ベトナムフットボールダイジェスト+

破壊者か改革者か、「ポスト黄金世代」を率いてアジア頂上決戦に挑むトルシエ・ベトナム

前回ベスト8メンバーの大半がチームを去ったベトナム

フィリップ・トルシエ氏がベトナム代表(兼U-23代表)監督に就任して、間もなく1年が経とうとしている。ベトナム代表は、2024年始にカタールで開催されるアジアカップ2023に挑む。2019年の前回UAE大会では、韓国人のパク・ハンソ監督のもとベスト8に躍進。当時のベトナム代表の平均年齢は23歳と出場チーム中最も若いチームだった。

Photo:Bongda+

5年後に行われる今回のカタール大会では、彼ら所謂「黄金世代」が26~28歳とサッカー選手として絶頂期を迎えて臨むはずだったが、トルシエは世代交代に大きく舵を切った。就任当初から大胆なメンバー選考を行って、そのたびに議論と波紋を呼び、それでも自身の哲学を曲げることはなかった。先日、トルシエが発表したアジアカップに向けた強化合宿メンバーには、前回大会のメンバーがわずか8人しか選ばれていない。今のベトナム代表には、エポックメイキングだったパク・ベトナムの面影は殆ど感じられない。

ここでベトナムの「黄金世代」について少し振り返っておこう。この呼び名が使われ始めたのは、おそらくHAGLアーセナルJMGアカデミー第1期生がチームの主軸を担った2013~2014年のU-19ベトナム代表からだ。この時の中心メンバーには、FWグエン・コン・フオン、FWグエン・バン・トアン、MFルオン・スアン・チュオン、MFグエン・トゥアン・アインなどがおり、同アカデミー出身者が代表の7割を占めた。これに続いたのが2014~2020年のU-20ベトナム代表。MFグエン・クアン・ハイやFWグエン・ティエン・リン、DFドアン・バン・ハウ、DFホー・タン・タイらを擁したこの世代は史上初のU-20ワールドカップに出場するなどアジアの枠を越えた活躍を見せた。

この2つの世代が融合したのが、2017~2020年のU-23ベトナム代表。U-23アジア選手権2018で準優勝の快挙を達成し、東南アジア競技大会2019(SEA Games)で60年ぶりにベトナムに金メダルをもたらすなど国中がU-23フィーバーに沸いた。この時のU-23代表メンバーは既にA代表でも主力となっており、AFFスズキカップ2018の10年ぶりとなる優勝にも貢献。その活躍ぶりは「黄金世代」の名に恥じぬものだった。

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