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加藤弘堅「ヴェルディには感謝が大きい。不思議な感覚でいる」【天皇杯2回戦・東京V戦/試合前コメント】

東京ヴェルディ vs AC長野パルセイロ

 

――昨日のリーグ前節・YS横浜戦では、開始早々に先制して試合を優位に運ぶことができました。

YSとはキャンプでもやっていたので、スタイルはわかっていました。僕らはしっかりビルドアップしてくるチームに対してはめに行って、結果を引き出せているところはあります。点を取れた時間もよかったし、押し込まれた時間を(失点)ゼロで我慢できたのもよかったと思います。

――ご自身は途中出場でしたが、リードしていることによって入りやすさもあったのではないでしょうか?

(パク)スビンとか進(昂平)は多少難しかったと思います。2-0で1点取られたらわからなかったし、押し込まれていた状況でした。そこで進が3点目を取ってくれて、自分はその後に入りましたけど、相手の中盤の選手たちに疲れが見えていました。(4点目のシーンは)外されても戻れると思って出ていった中で、狙い通りと言えば狙い通りでした。

――最近は交代選手が試合に入りきれない試合も続いていました。

途中から入って流れがどうというのは、昨日の一試合だけでは正直わからないです。負けている試合で苦しい時間に流れを変えて、少しずつ改善できたのであればわかりますけど、良いときは誰が出ても良いところはあります。悪いときに何ができるかだと思っています。

――前々節・大宮戦のような難しい流れの中で、何ができるかというところでしょうか?

五分の試合だったり、ビハインドの試合だったり――。そこで流れを持ってこられるような個人戦術とかチーム力というところで、何ができるかだと思います。昨日は全体的に入りがよくて、チームとして良い状態を最初から引き出せていました。それはもちろんポジティブな要素ですけど、よくない入りをしたり、うまくいかなかったときに改善できれば、チームの成長と言えると思います。

――次は大会が変わって、天皇杯2回戦・東京V戦となります。これまでもルヴァンカップで格上の相手と対戦してきましたが、どんな意義を感じていますか?

J3では味わえないスピード感だったり強度というのは、間違いなく選手の経験になります。格上と公式戦でやれるのは刺激にもなるし、普段指導者から言われている「寄せろ」とか、クオリティのところで「決め切れ」という意味が、肌で感じられると思います。もちろんチームとして勝つのが一番ですけど、個人がどんなことを主観に持ってゲームに入るのか。そこで何を感じるかが大事になってくるところはあります。

――東京Vも日程面を踏まえれば、メンバーを入れ替えてくるかもしれません。

城福(浩)さんが作るチームは、組織として堅いチームだと中でやっていて感じました。今年は選手が何人か入れ替わっている部分もありますけど、技術的にしっかりした選手がいます。その上で上手いチームから強いチーム、堅いチームに少しずつ変わってきて、J1でも中位にいます。メンバーの変更も多少はあると思いますけど、ヴェルディとしての色はどの選手にも浸透していると思います。

――城福さんが培ってきたスタイルに対して、どのようなリアクションが必要だと捉えていますか?

もちろんやってみないとわからないですけど、サッカーの本質的な部分をしっかり捉えてくる監督です。それをチームとして遂行しているからこそ昇格できたと思うし、その色がJ1でも発揮できていると思います。それに対して、まずは受けないこと。自分たちがやれることをしっかりやるのが一番です。その上でのクオリティだったりスピード、強度というのは、相手が上回っている部分は絶対にあると思います。

だけど、サッカーはやってみないとわからないです。先制点の意味合いも含めて、自分たちが何ができるかだと思います。結果を残せれば一番ですけど、本当にやり切った上で出た結果に対しては、それぞれ受け入れられるものがあると思います。あのときはこうだった、ああだったという話にならないように、やりきれればいいです。

――昨季途中まで2年半在籍していた古巣との対決です。個人的な感情としてはいかがですか?

いままでもそうでしたけど、古巣と対戦するというのは、他のクラブとの対戦とは違った意味合いがあります。それもまさか、今年にやるとは思っていなかったです(笑)。ヴェルディには感謝の気持ちがすごく大きいし、一緒にやっていた選手たちから学ぶべきことも多くありました。

ヴェルディにいた選手たちはよく言いますけど、あのクラブにはファミリー感があります。フロントだったりアカデミーも含めて全部同じ場所にいることもあるし、僕の性格上、フロントスタッフの方々ともよく話はします。最初は都会ということもあって、馴染めないかなと思うところもありましたけど、クラブに対して愛着が増すスピードは一番速かったです。

それは現場もそうだし、フロントだったりアカデミー、ベレーザ――。時間が合えばベレーザの選手たちとも話をしていました。ヴェルディは僕の中でも特別なクラブですけど、Jリーグの中でも特別だと思っています。感謝の気持ちは大きいし、いまは心の準備ができていなかったので不思議な感覚でいます。

――そのファミリー感というのは、現場で言えばユース出身の選手をはじめ、ヴェルディ愛を持った選手たちが作り出している空気感もあるのでしょうか?

