日本人選手とアジアをつなぐ日本人エージェントに聞く。2019年、約40名の日本人がプレーするタイリーグ市場の最新事情【エージェント・真野浩一氏インタビュー<1/2>】(無料記事)
タイリーグで戦う日本人選手たちのサラリー事情
──日本人選手よりも韓国やイランなどの選手たちのほうが、タイリーグへの移籍をより積極的に考えている傾向があるわけですね。
真野 そうですね。日本はJ3のチームも力を入れるようになってきていますし、J2も「DAZN(ダゾーン)マネー」の影響もあって潤ってきている。それによって日本人選手は国内のチームを優先的に考えていて、なかなかアジアに出ていこうとはならなくなってきているように感じます。
──そういったなかで、今シーズンは細貝萌選手(ブリーラム・ユナイテッド)を筆頭に久々に日本代表レベルの実績のある選手もタイにやってきました。そのクラスの選手のタイリーグへの移籍は、今後も続くと思いますか?
真野 可能性はあると思いますが、そのクラスの選手を受け入れられるポテンシャルのあるタイのクラブは限られています。そういった選手たちにとっては給料面とACLに出られるかというのが大きいと思うので、それに当てはまるクラブとなると現状ではブリーラム・ユナイテッドとバンコク・ユナイテッド。資金力で言えばブリーラムがトップで、バンコク・ユナイテッドも同等とまではいきませんが外国人選手にはかなりいいお金を出しています。2018年くらいから少し財政的に厳しい状況になってはいますがムアントン・ユナイテッド、それからチェンライ・ユナイテッドあたりがそれに続く存在です。資金力だけで言えば、ラチャブリーFCも上位に入ってきますね。
──今、タイリーグでプレーしている日本人選手たちの金銭面の待遇はどんなものですか?
真野 日本人の年俸はだいたいT1で1000~3000万円、T2で300~1000万円、T3、T4で60~300万円くらいです。これは、2014年くらいからあまり変動はありませんね。
──年俸60万円と聞くと安く感じますが、月収にして5万円ですからタイの物価であれば最低限の生活は可能な額です。「バイトをしなくていい」と考えれば、プロキャリアをスタートさせる場としては魅力的とも言えますよね。ちなみに、タイリーグに日本人選手が増え始めた頃は給与の未払いなどの問題を頻繁に耳にしましたが、現状はどうですか?
真野 ゼロではありませんが、かなり改善されてはいます。タイサッカー協会も厳しくなってきているので、未払いを出さないようにしようという意識はクラブにも出てきているように感じます。