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FIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選第1節-マレーシアはロスタイムの逆転ゴールで白星発進

アジア各地でFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選が各地で開幕しています。予選B組では大阪で日本がミャンマーに5-0と完勝していますが、このミャンマー代表はかつてマレーシアスーパーリーグのスランゴールFCで監督を務めたミヒャエル・ファイヒテンバイナー氏が今年3月に監督に就任、また日本戦に先発したDFチョー・ミン・ウー(PDRM FC)とFWハイン・テット・アウン(ヌグリスンビランFC)はマレーシアスーパーリーグでプレーする選手です。

東南アジアの他国に目を転じると、タイとシンガポールが入ったC組ではタイはホームで中国に1-2、シンガポールはアウェイで韓国に0-5でそれぞれ敗れています。また東南アジアの3チームが集まったF組ではベトナムがアウェイでフィリピンに2-0で勝利した一方で、インドネシアはアウェイでイラクに1-5で完敗しています。

そしてD組では直近のFIFAランキング137位のマレーシアが同97位のキルギスとホームのブキ・ジャリル国立競技場で対戦し、両チーム合わせて7ゴールの大味な試合を制して勝点3を挙げています。

マレーシアのキム・パンゴン監督は就任以来、最終ラインについては左右にラヴェル・コービン=オングとマシュー・デイヴィーズのジョホール・ダルル・タジムFCコンビを、そしてセンターバックには右ディオン・クールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)とドミニク・タン(サバFC)を起用する4バックを採用してきました。しかしこの試合ではそのシステムを変更し、両サイドバックを高い位置に配置し、中央にシャールル・サアド(ジョホール・ダルル・タジムFC)、右にクールズ、左にタンの両選手を並べる3-4-3を選択しています。(以下はこの試合のマレーシアの先発XI)

試合はホームのマレーシアが試合開始とともに積極的に仕掛け、7分にはアリフ・アイマンの右コーナーキックにクールズが頭で合わせ、マレーシアがあっさりと先制します。この先制点で勢いづくマレーシアはその後も攻め続けますが追加点を奪えず、その間にキルギスが徐々にペースを掴み始めます。

そして42分には2度のシュートをGKシーハン・ハズミが防いだものの、最後はこぼれ球をフリーになっていたDFカイラット・ジャルガルベックに押し込まれて同点とされます。さらにその2分後にはGKエルジャン・トコタエフからのロングフィードをかつてPKNS FCでプレーしていたタミルラン・コズバエフがつなぎ、最後は今季途中までスーパーリーグのクランタン・ユナイテッドでプレーしていたFWエルニスト・バトゥルカノフがDFシャールル・サアドをかわして逆転ゴールを叩き込み、ついにキルギスが逆転します。試合後にキム監督が指摘しているように、早い時間帯でリードしたことでいわゆるボールウォッチングの場面が目立ち、慢心とも取れるプレーが見えていたマレーシアにとってはあっという間の逆転劇でした。

1点のリードを許して前半を折り返したマレーシアですが、同点ゴールを狙って前掛かりになる中、後半の57分にはゴール前の混戦から途中出場のFWカイ・メルクに代表初ゴールを許し、キルギスがリードを2点に広げます。この場面も選手の戻りが遅く、キルギスがゴール前で数的有利を作っての得点でした。

これまでのマレーシアならここから意気消沈してしまうところですが、この試合は違いました。キム監督はここでDFシャールル・サアド、MFでボランチのブレンダン・ガン、そしてこの試合では見せ場がなかったFWダレン・ロックに代えて、エンドリック・ドス・サントスとパウロ・ジョズエのブラジル出身のMFコンビとFWアキヤ・ラシドを投入し、より攻撃的な布陣でゴールを目指します。そしてこれが功を奏した57分、右サイドからアリフ・アイマンが持ち味のドリブルで持ち込むと、飛び出したGKとゴールポストの間に絶妙なボールを送り、キルギスDFクリスティアン・ブローズマンのオウンゴールを誘って、1点差に詰め寄ります。

そして77分には先制点の再現映像を見ているのか思うようなアリフ・アイマンの右コーナーキックから再びディオン・クールズが頭で合わせて、マレーシアはついに同点に追いつきます。しかしその後は両チームとも一進一退を繰り返し、試合は90分を過ぎてロスタイムに入りますが、引き分けでなく勝点3が欲しいマレーシアは、またもアリフ・アイマンが右サイドをドリブルでこじ開け、最後はゴール前のファイサル・ハリムへパス。これをノートラップで蹴り込んだシュートが決まり、マレーシアは4-3とし劇的な逆転劇は幕を閉じました。

このブログでも取り上げた通り、チケットの売り上げが伸び悩んだこの試合でしたが、1万7000を超えるサポーターにとっては記憶に残る文字通りの激勝でした。なおマレーシアの次戦は11月21日の台湾戦(アウェイ)となっており、ホームでのW杯予選は来年3月21日のオマーン戦となっています。

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組第1節
2023年11月16日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
観衆:17,142人
マレーシア 4-3 キルギス
⚽️マレーシア:ディオン・コールズ2(7分、77分)、クリスティアン・ブローズマン(72分OG)、ファイサル・ハリム(90+3分)
⚽️キルギス:カイラト・ジュルガルヴェク(42分)、エルニスト・バトゥルカノフ(44分)、カイ・メルク(57分)
🟨マレーシア(2):ディオン・コールズ、アリフ・アイマン
🟨キルギス(2):グルシジット・アリクロフ、アディルジョン・アブドゥラフマノフ

試合のハイライト映像はスタジアム・アストロの公式YouTubeチャンネルより

なおD組のもう1試合はFIFAランキング位のオマーンが同位の台湾と対戦し、ホームのオマーンが3-0で台湾を下し、勝点3を獲得してマレーシアと並んだものの、得失差でD組首位に立っています。

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組第1節
2023年11月16日@スルタン・カーブース・スポーツコンプレックス(マスカット、オマーン)
オマーン 3-0 台湾
⚽️オマーン:オマル・アル=マルキ(17分)、アフメド・アル=カアビ(41分)、マタズ・サレー(90+1分)
🟨オマーン(1):アフメド・アル=カアビ
🟨台湾(3):コアメ・アンジュ・サミュエル・游家煌(ユー・チーホアン)、游耀興(ユー・ヤオシン)

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組順位(第1節終了)

チーム 得失差 勝点
1 オマーン 1 1 0 0 3 0 3 3
2 マレーシア 1 1 0 0 4 3 1 3
3 キルギス 1 0 0 1 3 4 -1 0
4 台湾 1 0 0 1 0 3 -3 0
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