いまは上手いチームから強いチーム、堅いチームになってきている中で、それまでは「ヴェルディはこうだよね」という暗黙の了解ではないですけど、そういうサッカーの色があったと思います。それが良いとか悪いとかではなくても、もしかしたら後ろ髪を引かれている部分もあったのかもしれないです。そこを城福さんが変えて、より良い方向になったんだと思っています。その中でもヴェルディに対する思い入れの強さというのは、いろんな意味でそれぞれの選手が持っていると思います。

僕が入ったとき(2021年)はクラブが上がってきている段階だったと思います。コロナ明けで有観客になって、声出しが解禁されて、去年は結果とともにサポーターが増えていくのが目に見えていました。いまでもDAZNで試合を見ていますけど、僕がいたときからサポーターの熱さというのは、本当にすごいと思っていました。

負けている試合の中でも増していく声量。溜まっているストレスを声量に乗せてくれるので、「ああ…」というような空気感がない。ヴェルディのサポーターはそこがすごいと思います。

――長野のサポーターにも通じる部分かもしれませんが、ポジティブな声掛けが多いように思います。

長野はこれからどんどん上がっていきたいし、規模的にも大きくしていきたいクラブだと思います。ただ、ヴェルディはJリーグを引っ張ってきたクラブで、そこからだんだん落ちてきて、J2に15年もいました。当時から見ていたサポーターからすれば、文句を言ったりヤジを飛ばしたくなるところは絶対にあります。それでもただフラストレーションをぶつけるのではなくて、本当の意味で「しっかりやれよ」と言ってくれました。

「この試合はブーイングでも良いのに――」と思っても、チャントで背中を押してくれていました。それは選手として聞いていてすごいと思ったし、「そうだよな」「もっとやらないといけないよな」と思わされました。試合に負けたのに、そのときにはすでに背中を押してくれるような存在感。本当にすごいなと思いました。

スタジアムの「ああ…」という空気感は、その場にいればわかるじゃないですか。それを僕らが挨拶が終わって、ロッカーに帰るまでは基本的に見せないでいてくれました。もちろんブーイングをするときもありますけど、そのブーイングも嫌らしいものではなくて、背中を押してくれるものでした。

いまも試合を見られるときは見ていますけど、DAZN越しにも声量が増しているのが伝わってきます。(第15節)町田戦は0-5になって、数字上は勝つのが難しい状況でしたけど、声がどんどん増していて本当にすごいと思いました。あれをスタジアムで聞いていたら、文字通り感情が動いていたと思います。

――城福監督のパーソナリティというのも、サポーターの熱量とリンクしているように映ります。

城福さんが言っていて、僕も当時から感じていたのは、サポーターが強くしているという感覚です。もちろん結果が出るからサポーターが増えるというのもありますけど、自分たちの順位が上がっているのが、サポーターを見れば目でわかるところはありました。

――天皇杯という大会に関して言えば、京都時代の2011年には決勝まで勝ち進みました。どんな思い入れがありますか?

特別なところはあります。そこまで上に行ける選手はなかなかいないと思うし、勝つことで増していくチームの一体感と、元旦にサッカーをしている幸福感はありました。あのときはFC東京とのJ2勢対決でしたけど、元旦の国立というのが風物詩になっていて、お客さんもたくさん入っていました。あの興奮状態というのは、なかなか自分では作れないと思います。

ヴェルディに限らず、胸を借りるつもりでやるだけだと思います。ルヴァンカップで徳島、京都とやってきて、やるべきことをやったからこそ結果が引き出せました。札幌戦は悔やまれる結果にはなりましたけど、間違いなく勝てた試合でした。ヴェルディとはJ3とJ1という差がある中で、10試合のうちの1勝の試合を引き出せれば――と思っています。

そうやって経験値が上がって、勝負どころがわかってくれば、J3の試合にも必ず生きてきます。その手応えを選手が肌で感じないと、成長スピードも増していかないです。そこはうまくチームに還元できればと思っています。

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