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代表好調の裏で帰化選手不要論が再燃か

キム・パンゴン監督就任以降、好調なマレーシア代表。43年ぶりとなるAFCアジアカップ出場権獲得に続き、先日のキングズカップでもFIFAランキングで上位のタイ、そしてタジキスタンと90分間で引き分け、サポーターの期待も近年にないほど高まっています。

44年ぶりの優勝がかかったキングズカップの決勝、タジキスタン戦で、キム監督は初戦のタイ戦からメンバーを入れ替えて臨みましたが、その中の1人、モハマド・スマレー(JDT)は気合が空回りしており、さらに危険なタックルであわやレッドカードといったハラハラする場面を演出し、試合後はSNSだけでなく、スポーツメディアなどでも、そのプレーに批判が集まり、かつてクダの監督を務め、2007年、2008年と2季続けてリーグ・マレーシアカップ・FAカップの三缶、トレブルを達成しているアズライ・コー氏などは、スマレ選手は試合では全くチームに貢献しておらず、マレーシアは10人で試合をしているようなものだったと酷評しています。

今回のキングズカップでは、代表のパフォーマンスについては概ね良い評価が与えられていた中で、このスマレ選手についてだけは、久しぶりの出場で興奮したのか、他の選手に負けまいと焦っていたのかわかりませんが、平常心で試合には望めていないことが分かるほどで、頻繁にボールを奪われたり、危険なタックルを繰り返すなど、実際にそのプレーには問題があったのは事実でした。

前述のコー氏は、そこから行動に問題があり、精神的に不安定な住まれ選手は代表チームに不要と話し、さらに代表チームにはそもそも帰化選手は不要と、マレーシア語紙のハリアンメトロの取材に答えています。

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また、このような「帰化選手批判」の声があちこちで上がったことを受け、コソボ出身でやはり帰化選手のリリドン・クラスニキ(タイ1部コーンケン・ユナイテッドFC)が自身のインスタグラムで「(帰化選手は、チームが試合に)勝てばマレーシア人扱い、負ければ外国人扱いされる。」と投稿するなど、批判を受けている帰化選手にも不満が溜まっていることが見て取れます。

スマレ選手はコロナ禍前の2019年のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では活躍して多くのサポーターから賞賛されましあ。またクラスニキ選手も、かつて在籍したクダでは多くの地元サポーターから愛された選手です。しかし、この2人とブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ(JDT)の3選手はコロナ禍による中断のW杯予選や昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権などではチームに貢献できなかったことから、サポーターだけでなく、元代表選手などが代表チームへの帰化選手不要論を公言し、これを受けたかどうかはわかりませんが、マレーシアサッカー協会FAMは協会主導で進めていた「代表チーム強化を目的とした外国籍選手のマレーシア帰化支援プログラム」の一時中止を決めルことを発表しています。

Mリーグの帰化選手には、いわゆるハイブリッド帰化選手と呼ばれる、マレーシア国外で生まれ育ったものの父母あるいは祖父母がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得した選手と、そういったマレーシア人の血縁を持たない帰化選手がいます。代表チームを見ると、ハイブリッド帰化選手は今回のキングズカップ出場メンバーでは、ラヴェル・コービン=オング、ディオン・クールズ、ドミニク・タン、マシュー・ディヴィーズ、デクラン・ランバート、ブレンダン・ガン、ダレン・ロックと7名、帰化選手がスマレ1名と25名のメンバー中、およそ3分の1が帰化選手ですが、ハイブリッド帰化選手が批判を受けることはほとんどありません。

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