移籍情報|元フィリピン代表DFシモーネ・ロタがカヤFCイロイロに移籍加入
フィリピンプレミアリーグに所属するカヤFCイロイロは18日、昨シーズン限りで活動を休止したダヴァオ・アギラス・ベルマーレに所属していたフィリピン代表DFシモーネ・ロタの移籍加入を、公式SNSなどで発表した。
シモーネ・ロタは、フィリピン・マニラ首都圏のパラニャーケでフィリピン人男女の間で出生したが、生後2ヶ月の時に修道院に置き去りにされ、その後、修道会が運営する孤児院に預けられている。
孤児院で育てられていたシモーネとヴァレンティーナ(実妹ではない)のふたりは、孤児院を訪れたイタリア人のロタ夫妻が引き取ることになり、兄妹は幼少期に養子縁組のかたちでイタリアに渡っている。
イタリアでタクシー運転手をしていたロタ夫妻の養子となったシモーネは、イタリア国内のセリエC1(3部)C2(4部)や、スイス2部のクラブチームなどを渡り歩き、その間、イタリアのU-20リーグ選抜チームに招集された経歴を持っている。
フィリピンにルーツを持つロタは、フィリピン代表のスカウティング対象選手として、30歳となった2014年にフィリピンに渡り、スタリオンFC(現スタリオン・ラグーナFC)に移籍加入。同年からフィリピン代表にも招集されるようになり、これまで40キャップを数えている。
フィリピンでは、スタリオン、セレス・ネグロス、ダヴァオ・アギラス・ベルマーレと渡り歩き、フィリピン代表でも活躍するものの、両膝の故障などの影響で、AFFスズキカップ2016と2018や、アジアカップ2019などの大舞台には立てなかった悲運な一面もある。
それでもロタは、自身が育った孤児院などで暮らす恵まれない子供たちへのボランティア活動に積極的で、フィリピンで製作された映画「The Simone Rota Story」の中で自身の半生が描かれるなど、フィリピン国内では絶大な知名度を博している選手だ。
ロタが加入するカヤFCイロイロは、1996年から活動するフィリピンの中堅クラブで、2016年に出場したAFCカップでは、グループリーグを突破してベスト16まで駒を進めている。
昨年のコパ・パウリーノ・アルカンタラ(国内リーグカップ)でも優勝を果たし、フィリピンの第2代表として、今月下旬に開幕するAFCカップに2回目の出場を決めている。
カヤFCイロイロには、中京大学出身の日本人DF大村真也も所属しているため、アジアの大舞台でロタと大村の経験豊富なベテランCBコンビが立ち並ぶ可能性もある。
リニューアル開催となるフィリピンプレミアリーグでの戦いぶりと共に、ロタの加入によってカヤFCイロイロの躍進に注目が集まるだろう。