ボラセパマレーシアJP

8月18日のニュース
・ACLエリートのリーグ戦組合せが決定:ジョホールは前マレーシア代表監督率いる蔚山HDとの対戦も
・ACL2のグループ組み合わせが決定:スランゴールは韓国の強豪、全北現代と同組に
・多くのクラブは財政難で今月のトランスファーウィンドウでは戦力増強見送りか

今季から大きく改編されるACLエリートとACL2の組み合わせ抽選が行われました。ボラセパマレーシアJP的には、マレーシアからACLエリートに出場するジョホール・ダルル・タジムFC、ACL2に出場するスランゴールFCは、いずれもリーグ戦とグループステージではJリーグクラブとの対戦とはならなかったのは少々残念です。特にACLエリートでは、日本以外の全ての国のクラブとは対戦するのに、3チームも出場している日本のクラブとはなぜか対戦がありません…。

ACLエリートのリーグ戦組合せが決定:ジョホールは前マレーシア代表監督率いる蔚山HDとの対戦も

2024/25シーズンのACLエリートのリーグ戦組み合わせ抽選が行われ、マレーシアから出場するジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、韓国リーグ王者の蔚山HDなどの対戦が決まっています。

8月16日にマレーシアにアジアサッカー連盟(AFC)の本部があることから、クアラ・ルンプールのインターコンチネンタルホテルで行われた組み合わせ抽選の結果、JDTはホームでの4試合の相手が蔚山HD、浦項スティーラーズ(いずれも韓国)、上海申花(中国)、ブリーラム・ユナイテッド(タイ)、アウェイでの4試合の相手が光州FC(韓国)、山東泰山(中国)、ポートFC(タイ)、セントラルコーストマリナーズ(オーストラリア)に決定しています。

この8試合の内、マレーシア国内で注目が集まっているのはJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで開催される蔚山HDとの対戦です。この試合が昨季の韓国1部リーグのチャンピオンとの対戦という好カードであることに加え、蔚山HDの監督が、先月7月16日にマレーシア代表監督を辞任したばかりのキム・パンゴン(金判坤氏であることが、関心を集めている理由です。

2022年1月にマレーシア代表監督に就任したキム氏は、昨年2023年11月に契約を更新し、AFCアジアカップ2027予選を終える2025年12月までマレーシア代表監督を務めるはずでしたが、個人的事情を理由に7月16日に突然辞任すると、ホン・ミョンボ(洪明甫)氏が韓国代表監督に就任したことにより空席となった蔚山HDの監督に7月28日に就任したことが発表されました。

マレーシアリーグ10連覇中のJDTと、韓国1部Kリーグ1で2連覇中で昨季までの蔚山現代からクラブ名を変更した蔚山HDはいずれも、ACLから改編されたACLエリートに出場することが決まっており、多くのマレーシア代表選手を抱えるJDTとかつての代表監督との対戦をマレーシアサッカーファンは期待していましたが、それが実現した形になります。

またJDTはタイ1部のタイリーグ1を3連覇中のブリーラム・ユナイテッドとも対戦しますが、このブリーラムにはマレーシア代表のDFディオン・コールズが在籍しており、こちらのカードもマレーシア代表サポーターにとっては注目の試合となります。

ACL2のグループ組み合わせが決定:スランゴールは韓国の強豪、全北現代と同組に

AFCカップから改編されたACL2の組み合わせ抽選も8月16日にクアラ・ルンプールのインターコンチネンタルホテルで行われ、マレーシアから出場するスランゴールFCは東地区H組に入り、韓国1部の強豪、全北現代モーターズ、ムアントン・ユナイテッド(タイ)、ダイナミック・ハーブ・セブFC(フィリピン)と同組となっています。

韓国リーグでは優勝回数最多の9回を誇り、本家のACLでは2006年と2016年の2度優勝している全北現代モーターズは、おそらくH組では頭ひとつ抜けた存在です。各組の上位2位がノックアウトステージ進出となることから、スランゴール、ムアントン・ユナイテッド、セブFCの3チームが9月17日に第1節が行われるグループステージでH組2位をかけて争うことになりそうです。

多くのクラブは財政難で今月のトランスファーウィンドウでは戦力増強見送りか

マレーシア1部のマレーシアスーパーリーグ(MSL)では、今月8月26日から9月22日にかけて今年2度目のトランスファーウィンドウが開きます。リーグ首位のジョホール・ダルル・タジムFCはこのトランスファーウィンドウに先立ち、来月開幕するACLエリートに向けて、既に複数の選手の獲得を発表しています。

しかし、その一方で今季のMSLでは、クダ・ダルル・アマンFC(JDT)が選手への給料未払いで勝点3を、またKLシティFCは給料未払いに加えて、クラブライセンス申請の際に税金滞納を隠す書類の改ざんを行なったことで勝点6をそれぞれ剥奪される処分を受けています。またこの両クラブ以外にも給料未払いの問題を抱えるクラブはサバFCなど複数あるとされています。そしてこの状況下では、今回のトランスファーウィンドウでも多くのMSLクラブが新規外国籍選手を積極的に獲得する動きは見せないだろうと、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

JDTは既に、タイ1部ラーチャブリーFCから韓国出身DFパク・ジュンホン(朴俊炯)、フランス出身のFWエンツォ・ロンバルド(スペイン2部SDウェスカから加入)、スペイン生まれでスペイン1部と2部もプレー経験があるアゼルバイジャン代表DMFエディ・イスラフィロフ(アゼルバイジャン1部ネフチ・バクーから加入)、スペイン出身のDMFイケル・ウンダバレナ(スペイン2部CDレガネスから加入)、そしてスペインとマレーシア両方の国籍を持つ18歳のGKクリスチャン・アバド(スペイン2部エルチェCF U19から加入)と5名の選手の加入を発表していますが、他のクラブでは、現在リーグ2位のスランゴールFCがヨルダン代表FWアリ・オルワン(カタール1部アル・シャマルSCより加入)の獲得を発表したくらいしかありません。

マレーシア国内で代理人業務を行うアクション・フットボール・アジア社のエフェンディ・ジャガン・アブドラ代表は、ニューストレイトタイムズの取材に対して、現在、マレーシア国内の多くのクラブは、新規の外国籍選手を獲得する際に発生する少なくとも3万から4万リンギ(1リンギはおよそ33円)の給料に加えて、1ヶ月分の給料にあたるサイニングフィー、代理人の手数料、マレーシアまでの航空券や、マレーシアでの住宅費など諸々の費用を支払う余裕がないと話しています。さらに新たな選手を獲得する際に、既存の選手との契約を打ち切るとなれば、最低でも給料3ヶ月分の補償金の支払いも必要になることから、今回のトランスファーウィンドウは静かなものになると予想していると話しています。

20年以上に渡り代理人業務を行なっているエフェンディ氏は、プレシーズンマッチなどで獲得候補の選手の実力を見極める時間があるシーズン前のトランスファーウィンドウと比べると、そういった時間を取ることができないシーズン途中のトランスファーウィンドウでいわゆる「はずれ」の選手を獲得するリスクがあることにも言及しています。

「シーズン中のトランスファーウィンドウでは、チームの弱点を補い、期待に応えられるような良い選手を撮らねばならないが、そのためには事前の情報収集が欠かせない。例えば実績がある選手であっても、長期間プレーしていない選手などは獲得してもリスクが大きい可能性がある」と述べたアフェンディ代表は、シーズン途中のトランスファーウィンドウが始まってから選手を探すようならば、むしろ選手獲得を検討しない方が良いとも述べてます。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