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2023マレーシアスーパーリーグ チーム紹介(2)
ヌグリスンビランFC
スランゴールFC
KLシティFC

マレーシアスーパーリーグはいよいよ今日2月24日に開幕します。昨日から始めた今季のマレーシアスーパーリーグのチーム紹介は、昨季の4位から6位のヌグリスンビランFC、スランゴールFC、KLシティFCです。
*昨日、トレンガヌFCのチーム紹介記事を挙げましたが、トランスファーウィンドウ最終日となった昨日、トレンガヌFCは、昨季はヌグリスンビランFCでプレーしたMFオミド・ナザリ(フィリピン)の獲得を発表しています。なおトレンガヌFCには既に東南アジア枠の選手としてタイ代表FWアディサック・クライソーンが在籍しています。

ヌグリスンビランFC

<ホームスタジアム>
トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ-45000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-4位(22試合12勝5分5敗 得点33失点26勝点41)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWカサグランデ(ブラジル、ペナンFCから移籍)
MFレヴィ・マディンダ(ギニア、JDTから期限付き移籍)
MFヴィニシウス・レオネル(ブラジル、CEオペラリオ・ヴァルゼア=グラデンセから移籍)
DFサフワン・バハルディン(シンガポール、スランゴールFCより移籍)
FWシャーレル・フィクリ(スランゴールFCから移籍)
MF R・バラトクマル(PJシティFCから移籍)
MFトミー・マワト(サバFCから移籍)
MFマハリ・ジュスリ(PJシティFCから移籍)
DFアルーン・クマル(PJシティFCから移籍)
DFザイナル・アビディン(PJシティFCから移籍)
DFハスブラー・アブ・バカル(JDTから移籍)
DFファリド・ナザル(UITM FCから移籍)
GKシーク・イズハン・ナズレル(スランゴールFCから期限付き移籍)
GK T・シャヒースワラン(JDTから移籍)
GKトフィク・アル=ラシド(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(画像はアウェイ。この記事の執筆時点でホームは発表されていません。)

<チーム概要>
昨季はスーパーリーグ昇格1年目ながら最後まで上位争いに加わったヌグリスンビランFC。最後は3位のサバFCと勝点差1でAFCカップ出場権を逃したものの、その快進撃は見事でした。
しかし昨季オフにいずれも代表選手のGKシーハン・ハズミ(JDTに移籍)、DFクザイミ・ピー(スランゴールFC)を失うなど、好成績の要因となったリーグ3位タイの26失点の守備陣に今季は不安が残ります。シンガポール代表のDFサフワン・バハルディン、守備的MFのヴィニシウス・レオネル、そしてU23代表GKシーク・イズハンなどを新たに獲得していますが、この選手たちと守備の要でもあり昨季から唯一残留した外国籍選手のエラルド・グロンがうまく連携できるかどうかが上位争いに絡めるかどうかのポイントになりそうです。
一方の攻撃陣は、昨季途中に加入したJリーグ鹿児島ユナイテッドでもプレー経験のあるグスタヴォが13試合で11ゴールを挙げましたが、チーム2位タイの6ゴールを挙げたマテウス・アウヴェス共々、契約は延長されず、チーム総得点の33点中半数以上の17ゴールを挙げたFWコンビが抜けた穴は、ペナンFC在籍中の35試合で27ゴールを挙げているカサグランデ、そして2020年のマレーシア人リーグ得点王のシャーレル・フィクリの両FWが埋めることになりそうです。
当初は外国籍選手枠9名のところに3名のみと発表されていたヌグリスンビランFCは、その後は結局5名となりましたが、マレーシア人選手についても昨季上位のクラブと比べると見劣りする補強となっており、今季は苦しいシーズンになりそうです。

<注目選手>
FWシャーレル・フィクリ、DFサフワン・バハルディン
いずれも昨季はスランゴールFCに在籍した両選手ですが、その実力を発揮することはできませんでした。ペラ州出身で、地元のクラブ一筋でプレーしてきたシャーレル選手は、新型コロナのせいで11試合に短縮された2020年シーズンには10ゴールを挙げ、翌シーズンはスランゴールFCへ移籍しました。しかし2021年は1ゴール(10試合)、昨季2022年シーズンも1ゴール(13試合)しか挙げられず、シーズン終盤には出場時間も減っていきました。そんな中で絶対的なFWがいないヌグリスンビランFC移籍は大きな転機となるとともに、得点力不足に悩む代表復帰への足掛かりになってくれそうです。
同様に昨季は試合中の脳震盪からさらに頭のケガが続き、シーズン後半を治療のため棒に振ったサフワン選手も捲土重来を期しての移籍となっているはず。スランゴールFC在籍3シーズンで、昨季は5試合と最も出場試合数が少なかったですが、頭のケガが完治していれば、東南アジアトップクラスのセンターバックと言われた実力を発揮してくれるはずです。

