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インタビュー|海を渡った指導者たち〜星出悠(グローバル・セブ選手兼任コーチ)後編

元記事:http://www.footballedge.jp/archives/6792

掲載日:2018年6月27日(フットボールエッジ)

photo via jp voltes fc

2015年のシーズン終了後に、UFL1部への昇格を決めたJPヴォルテスFCから、選手兼任監督への就任の要請を受けた星出は、所属するグローバル・セブFCとの契約延長か、ヴォルテスへの移籍かの二択を迫られる。現役続行の意欲が勝る状況の中、星出はひとつの決断を下す。

熟慮に熟慮を重ねた末に下した決断は、選手続行と監督就任を両立するプレイングマネージャーとしてのチーム移籍だった。自身6度目のチーム移籍を決断した当時の経緯から現在に至る月日を、星出は言葉を選びながらゆっくりと語り始めた。(取材・文=池田宣雄【マニラ】)

photo via jp voltes fc

◆試合出場を条件にヴォルテス監督就任要請を受諾

グローバルのボスに打ち明けてみると、ボスの回答は「今までどおりグローバルで選手をやりながら、ヴォルテスで監督やればどうだ?」ということでした。当然、ヴォルテスの永見さん(永見協氏・チームオーナー)には「さすがにそれはないだろう」と言われましたね。

これをやったらすべての人に納得してもらえないと思ったので、ヴォルテスでの新しいチャレンジを決断しました。まあ、後で冷静になってみると、グローバルのボスが言っていたような登録は不可能なことだと気づきましたけど。

それから永見さんと話して、選手として試合に出場することを認めてもらいました。正直なところ、まだ監督をやる意欲はそんなになかったんですけど、僕が引き受けるのがベストみたいな雰囲気だったので。それから本格的なチーム編成に着手しました。

選手兼任監督という立ち位置でしたが、怪我でプレーできなかった数試合を除いて、ほとんどの試合に出場しました。でも、僕が監督と選手を掛け持ちしたことは、チームにとってはそんなに良いことではなかったと思っています。

例えば、試合で得点して無邪気に喜びたくても、もう次の指示をするとか、交代カードを切るとか、プレーに集中できないんです。僕自身は7割くらいのパフォーマンスしか発揮できなかった。それと、僕の出来が悪い時でも試合に出られない、同じポジションの選手のモチベーションを下げていたような気がします。

手探り状態で始めた選手兼任監督でしたが、監督としての手腕も、選手としても、いずれも中途半端になってしまいました。結果、チームの実力をすべて引き出すことができなかったと感じました。普通はこうなったら指導者の道に進むのでしょうけど、僕はまだ現役を続けたい一心で。それで永見さんにもう一度、誰か監督を雇ってほしいとお願いしました。

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