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ハノイFC女子トップチーム 八木秀一監督に独占インタビュー!

2018年6 月中旬、ベトナム女子サッカーリーグで最多10 回の優勝を誇る強豪ハノイFC 女子トップチームに、日本人の八木秀一監督が就任した。ベトナムの女子サッカーでは、2015 ~2016 年に代表チームの監督を乗松隆史氏が務めたことがあるが、クラブチームに日本人監督が就任するのは、これが初めてとなる。八木監督は、現役時代ブラジルやイタリアで活躍し、引退後はなでしこリーグや日本の男子育成年代で数々の有力チームを指導してきた経験を持つ。今回ベトナムで新たな挑戦を始める八木監督に、ベトナムフットボールダイジェスト運営者が独占インタビューを行った。
※この記事はフリーペーパー「VINABOO」2018年10月号に掲載されたインタビューを転載したものです。

葛藤の末に異国ベトナムでの挑戦を決意

Q : ハノイ FC 女子トップチーム監督就任、おめでとうございます。就任までの経緯についてお聞かせ願えますか?

八木:ありがとうございます。経緯について言うと、まず今年 3 月にベトナムの代理人から連絡があり、そのときは一旦断ったんです。ずっと単身赴任だったので、今後は家族との時間を増やそうと、新潟での仕事を辞めて家族のもとに戻り、スクールの講師として新たなスタートを切ったばかりの時期でした。ただ実際生活するとなると、経済的なことも含めて、かなり厳しいものがあって ・・・。それまでいた INAC 神戸や琉球デイゴス、ジャパンサッカーカレッジなど、それなりの地位がある組織から、一気に草の根レベルまで下がったことになるので。1 ヶ月、2 ヶ月と過ごすうち、「果たしてここで、自分が今まで培ってきた経験を活かせるのか?」という疑問が日に日に大きくなり、こちらからまたベトナムの代理人に連絡してみました。最初に話をもらってから既に 1 ヵ月半ほど経っていましたが、ぜひ会いたいと言ってくれたので、そこからは、とんとん拍子に話が進んだという感じです。

Q : 今回就任したハノイ FC 女子について教えてください。

八木:聞いている話では、高校の女子サッカークラブを前身とし、その後、自治体の直轄組織となって、国内リーグで何度も優勝している強豪クラブだそうです。ただ、直近 3 シーズンは優勝から遠ざかっており、もう一度かつての強いチームに戻したいという、首脳陣の強い希望から、外国人指導者の招聘を決めたとのことです。

Q : 環境面はいかがですか?

八木:全体的には、恵まれているほうだと思いますが、ベトナムは芝生の扱い方がちょっと独特で ・・・。15 ~ 20cm もある足が埋まっちゃいそうな長い芝を使っています。普通に蹴ったらボールもすぐに止まっちゃうし、一番驚いたのは、芝を刈るんじゃなくて、ローラーでプレスしているのを見たとき。そうくるか!と思って、あれはカルチャーショックでしたね。

Q : 今はシーズン前期が終わって、後期に向けた準備期間中ですが、どのように過ごされていますか?

八木:最初に、コーチ全体で目指したいスタイルや現在のチーム状況について話し合ったんですが、僕が練習メニューを作って、それをそのまま理解して実践できるかというと、まだそのレベルに達していないと感じました。実際練習するときは・・・ ベトナムでは珍しいのかもしれないですが、基本的には楽しみながらやるというスタンスです。こちらは毎日2 部練が当たり前みたいになっていて、昔ながらの質より量みたいな考えが残ってます。疲労の蓄積を考えると、1 部練で十分だと言ったのですが、結局、これまでの伝統をいきなり変えるのは難しく、2 部練じゃない日を週3 で作るのがやっとでした。練習メニューは、これまでに経験したことがないものなのか、珍しがりながらも、笑顔を絶やさず、しっかりと練習してくれています。

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