スランゴールFC

<ホームスタジアム>
MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ-25000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-5位(22試合8勝6分8敗 得点39失点33勝点30)
マレーシアカップ-準優勝
FAカップ-ベスト4
<主な新規加入選手>
FWラウフ・サリフ(ガーナ、米国2部スポーティング・カンザスシティIIから移籍)
FWエイロン・デル・ヴァイエ(コロンビア、コロンビア1部オンせ・カルダスから移籍)
MFヨハンドリ・オロスコ(ベネズエラ、コロンビア1部デポルテス・トリマから移籍)
MFヌール・アル=ラワブデ(ヨルダン、ヨルダン1部アル・ファイサリーFCから移籍)
FWファイサル・ハリム(トレンガヌFCから移籍)
MF K・サルクナン(ヌグリスンビランFCから復帰)
MF V・ルヴェンティラン(PJシティFCから移籍)
DFクザイミ・ピー(ヌグリスンビランFCから移籍

今季ユニフォーム(画像は上がホーム、下がアウェイ)

<チーム概要>
かつては隆盛を誇った「赤い巨人」も2010年以来、優勝から遠ざかっており、その間にJDTの天下となっています。また近年は強化方針も迷走し、ここ数年のヨーロッパ志向も結局は功を奏しませんでした。昨年はカイオン、ユーリとブラジル出身FWを獲得するなど南米路線へ回帰し、得点はリーグ2位タイの39点としたものの、失点はリーグ7位の33点、4位のヌグリスンビランFCには勝点で11差をつけられての5位でした。それでも昨シーズン後半に前代表監督のタン・チェンホー氏が就任して以降は、リーグ戦は3勝1分、マレーシアカップは優勝した2015年以来の進出と、長い低迷期を抜け出すきっかけが見えたようなスランゴールFCですが、今季はその真価が問われるシーズンです。
リーグ2位の14ゴールを挙げたカイオン、そして期待に添えなかったユーリとの契約を更新せず、FWエイロン・デル・ヴァイエ(コロンビア)、攻撃的MFヨハンドリ・オロスコ(ベネズエラ)と再び南米路線を踏襲しています。また代表でもエースとして活躍するファイサル・ハリムが加入したことで、同じく代表の中盤を務めるブレンダン・ガンとムカイリ・アジマルがチームメートにおり、彼らとのホットラインで今季も攻撃陣はある程度計算が立ちそうです。
課題の守備は、残留したセンターバックのヤザン・アル=アラブの左右に新加入の代表DFクザイミ・ピーとやはり代表DFのアフロことシャルル・ナジーム、そして昨年末のAFF選手権ではJDTコンビが不在の中、代表の左右サイドバックを務めたクエンティン・チェンとファズリ・マズランとメンバーは揃っており、昨季たびたび見られた不用意なミスが減れば、今季の目標とするアジアの舞台への出場権獲得も夢ではありません。

<注目選手>
FWファイサル・ハリム、MF V・ルヴェンティラン
ミッキーの愛称で知られるファイサル選手は160cmに満たない小兵ながら、昨季は代表戦でチームトップの6ゴールを挙げ、一気に代表のエースとなりました。リーグ戦では20試合で6ゴールと爆発的な活躍をしたわけではないですが、トレンガヌFC時代とは違い、スランゴールFCには代表の若き司令塔ムカイリ・アジマル、そしてベテランMFブレンダン・ガンがおり、そこから出るパスで今季は二桁ゴールも夢ではありません。
PJシティFCの試合を最も多く見た日本人(自称)として、ルヴェンティラン選手が代表でプレーし、スランゴールFCでプレーすることになったのは感慨深いものがあります。2年前にPJシティFCでデビューしたことは自信がなさそうなプレーで、チームメートから試合中に叱責される場面も見てきましたが、AFF選手権では持ち味の正確なクロスを度々披露するなど、その堂々としたプレーぶりをスランゴールFCでも見せてくれれば、チームのトップ3でのフィニッシュも期待できます。

