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“ベトナムの女ベッカム”「最大の夢はワールドカップ出場。叶えられない夢じゃない」

-切磋琢磨を続けていくことについては?

「サッカーは競う相手がいて成り立つスポーツですから負けることもあります。ベトナムにとってタイは因縁のライバル。勝つこともあれば、負けることもあります。タイと対戦するとき、ベトナムは最高のモチベーションで臨みます。直近では、ベトナムはSEA Gamesの決勝でタイを下しました。試合後、チーム全員が歓喜に沸いて抱き合いました。アウェイまで応援に来てくれたサポーターたちとハイタッチして喜びを分かち合いました。試合翌日の朝、私たちは5時か6時に目が覚めました。まだ興奮冷めやらず、熟睡出来ませんでしたが、心地よい朝でした」

-人々は女子サッカーについて、しばしば欠点や損失を指摘します。そのような状況下で、どのように困難を克服して多くの成功を収めていったのでしょうか?

「女子サッカー選手が大変な環境にあるのは事実です。女性の体調は男性のそれとは異なります。気候や天候の影響も受けやすいでしょう。しかし、精神的な強さでは劣っていません。今日まで数えきれない程のハードな練習を続けてきたのです。今の私はプロサッカー選手。不平不満を言うべきではありません。自分で克服する方法を見つけなければなりません。愛するサッカーを続けていくなら、必要な犠牲を払うまでです」

「重要な大会の前には、頑張ればボーナスがもらえるよ!とチームメイトと励まし合ってモチベーションを高めます。実際のところ、よい成績を残して初めて世間の注目を浴びることが出来るのです。だから、みんなに応援してもらうためにも頑張って良いプレーを心がけています。最近のいくつかの大会では、チーム全体の努力が結果となって表れました。おかげで、ファンの皆さんだけでなく、各スポーツ協会からも評価され、サポートが受けられるようになりつつあります。たくさんの企業や団体、個人の皆さんからの支援を受けて、私たちはとても幸福です」

-好きなことをするには犠牲を伴うとのことですが、それは女子サッカー選手の道を選んだことで、一般的な人生よりも多くのものを失ったと感じているということでしょうか?

「もしサッカー選手になっていなかったら、私の人生は平凡で穏やかなものになったでしょう。サッカーは、女性としての損失をもたらすかもしれませんが、一方で多くのものを与えてもくれます。私たち女子サッカー選手は苦労もありますが、サッカーをすることで家族を支えることが出来ています」

「もし実家にいながら、工場で働いたり、他の一般的な仕事をしていたら、果たして両親や家族を養えたでしょうか。サッカーの道を選んだことで、失うものより、得るものの方が多かったと私は考えています。それに、私は純粋にサッカーが大好きです。だから、自分が選んだ人生に満足しています。毎大会、闘争心を燃やして、ベトナム代表のユニフォームに恥じないよう、チーム一丸となって戦う必要があります。私たちはベトナム代表チームであると同時に9000万人以上のベトナム国民を代表して戦うのですから。ベトナム代表のユニフォームに袖を通すとき、民族の誇りを感じます。ピッチに立つと、私は自分を忘れて闘争心の塊になります。転んでも痛くありません。擦り傷やかすり傷が何だというのでしょう。何度倒されても私たちは立ち上がります。みんなの声援が私たちを奮い立たせるのです」

-多くの困難を乗り越えた後、これまでの13年を振り返って、ズン選手が描く夢とは何ですか?

「女子代表チームで言うと、2019年は初めてAFF女子選手権とSEA Gamesの2冠を達成し、オリンピック予選でも最終予選に駒を進めました。大きな成功を収めた1年と言えます。これからはより多く成功するために、一層の努力が必要です。まずは代表の試合でベストを尽くすこと。そしてクラブレベルでも実績を残すこと。個人的には、代表チームで活躍して個人タイトルを獲得したいです」

「最大の夢は女子ワールドカップ出場です。出場国が32か国に拡大されたため、叶わない夢ではないと思っています。アジアからは1~2枠増えたことになり、ベトナムにも必ずチャンスはあります。サッカー選手である以上、より大きな舞台に立ちたいという欲求は持つべきです」

「個人的な夢としては、もっと大勢の人たちにスタジアムに足を運んでもらいたいです。国際大会だけでなく、国内選手権にも目を向けてほしいと思います。大勢のサポーターの前で試合をすることは、サッカー選手冥利に尽きる本当に素晴らしい体験ですから」

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