ボラセパマレーシアJP

7月29日のニュース
・アセアンU19選手権:マレーシアは準決勝でインドネシアに敗れ連覇ならず
・U23代表のエースがタイ2部チョンブリーFCへ移籍
・キム前代表監督は噂通り蔚山現代FC監督就任
・キム前代表監督「代表よりクラブを優先する選手がいたことは残念だった」

アセアンU19選手権:マレーシアは準決勝でインドネシアに敗れ連覇ならず

インドネシアのスラバヤで開催中の東南アジアサッカー連盟(AFF)U19選手権は、7月27日に準決勝2試合が行われ、前回2022年大会に続く連覇を狙うマレーシアU19代表はインドネシアU19代表に0-1で敗れ、2018年、2022年大会に続く3度目の決勝進出はなりませんでした。

グループステージC組最終節でタイU19代表と引き分け、勝点で並びながらも得失差で1位突破したマレーシアU19代表のフアン・トーレス・ガリド監督は、タイU19代表戦からはJ3のFC大阪への期限付き移籍が発表されているDFムハマド・カリル(スランゴールFC)、DFリズワン・ロスリ、そしてグループステージの3試合全てでゴールを決めているFWのG・パヴィトラン(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC II)の3名以外を全て入れ替えた先発XIを起用しています。(下は両チームの先発XI。上がマレーシア、下がインドネシア)

インドネシアが優勢に試合を進め、それをマレーシアが耐える展開ながらも前半は0−0で終了します。後半に入ってもインドネシアの攻撃の手は緩まず、78分にはついに均衡が破られます。ゴール前の混戦では、マレーシアGKハジック・アイマン(JDT II)がインドネシアのシュートを2度セーブするも、最後はアルファレジ・ブフォン(インドネシア1部ボルネオFC)がマレーシアDFがクリアしきれなかったボールを押し込んで、インドネシアが先制し、結局これが決勝点となり、インドネシアが決勝進出を決め、もう1試合の準決勝でオーストラリアU19代表を1-0で破ったタイと本日7月29日に決勝で対戦、マレーシアはオーストラリアU19代表と、決勝の前に行われる3位決定戦に回ることになりました。

U23代表のエースがタイ2部のチョンブリーFCへ移籍

マレーシアU23代表のFWファーガス・ティアニーがタイ2部リーグのチョンブリーFCに移籍したことが明らかになっています。ティエニー選手はチョンブリーFCが行った新ユニフォーム発表と新規獲得選手紹介イベントでサポーターにその加入が発表され、背番号は9となることも明らかになっています。なおTransfermarktによると今回の移籍はローンではなくフリートランスファーとなっている点も興味深いところです。

2021年シーズンには代表DFジュニオール・エルドストール(現JDT)もプレーしたチョンブリーFCは、昨季2023/24シーズンはタイ1部リーグで7勝9分14敗で16チーム中14位となり、来月8月に開幕する今季2024/25シーズンはタイ2部リーグでプレーします。なおチョンブリーFCは元カナダ代表FWマーカス・ハバー(カンボジア1部スヴァイ・リエンFCから加入)、英国出身DFチャーリー・クラフ(タイ1部ポートFCからローン)、元カマタマーレ讃岐の韓国出身MFチョン・サネ(韓国3部全州市民FCから加入)も加入しています。

スコットランド生まれ、マレーシアのペナン育ちのティアニー選手は21歳で、父親はかつてマレーシアリーグのPDRM FA(当時、現PDRM FC)やシンガポールリーグでプレーしたスコットランド出身の元プロサッカー選手のマーティン・ティアニーで、母親も同じスコットランド出身です。19歳でジョホール・ダルル・タジムFCのU21チーム、JDT IIIに加入し、昨季からはU23チームのJDT IIでプレーし、今季は開幕からの5試合中4試合に出場(うち先発2試合)しています。

また昨年3月にシンガポールで行われたマーライオンカップで初めてU23代表に招集されると、5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズからは主力となり、今年4月に行われたU23アジアカップにも出場しています。この大会ではマレーシアU23代表はグループステージで敗退しましたが、ティアニー選手はグループステージの3試合全てに先発し、186cmの身長と身体の強さを持ちながらボールコントロールも柔らかく、これまでU23代表では12試合に出場し、3ゴールを挙げています。

タイ1部リーグには、リーグ3連覇中のブリーラム・ユナイテッドFCにマレーシア代表でプレーするDFディオン・コールズがおり、ティエニー選手は2024/25シーズンにタイでプレーする二人目のマレーシア人選手となります。

キム前代表監督は噂通り蔚山現代FC監督就任

韓国1部Kリーグ1の2023年シーズンの覇者、蔚山現代FCは新監督に前マレーシア代表監督のキム・パンゴン(金判坤)氏の就任を公式SNSで発表しています。キム氏は7月16日に突然、2年4ヶ月務めたマレーシア代表監督を「個人的な理由」で辞任することを発表していました。

マレーシア代表の他、香港代表の監督経験もあるキム氏ですが、Kリーグ1のクラブで監督に就任するのは今回が初めてです。なお蔚山現代FC前監督のホン・ミョンボ(洪明甫)氏が韓国代表に就任した後に、キム氏がマレーシア代表を辞任したことから、ホン氏の後任がキム氏になるのではと言う噂も出ていましたが、その通りになった格好です。

今季2024/25シーズンのACLエリート(ACLE)に出場する蔚山現代FCは、やはりマレーシアからACLEに出場するジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と同じ組になれば、キム監督率いる蔚山現代FC対かつて指導した代表選手が主力のJDTというカードも考えられます。

キム前代表監督「代表よりクラブを優先する選手がいたことは残念だった」

そのキム・パンゴン前マレーシア代表監督は、マレーシア人選手の中に代表よりクラブを優先する者がいたことは残念だったと、メディアの取材で述べていたことが明らかになりました。

スポーツ専門サイトのアストロ・アリーナとのインタビューでは、キム前監督はマレーシア代表の選手に対して「愛国心」を植え付けることができなかったことが心残りだと話しています。(ここでの「愛国心」とはクラブより代表チームを優先することを指しています。)

「代表選手たちの持つ『愛国心』は薄っぺらで、本来、最優先すべき代表チームを優先しない選手たちがいた。そう言った選手たちに「愛国心」を教え込もうとしたが、残念ながら成功しなかった。」

「国のために戦うと言う精神の重要性を選手たちは知るべきだが、自分にはそれを選手たちに理解させることができなかった。選手たちはプロなので、あまり言いたくはないが、それでも、選手からはもう少し「愛国心」を見せてもらいたいと思う場面は何度もあった。」とキム前監督は話しています。

マレーシア代表監督時には、FIFA国際マッチカレンダー外に開催された東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権に出場した代表チームに所収された選手をジョホール・ダルル・タジムFCが拒否したり、また今年のW杯アジア2次予選では、やはりFIFA国際マッチカレンダー前に代表合宿を開催するも初日に集まったのはわずか数名だったりと、を自分が招集したい選手を招集できませんでした。クラブからすれば何ら規定違反はしていませんが、キム前監督は繰り返し協力と理解を求める発言を何度も繰り返すなど、選手たちの熱い気持ちと姿勢を見たかった、と言うことだったのかも知れません。

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