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復活を目指す東南アジアの古豪・ミャンマー、育成の現場。タイ、ベトナムに次ぐ「躍進」は生まれるか?【古賀琢磨(U-15ミャンマー代表監督)インタビュー<1/2>】

国際親善試合「JapaFunCup(ジャパファンカップ)」ではU-18東南アジア選抜「ASIAN ELEVEN」の監督を務める古賀氏 ©Football Thailand

ロシア・ワールドカップでアジア最終予選まで駒を進め、代表の中心選手たちはJリーグで活躍するようになったタイ。今年のアジアカップでベスト8に進出し、日本代表をも苦しめたベトナム。近年の東南アジア勢が著しい成長を遂げていることは、もはや疑いようのない事実だ。そして、タイとベトナムに続く可能性のあるポテンシャルを秘めた国々が東南アジアにまだまだ存在する。タイの西隣に位置する国、ミャンマーもそのひとつだ。

ミャンマーはかつて、国名を「ビルマ」としていた時代にはアジアのサッカー強国のひとつだった。アジアカップ優勝1回(1968年)、アジア大会優勝2回(1966年、1970年)と過去の栄光は輝かしい。その後、軍事政権下で経済が弱体化し、サッカーも東南アジア内でさえ目立たない存在へと凋落してしまったが、軍政から民政へと移り変わる時代の中で今、ミャンマーサッカーは復活への胎動を始めている。

そんなアジアの古豪・ミャンマーで現在、U-15代表監督を任されているのがジュビロ磐田、清水エスパルスなどで活躍した古賀琢磨氏だ。2011年からアジアに活動の場を移した古賀氏は、U-16シンガポール代表監督、U-19東ティモール代表監督などを歴任したあと、2017年からミャンマーの育成年代を指導。来年のAFC U-16選手権出場を目下の目標に、東南アジアの古豪を復活させるべく重要な役割を担っている。

ミャンマーは見事に復活を遂げ、タイやベトナムに続いてアジアの勢力図を揺るがす存在となり得るのか。ミャンマーサッカーの現状と可能性について古賀氏に聞いた。

<目次>
◎早ければ5年でタイに追いつく
◎ミャンマー復活のキーマン、ゾーゾー氏
◎ストリートサッカーで育つ金の卵たち

早ければ5年でタイに追いつく

──2017年からミャンマーの育成に関わっているということですが、昨年まではどういった立場でどんなカテゴリーを指導されてきたのですか?

古賀 ミャンマーにはアカデミーの拠点が3つあるんですが、去年まではそのひとつのマンダレーにいました。一昨年がU-13、去年がU-14を見ていて、その流れで今年からU-15の代表監督をやらせてもらうことになりました。

──古賀さんはシンガポールや東ティモールの育成年代の指導もされてきていますが、ミャンマーの若い世代にはどんな印象を持っていますか。

古賀 本当に可能性を持っている子がたくさんいます。性格としては全体としておとなしいという印象ですが、ポテンシャルのある子が多いので魅力を感じています。経済も発展している途中ですし、サッカーもだんだんレベルが上がってきている。簡単なことではないですが、5年、10年のスパンで育成強化ができれば面白い存在になると思います。

──実際、ミャンマーは2015年にU-20ワールドカップ出場も果たしています。今、A代表レベルではタイとベトナムがアジアの舞台でインパクトを与える活躍を見せていますが、ミャンマーもそれに続く可能性があるでしょうか。

古賀 あると思います。インドネシア、マレーシア、それからカンボジア、フィリピンなども含めて、アセアンは本当に可能性を持っていますから。現実問題、今はA代表でも育成年代でもタイ、ベトナムのちょっと後ろかなというところですから、まずはそこに追いついて。早ければ5年、遅くても10年(で追いつける)というのが正直な感想です。

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