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日本人選手とアジアをつなぐ日本人エージェントに聞く。2019年、約40名の日本人がプレーするタイリーグ市場の最新事情【エージェント・真野浩一氏インタビュー<1/2>】(無料記事)

タイ人選手のJリーグ移籍、今後はどうなる?

──一方で、昨シーズンからタイ人選手のJリーグ移籍も活発になっています。この流れは今後も続くと思いますか?

真野 J3にU-23チームを持っているガンバ大阪、セレッソ大阪、FC東京などにタイの若手選手が入っていくというのはあると思うんですが、J1で活躍できるトップ・オブ・トップの選手は限られていると思うので、そこはどうなるでしょうか。J2でプレーできるレベルであればいると思うんですが。

──昨シーズンまでは、J2でプレーするタイ人選手はいませんでした。このオフに徳島ヴォルティスがBGパトゥム・ユナイテッドからMFチャキットを獲得して初めてJ2のクラブに所属するタイ人選手が生まれましたが、今後はJ2のカテゴリーにタイ人選手が増えていくということも考えられるでしょうか。

真野 可能性としてはあるんじゃないかと思いますが、お互いのクラブがそこにどれだけの労力を割けるのか。J1であれば金銭面も安定していますし、海外からも注目を浴びることができるので投資をする意味があると思うんですが、J2ではすべてが中途半端になってしまう可能性もある。タイのクラブはだいたいレンタルで移籍させるので「J1でなければ行かせない」となるかもしれませんし、タイのトップ・オブ・トップの選手も「J2なら行かない」となるような気もします。

──昨シーズン、J1でプレーしたタイ人選手3名(チャナティップ、ティーラシン、ティーラトン)はすべてムアントン・ユナイテッドからの移籍選手でした。たとえばブリーラム・ユナイテッドなどは、選手をJリーグに出す気はあるんでしょうか。

真野 ブリーラムはどちらかと言うと、日本よりも「対東南アジア」のマーケティングのほうに興味を持っているように見えます。周辺国へのツアーも行っていますし、アセアン枠もフルに使ってカンボジア人選手も獲得したりと、そういったアクションを起こしていますから。

──たしかにここ数年、ブリーラム・ユナイテッドやムアントン・ユナイテッドといったタイのビッグクラブがカンボジアやベトナム、ラオスといった周辺国へのツアーを行っていますよね。彼らにとって東南アジア諸国は魅力的なマーケットなのでしょうか?

真野 ムアントンであればSCG(=サイアムセメント・グループ。ムアントン・ユナイテッドのオーナー企業のひとつであるタイの財閥グループ)がカンボジアでビジネスをしていたり、ポートートー(PTT=タイ石油公社。PTTラヨーンFCのオーナー企業)であればカフェ「アマゾン」やガソリンスタンド(ともにPTTが経営している)が周辺国にあったりするので、ビジネスに直結する部分があると思います。ブリーラムに関しては、ユニフォームの販売が大きいんじゃないでしょうか。東南アジア諸国ではタイのクラブであればブリーラムのユニフォームを着ている人が圧倒的に多いですし、けっこうな収入源になっていると思います。

<2/2>につづく

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