアート・ウィルキンを完全移籍で獲得、センターバックにはいずれもの新加入のイルファン・ザカリアとガブリエル・ペレス、サイドバックには代表候補のダニエル・ティンなどを次々と獲得し、このオフでは最もバランスの良い補強ができた印象です。
既存組では昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権での活躍が記憶に新しいMFスチュアート・ウィルキンやDFドミニク・タン、DFながらチーム最多の8ゴールを挙げたパク・タエスー、中盤の司令塔MFバドロル・バクティアル、元代表GKカイルル・ファーミらもおり、サバFCは潜在能力的には今季もリーグ上位を狙えるチームです。

<注目選手>
MFコ・グァンミン、MFスチュアート・ウィルキン
FCソウルではKリーグ出場159試合を誇るクラブの「レジェンド」プレーヤーですが、同時に「アジアの舞台」知る選手でもあります。ACL33試合出場、しかも準決勝2度、ベスト16も2度という経験を持つコ選手の加入は、今季初めてAFCカップに出場するサバFCにとって貴重な補強となりそうです。
JDTからの期限付き移籍を経て、完全移籍となったウィルキン選手は、そのJDT勢が大量に代表招集を辞退したことから昨年末のAFF選手権では主力として活躍し、シンガポール戦での2ゴールを含む4ゴールは、自身がリーグ戦で記録した2ゴールを上回るものでした。この大会で一皮剥けた感のあるスチュアート選手ですが、その実力をリーグ戦でも見せてくれるのかに注目です。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