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ベトナム:伝説のファンタジスタにして悪童 ファム・バン・クインを探して 第4回 天才の憂鬱と韓国を沈めた伝説のシュート

天才ファム・バン・クインの憂鬱

ファム・バン・クインは、2000年代初頭にVリーグ2連覇を達成して黄金期にあったSLNAトップチームにおいても、徐々に頭角を現しつつあった。相変わらずのさぼり癖で、練習をすっぽかすのは日常茶飯事。試合中もボールが来ないと、すぐにやる気をなくし、さらに飲酒と喫煙もアスリートとは思えないほどの量で、大変な問題児ではあったが、その才能はタレント豊富なSLNAの中にあっても群を抜いていた。

 SLNA時代のチームメイトである後輩のレ・コン・ビンは、当時のバン・クインの印象について次のように語っている。

「神様はなぜ僕に彼の才能のほんの一部でも分け与えて下さらなかったのか。バン・クインは柔軟な足腰のおかげで魔法のようなボール扱いをいとも簡単にこなした。彼を表現するのに“天才”という言葉はぴったりだ。」

「練習に多くの時間を費やさずとも、ボールを思いのままに扱うことができた。まるで練習していないのに、いともたやすく相手守備を突破した。ボールを持たないときの彼は自分から動くことはほとんどない。ボールがない時の彼は心ここにあらずという感じで、とても退屈そうに見えた。けれど、ひとたびボールが渡ると別人になる。絶好調の時は本当に手が付けられなかった。どんなディフェンダーでも彼を止めることは不可能。どんな戦術も彼の前では無意味。そう思わせる圧倒的なプレーヤーだった。」

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