フットボールフィリピン

編集長コラム|スヴェン・ゴラン・エリクソン監督が率いたフィリピン代表を振り返る

photo by fifa.com

UAE(アラブ首長国連邦)で開催中のアジアカップ2019。準々決勝が始まり盛り上がっていますね。森保一監督率いる日本代表も、韓国人指揮官パク・ハンソ監督率いるベトナム代表をなんとか退けて、準決勝に駒を進めました。

この大会の8強に残った国を地域連盟別に整理してみると、東アジア連盟からは日本、韓国、中国の3カ国、東南アジア連盟からはオーストラリアとベトナムの2カ国、南アジア連盟からはゼロ、中央アジア協会(なんでここだけ協会を名乗るのだろう)からはイラン、西アジア連盟からはカタールと開催国UAEの2カ国ですね。

南アジア連盟からはゼロ。確かにこの地域が最もレベルが低いとは思うのですが、インド代表がグループステージで情けない去り方をしたのは残念でした。インドスーパーリーグのスター軍団(インド国内では)が、この大会で旋風を巻き起こしても良かったと思っているのは私だけでしょうか。

そして讃えるべきは東南アジア王者のベトナム代表ですね。グループステージでは3位でしたけど16強の16番目にギリギリ残って、決勝トーナメント初戦をPK戦の末に勝ち上がり、ついに日本代表との直接対決を実現しました。終わってみれば1勝1分3敗という戦績でしたが、東南アジア勢としてアジアの8強に食い込んだことを誇りに思っています。

ところで、スヴェン・ゴラン・エリクソン監督率いるフィリピン代表は、皆さんの眼にはどのように映りましたか?

グループステージの韓国代表との初戦で敗れはしたものの、9人(!)でバスを並べて猛攻に耐え続けたことが評価されました。そこに先発した全員が海外出身(のハーフ)選手たちで占められていて、その中に日系フィリピン人の佐藤大介も名を連ねていたことも重なり、試合後は日本の複数のメディアが取り上げていましたね。

結局、フィリピン代表はグループステージで3敗を喫して敗退したのですが、エリクソン監督が韓国、中国、キルギスといった格上相手に捻りだした答えは、3戦ともにバスを並べてひきこもるという夢のない布陣の採用だったのですよ。

グループ内最強の韓国戦は理解できます。実際に最少失点差での負けでしたから。私は昨年の年末に東京・渋谷で行なわれたタグ祭りの壇上でも、このフットボールフィリピンの記事でも、韓国に僅差で負けて、中国からは勝ち点1を、最後のキルギスに勝利して、グループ3位の4枠に残っての決勝トーナメント進出を(勝手ながらに)公言していました。

結局、バスを並べる布陣がハマったのは韓国戦だけで、次の中国戦で同じことをしてみたけどハマらなかった。じゃあ、最後のキルギス戦は勝ちに行く布陣で臨むべきところなのに、またバスを並べてまた負けたんです。確かに相手が強かったと言えばそれまでですけど。

グループステージ敗退という結果自体は仕方ねえよなで済むでしょう。でも、結局勝てないで敗退するんだったら、普段どおりのフィリピンのフットボールを選手たちにやらせてあげるべきだったと思うのですよ。これ結果論なんですけどね。

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