KLシティFC

<ホームスタジアム>
KLフットボールスタジアム(クアラルンプール-18000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-6位(22試合8勝5分9敗 得点30失点31勝点29)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-ベスト16
AFCカップ-準優勝
<主な新規加入選手>
FWチェチェ・キプレ(コートジボアール、トレンガヌFCから移籍)
FWパトリック・ライヒェルト(フィリピン、タイ1部PTプラチュワップFCから移籍)
FWカイオン(ブラジル、スランゴールFCから移籍)
MFセバスチャン・アヴァンジニ(イタリア、デンマーク1部ホブロIKから移籍)
DFマッコ・ジルダム(クロアチア、クロアチア1部NKスラヴェン・ベルポから移籍
MFフィルダウス・サイヤディ(ペラFCから期限付き移籍)
DFナジルル・ナイム(サバFCから移籍)

*今季ユニフォームはこの執筆時で発表がありません。

<チーム概要>
昨季のAFCカップでは、2015年のJDTに次ぐ東南アジアのクラブとしては2チーム目となる決勝に進出する快進撃を見せましたが、共に初優勝をかけた決勝戦ではオマーンのアル・シーブSCに0-3で敗れて、残念ながらJDT以来のMリーグクラブの優勝とはなりませんでした。その快進撃を支えたのはグループステージ4試合で2失点、ノックアウトステージに入ってからも準決勝までの4試合を3失点に抑えた守備陣と、名将ボヤン・ホダック監督のもとチーム全体で共有されていた守備の意識の高さでした。しかし、それは裏返せばチームとしての得点力が低く、大量得点が期待できないということ。これは、ノックアウトステージでは延長でも0-0のままPK戦で勝利した試合が2試合あったことからも分かります。
得点力不足はKLシティFCにとっては積年の課題であり、昨季の30得点はスーパーリーグ8位でした。毎年新たなストライカーを獲得するものの、期待外れだったり、デビュー戦でシーズンを棒に振るケガをするなどし、本来ならば司令塔として機能して欲しいMFパウロ・ジョズエがチーム最多の6ゴール、MFながらFW的に起用されているロメル・モラレスが5ゴールと、昨季も絶対的エース不足が解消できませんでした。
そんなKLシティFCは、昨季のスーパーリーグでリーグ2位の14ゴールを挙げたカイオンをスランゴールFCから、同3位の13ゴールを挙げたチェチェ・キプレをトレンガヌFCから獲得しています。さらにかつてマラッカ・ユナイテッドFC在籍時の2019年に12ゴールを挙げているパトリック・ライヒェルトまで獲得するなど、スーパーリーグで実績のあるFWトリオが額面通りに働いてくれれば、得点力不足は一気に解消します。
FW陣が固定されればキャプテンのジョズエ選手、攻撃的MFのモラレス選手も本来のポジションに戻ってプレーできるはず。守備の要のジャンカルロ・ガリフオッコ、そして守護神ケヴィン・メンドーザが控える守備陣が昨季同様の安定感を見せてくれれば、昨季以上の順位も十分ありえるKLシティFCです。

<注目選手>
FWハキミ・アジム、MFザフリ・ヤハヤ
昨季のスーパーリーグでは11試合出場でわずか1ゴールながら、昨年末のAFF選手権で初めて代表に選出されたハキミ・アジム。しかし代表デビューとなったラオス戦でゴールを決めるなど、キム・パンゴン監督の期待に応える活躍を見せました。その勢いのまま今季に臨みたかったところですが、上記のようにチームは次々と外国籍FWを獲得しており、ボヤン・ホダック監督が今年20歳になったばかりのハキミ選手をどのように起用するのかが注目したいところです。
2021年のマレーシアカップ決勝でJDT相手に先制ゴールを決めたザフリ・ヤハヤは、前年の活躍に比べると昨季2022年シーズンはやや低調でした。今季は外国籍FWの大量加入もあり、中央ではなく右サイドでの起用が増えそうですが、売り物のスピードが活かせるポジションでもあり、個人的にはそこが一番しっくりくる印象を受ける選手です。その右サイドからFW陣にこのザフリ選手がボールを供給できれば、KLシティ

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