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【AFF三菱電機カップ2022・グループA展望】前回王者タイと準優勝インドネシアの突破が濃厚、ダークホースは混血集団フィリピン

東南アジアサッカーの王者を決めるAFFカップ2022が2022年12月20日~2023年1月16日の日程で開催される。今大会から冠スポンサーがスズキ自動車から三菱電機に引き継がれ、大会公式名は「AFF三菱電機カップ」となる。東南アジアが熱狂する1か月にわたる熱い戦いが間もなく始まる。今回の特集では、AFF三菱電機カップを展望。まずは前回王者タイと前回準優勝インドネシアが同居するグループAを紐解く。

Photo:Vietnamnet

グループAの顔触れは以下の通り。※FIFAランキングは2022年10月時点。※AFFカップ最高成績はベスト4以上のみ掲載。

🇹🇭タイ(FIFAランク:111位) AFFカップ最高成績:優勝6回(1996, 2000, 2002, 2014, 2016, 2020)
🇮🇩インドネシア(同152位) AFFカップ最高成績:準優勝6回(2000, 2002, 2004, 2010, 2016, 2020)
🇵🇭フィリピン(同133位) AFFカップ最高成績:ベスト4:4回(2010, 2012, 2014, 2018)
🇰🇭カンボジア(同177位)
🇹🇱東ティモール(同198位)or🇧🇳ブルネイ(同190位)

注目の上位争いは?

グループAの大本命は何といっても前回王者のタイだ。今大会の不参加が噂されるMFチャナティップ・ソングラシンの不在は大きな痛手となるが、それでもチームの格としては頭一つ抜けた存在であることは間違いない。これに続くのが、シルバーコレクターを返上して初優勝を狙うインドネシア。国内リーグでの暴動事件で多数の死傷者を出したインドネシアにとって、国際社会で良い印象を残すためにも、今大会は重要なものになるはずだ。

2021年に開催された前回大会のタイが圧倒的な強さを見せていたのに対し、2022年に入ってからのタイはそれまでの勢いが鳴りを潜めている。チームの支柱であるチャナティップの怪我と不調によるところが大きいが、自国開催したキングスカップ2022では初戦で対戦した苦手のマレーシアにPK戦(1-1(3-5))の末に敗退。続く3位決定戦ではトリニダードトバゴに2-1で辛くも勝利したものの、サポーターを満足させる内容ではなかった。

一方、このところ上り調子なのがインドネシアだ。元韓国代表監督のシン・テヨン氏がU-20からA代表までを指揮しており、チーム内のコンセプトが一貫している。その実力は、東南アジアの2強とされるタイ、ベトナムと肩を並べるもの。現在のチーム状況でいえば、タイとインドネシアはほぼ互角。インドネシアは6年以上もタイに勝っていないが、今大会では十分に勝機があり、リベンジに燃えていることだろう。

ダークホースはどこか?

タイとインドネシアは今大会の優勝候補であり、この2チームがグループAを1位と2位で突破する可能性は極めて高いが、この2チームから虎視眈々と勝ち点を奪おうとするダークホースの存在も軽視することは出来ない。

ダークホースの筆頭となりそうなのはフィリピンだ。「雑種の犬」を意味するアスカルズの愛称を持つフィリピン代表は、その名の通り混血選手が非常に多いのが特徴。欧州育ちの混血選手を中心に代表を強化しており、高さと強靭なフィジカルを持つ選手が多く、このことは小柄な選手が多い東南アジアでは大きな武器になっている。今大会に出場するかは未定だが、J2水戸ホーリーホックのDFタビナス・ジェファーソンも代表チームの一員。個々のレベルは非常に高いものがあるが、チームとして一枚岩になれるかがポイントとなる。

そして、元日本代表のMF本田圭佑が実質監督を務めるカンボジアも近年成長著しいチームの一つ。かつては東南アジアでも最弱の部類に入ったが、特に中盤から前線にかけては優秀な若手が育ってきており、勢いに乗った時の怖さがある。しかし、総合力でみれば東南アジアの中堅にようやく仲間入りできたといったところ。まだまだタイやインドネシアを脅かす存在ではないが、挑戦者としての存在感は日に日に増している。

グループAのラストピースは?

グループAのラストピースは、東ティモールとブルネイのいずれか。最後の出場枠をかけた予選プレーオフは11月5日と11月15日に行われるため、現時点では決定していない。予選プレーオフの参加が義務付けられていることからも分かる通り、東南アジアの中で最も力が劣る2チームだが、ジャイアントキリングを目指して全力でプレーするチームと初戦で対戦する際は、足元をすくわれないようにすることが大切だ。グループリーグ突破を目指す各チームにとって、勝ち点3はもちろん、大量得点での勝利が求められるだろう。

グループA試合日程

2022年12月20日
カンボジア vs フィリピン
予選勝者 vs タイ

2022年12月23日
フィリピン vs 予選勝者
インドネシア vs カンボジア

2022年12月26日
予選勝者 vs インドネシア
タイ vs フィリピン

2022年12月29日
インドネシア vs タイ
カンボジア vs 予選勝者

2023年1月2日
タイ vs カンボジア
フィリピン vs インドネシア

グループA結果予想

1位:タイ
2位:インドネシア
3位:フィリピン
4位:カンボジア
5位:東ティモール

※11月初めに行われた予選プレーオフでは、前評判を覆してブルネイが東ティモールを2試合トータル6-3(6-2、0-1)で下し、1996年大会(当時はタイガーカップ)以来、実に26年ぶりとなるAFFカップ本大会出場を決めた。

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