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2022年シーズンのMリーグ外国籍選手枠数の変更は無し
パハンはクリストフ・ギャメル新監督の就任を発表

昨日はタン・チェンホー監督辞任のニュースで激震が走ったマレーシアサッカー界。スズキカップ2020でのグループステージ敗退を理由とした辞任ということが、それがタン監督だけの責任かどうかは別にして、この予想外の惨敗の影響はあちらこちらに現れており、今日取り上げる外国籍選手枠削減についての議論もその一つです。

2022年シーズンのMリーグ外国籍選手枠数の変更は無し

スズキカップ2020でマレーシア代表がグループステージで敗退したことを受け、Mリーグの外国籍選手枠が多すぎることにより、マレーシア人選手の出場機会が奪われていることもその原因ではないかという声が上がる中、マレーシアサッカー協会FAMは、今季2022年シーズンのMリーグの外国籍選手枠数の変更は行わないことを発表しています。

マレーシアの通信社ブルナマはFAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長の話として、今季の外国籍選手枠数の変更を行うには時期が遅すぎると述べる一方で、Mリーグを運営するMFLとは今後も外国籍選手枠数の削減について話し合う用意があると話していることを報じています。さらに、Mリーグの外国籍選手枠についてはFAMの技術委員会が中心となって、維持すべきか削減すべきかを検討する予定であると述べたサイフディン事務局長は、外国籍選手枠の削減を行う場合でも、実施時期は最短で2024年からとなるという見解も伝えています。

Mリーグの外国籍選手枠は1部スーパーリーグが5名(ただしその内2名はそれぞれAFC加盟国選手枠と東南アジアサッカー連盟AFF加盟国選手枠が1名ずつ)、2部プレミアリーグが4名(内1名はAFC加盟各選手枠1名でAFF枠はなし)となっています。

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外国籍選手のせいで、マレーシア人選手が育たないという意見は代表チームの成績が下降する度に議論になる話題です。この記事では特にどのMリーグクラブでもストライカーが外国籍選手であることから、マレーシア人ストライカーが育たないという、まぁどこの国のリーグでも聞かれる意見が書かれています。またこの記事ではファンや評論家だけではなく、現役の選手からも外国籍選手枠削減についての声が上がっているとしています。

この記事を読んで思い出すのは、実際に外国籍選手の登録を禁じた2009年から2011年のシーズンです。それ以前の1999年から3年間に渡りMリーグが外国籍選手の登録を完全に禁じたことがありましたが、このときはアジア通貨危機の影響による経済上の理由でした。しかし2009年からの3年間の外国籍選手登録禁止は「マレーシアサッカーのレベルアップ」が理由でした。マレーシア人選手だけのクラブでリーグを行った結果、2009年と2011年の東南アジア競技大会通称シーゲームズでU23代表が2大会連続金メダル、またA代表は2010年にはスズキカップで初優勝を飾っていることから、それなりの効果はあったのだとは思います。しかし、国内リーグは代表チーム強化のためだけにあるのではなく、興行としての目的もあるわけで、その「質」が維持できなければファンは当然離れていくので、リーグそのものが立ち行かなくなってしまいます。

今回スズキカップのベスト4各国の国内リーグを見ても、外国籍選手枠はタイはマレーシアと同じ5名(内AFC1名、アセアン1名)、インドネシアは4名(内AFC1名)、ベトナムは3名、シンガポールは5名となっており、これだけを見ればMリーグの外国籍選手枠を減らすことで代表チームが強くなるとは正直思えず、MリーグとFAMには常識的かつ論理的な判断を求めたいですが、果たしてどうなることでしょう。

パハンはクリストフ・ギャメル新監督の就任を発表

昨季Mリーグ1部で10位だったスリ・パハンFCは、来季の監督にフランス出身のクリストフ・ギャメル氏が就任したとクラブ公式Facebookで発表しています。なお、かつてはフィジー代表の指揮を取った経験もあるギャメル監督との契約期間については明らかになっていません。

昨季2021年シーズンにスリ・パハンFCの監督に就任したトーマス・ドゥーリー監督と共にコーチとして加入したギャメル氏は、開幕から2試合でドゥーリー監督と共に「休養」をクラブから申しつけられて、その後はU21チームの指導を任されていました。

ドゥーリー、ギャメル両氏が「休養」となったことで、2020年にはスリ・パハンFC(当時はパハンFA)の監督を務めていたドラー・サレー チームマネージャーが代行監督に就任しましたが、チームは4勝6分12敗、降格した11位のクラブとは勝点差2という首の皮一枚の差で1部に踏みとどまりました。なおドラー監督代行は、今季は再びチームマネージャーに戻ることも合わせて発表されています。

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2020年シーズンに監督を務めた際にも10位、そして暫定監督として22試合中20試合の指揮を取った昨季も10位、しかもマレーシアカップはグループステージ敗退と2年間で目に見える成果は何も出せなかったドラー氏の留任の可能性はゼロであることは明らかでしたが、ギャメル監督の就任でやっと今季のMリーグの監督全員の顔ぶれが決まったことになります。

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