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東南アジアライター通信|【第5節:新型コロナの影響とリーグ再開状況(豪州編)】

 東南アジアのフットボールを専門とする日本人ライターたちが、これまで知らされてこなかった “ニッチ中のニッチ” な現地情報を交換しあう日本初のコンテンツ。タグマ!にラインナップされた『フットボールフィリピン』『フットボールタイランド』『フットボールシンガポール』『ベトナムフットボールダイジェスト+』『フットボールカンボジア』そしてオーストラリアの『フットボール・ダウンアンダー』が、あなたを熱帯フットボールの世界に誘います。

コロナなんてどこ吹く風のブリスベン、まさかのロックダウン前は“密”なスタジアムで開幕戦

世界中で猛威を振るうコロナ禍における、フットボールの世界でいうところの「東南アジア」各国のフットボール界の影響や現況の違いを比較して明らかにしていこうという「東南アジアライター通信」復活企画のハナを切る役目を仰せつかった。皆様に有益な情報を伝えられるかどうか甚だ疑わしいところではあるが、豪州ダウンアンダーからお伝えしていくことにしよう。

まずは、豪州におけるコロナ禍が、欧米、はたまた日本など他のアジア諸国ともかなり異なる状況にあることを大前提として話を進めなければならないことを断っておきたい。さらに言えば、筆者が、豪州の中でも感染者数が少ないクィンーズランド(QLD)州の州都ブリスベンに暮らし、そこでの限られた体験に基づいて書くことが必ずしもメルボルンやシドニーを含む豪州の全般的状況を語ることにはならないということもあらかじめ読者に知っておいてもらわねばなるまい。東京や大阪の状況を、福岡か名古屋で暮らす人間が伝聞だけで書いても伝わらないし、いわんや、日本全国の状況を語るなんておこがましい―と、まぁ、こんな喩えであれば、日本の読者諸兄にも伝わるのだろうか。ようは、あくまでもブリスベンの話と割り切って読んでいただきたいということ。

前段が長くなった。豪州、とりわけ、ブリスベンでの話である。

コロナ禍に振り回された昨季を乗り切り、例年よりもオフが1ヶ月ほど短かった20/21シーズンのAリーグ。日程的にも初の真夏開幕となるなど、スケジュール面でのコロナ禍の影響は開幕前から顕著だった。しかも、開幕後も各地でのクラスター発生に応じて日程がかなり変更され、良く言えば柔軟に、悪く言えばコロコロ変わるスケジュール調整の結果、開幕前にプリントアウトした日程表は書き込みが多くなり過ぎて、もはや使用可能なレベルに無い。あの太田宏介が加入するパース・グローリーにいたっては、リーグ開幕から半月近く経った今でも、まだ1試合も消化しておらず、予定されていた初戦も延期になるなど、全く先の見通しが立っていない。

そして、1月8日には、筆者が暮らすブリスベンで英国以来の変異種で発症した女性患者が1名発生したタイミングで、ブリスベンとその周辺地域がまさかの3日間電撃ロックダウン。その煽りで、10日に予定されていたブリスベン・ロアの試合もキャンセルするなど、またもや大幅なスケジュール変更が発生してリーグの先行きも一気に不透明になった。開幕から味噌が付きまくりの今季は、このままシーズンを通して日程の変更に悩まされ続けることを覚悟しなければいけないようだ…。

ここからは、昨年12月末に開幕したAリーグ全体の開幕2戦目にあたるブリスベン・ロアの開幕戦(対メルボルン・シティ/昨年12月29日)を筆者が実際に観戦して見聞きしたことをレポートしたい。繰り返しになるが、これはあくまでも筆者が暮らすQLD州ブリスベンとその近郊エリア、しかも、先述のロックダウン発生前の状況下でのレポートで、試合開催当時の規制に基づいての状況のみを伝えているものであって、必ずしも、ロックダウン発生後の現況や他州の試合会場の状況を伝えるものではないことを理解した上で読み進めていただきたい。

(なんとも、まぁ但し書きの多い記事だろうか、今回は・・・)

ロアの檀崎竜孔も開幕戦デビュー。特定の取材場所が設けられてないので、試合直後にグランド横で話を聞いた(写真:Nino Lo Giudice)

ブリスベンは、シドニー、メルボルンに続く全豪第3の都市。2大都市に比べてコロナ禍での被害が少なかったブリスベンは、国内では、多分にやっかみも含んで「もっともラッキーな都市」と思われていたフシがある(これも、今回のロックダウン騒ぎで一気に変わるのだが・・・)。数度クラスターを発生させた隣接するシドニーのあるNSW州とは、州境の閉鎖の対応を巡って、ともに女性の州首相同士が激しい舌戦を繰り広げメディアを賑わせたし、日本でも少しは取り上げられていたようだが、メルボルンは世界有数の長期間となったおよそ4ヶ月のロックダウンに見舞われた。

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