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ベトナム代表の秘密兵器、元チェコ代表GKフィリップ・グエンがアジア杯に向けた意気込みを語る

チェコとベトナムの混血であり、チェコ代表の招集歴もあるベトナム1部ハノイ公安FC所属のGKフィリップ・グエン(31歳)がこのほど、地元大手サッカー紙の取材に応じた。同選手は、年始にカタールで開催されるAFCアジアカップ出場、そして、FIFAワールドカップ初出場を目指す上での意気込みなど語った。

同選手は2023年末にベトナム国籍を取得。ベトナム代表のフィリップ・トルシエ監督は、その直後に発表したアジアカップに向けた強化合宿メンバーに同選手を初招集している。なお、このインタビューは昨年末に行われたもの。

Photo:CAHN

-クリスマスが終わり、間もなく新年を迎えようとしているこの時期に、フィリップに取材できる機会が得られて嬉しく思います。ベトナムで過ごす年末は、生まれ育ったチェコの年末と比べて、どんな違いがありますか?

「僕がベトナムでクリスマスと新年を迎えるのは、これが3回目ですから、とくに驚くことはありません。しかし、今回はより特別なものとなりました。とても嬉しいニュースが届いたのです。僕たち家族は、それを9年間も待ち望んでいました。僕自身もベトナムでクリスマスを祝うのが大好きです。もしかしたら、気候のせいかもしれません。ベトナム(ハノイ)は冬でも温暖ですし、気持ちも暖かくなります。妻と子供(いずれも越僑)もそう感じているようです。」

-良い知らせというのは、具体的に何だったのか教えてもらえますか?9年間待ち望んでいた吉報とは何でしょう?

「ええ。とても良い知らせでした。初めて聞いた時も今後100回聞いたとしても、神聖かつ高貴で、このことを言及するたびに気分を高揚させてくれることです。9年の歳月をかけて、とうとうベトナムのパスポートを入手しました。ベトナムの市民権を得られたのです。9年間という長い年月をかけて、願いが実現したとき、本当に幸せな気持ちになりました。不安や忍耐、失望、希望など様々な感情が入り乱れた9年間でしたが、待ち望んだ結果が得られました。今はとても幸福で、家族や支援してくださった皆さんに感謝の言葉を述べたいです。」

「これは、僕のキャリアにおいて大きな前進でした。知らせを聞いた瞬間、家族の顔が明るくなりました。特に父です。幼少期から父に祖国であるベトナムへの愛情を注ぎこまれてきました。彼はいつも僕に寄り添い、ベトナム国籍取得までの9年間という長い年月を共にしてくれました。僕がベトナム国籍を取得したときに、父は号泣していました。僕がハノイ公安FCでプレーすることが決まったときにも泣いていました。」

-夢がかなった後、お父さんとはどんな会話を交わしたのですか?

「その夜、父と妻子を連れて外食していました。その時、電話が鳴って僕はテーブルを離れて吉報を聞いたのです。この素晴らしい知らせをどうやって家族に伝えたらいいのかと思慮しました。僕がテーブルに戻ると、笑顔だった父が突然泣き出しました。“一体どうしたんだい?”と尋ねると、“またダメだったんだろ?また待たなければならないんだろ?”と訊いてきました。僕は慌てて”違う、そうじゃないんだ。逆だよ。僕はたった今ベトナム人になった。正式にこの国の国民になれたんだよ、父さん”と伝え、そこから皆で喜びを分かち合いました。」

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