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レ・コン・ビン物語 “ベトナムの英雄”と呼ばれた男 第15回“歌姫”Thuy Tienとの出会い

レ・コン・ビンが自身の半生をつづった自伝『Phut 89(89分)』。ここには“ベトナムの英雄”と呼ばれた男の幼少期から現在までが記されている。国内最貧困地域の一つゲアン省で真っ黒になってボールを追いかけた少年時代、プロサッカー選手となり、人気歌手Thuy Tienと家庭を築くまで。自伝の中では、幼少期のことだけでなく、八百長や暴力などVリーグを取り巻く様々な問題についても赤裸々に語っている。出版社が発売を記念して、一部の項を公開。その内容を連載で紹介していく。

 “歌姫”トゥイ・ティエンとの馴れ初め

僕が生涯の伴侶であるトゥイ・ティエンに出会ったのは、AFFスズキカップ2008で優勝した数日後のことだ。それが僕の人生を大きく変える出会いになるとは、その時は知る由もなかった。当時、僕は大人になって出来た最初の恋人と別れたばかりだった。大人の恋愛は学生時代の恋愛とは全然違うものだ。その恋人とは5年間付き合って、色々な思い出を育んだ。失恋のせいで感傷的になっており、新しい恋愛に踏み出せなかった。そんな中、ティーン向け雑誌の写真撮影の仕事が舞い込んできた。依頼があったのは、スズキカップ開催前だったので、この大会で優勝し、国民的英雄に祭り上げられて撮影に臨むことになるとは思っていなかった。そして、その撮影会にトゥイ・ティエンが参加することも知らなかった。

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