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3月28日のニュース
今日の香港戦を前にアリフ・アイマンとエンドリックがチームを離脱
香港代表監督は昨年の対戦とは違う試合になると自信を見せる

今年1回目のFIFA国際マッチカレンダーの2試合目として、本日はマレーシア代表(直近のFIFAランキング145位)と香港代表(同146位)が対戦します。マレーシア代表のキム・パンゴンがかつて指揮を取っていた香港代表とは、昨年6月に国際親善試合で対戦していますが、このときはサファウィ・ラシド(タイ1部ラーチャブリーFC)とサフィク・ラヒム(ジョホール・ダルル・タジム)のゴールで2-0で勝利しています。一昨日はシンガポールで開催されたマーライオンカップ2023決勝で、マレーシアU22代表は香港U22代表を2-1で破って優勝していますが、A代表もU22代表に続けるのでしょうか。

今日の香港戦を前にアリフ・アイマンとエンドリックがチームを離脱

1−0で辛勝した3月23日のトルクメニスタン戦では、先発どころかベンチ入りすらしていなかった若きエース、アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム、JDT)ですが、マレーシア代表のキム・パンゴン監督は、マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookに声明を発表し、アリフ選手が負傷により、すでに代表合宿を離脱していることを明らかにしています。マレーシアの通信社ブルナマなど複数のメディアは、合宿中にアリフ選手の姿が見えないことを報じており、SNS上でもこれまでに様々な憶測が飛び交っていました。

また同じ声明では、トルクメニスタン戦では先発しながら、スーパーリーグのような躍動感が全く見られなかったエンドリック・ドス・サントス(JDT)についてもやはりケガのため代表合宿離脱が発表されています。エンドリック選手については、この負傷がトルクメニスタン戦で負ったものかどうかは明らかにされていません。

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トルクメニスタン戦に出場したエンドリック選手はまだしも、代表合宿に招集されながらケガのため離脱と説明されたアリフ選手には、そもそも招集するのに十分な体調だったかのかどうかが疑問です。しかし、その一方で今季開幕から5連勝で首位に立つJDTでは、アリフ選手はここまで3ゴール3アシスト、エンドリック選手は3ゴールといずれもチーム躍進の立役者であり、この両選手が他の選手より先に代表合宿を離脱し、今週3月31日に予定されている勝点差2で迫る2位サバとの首位攻防戦に「休養十分」でシラーっと先発フル出場するのかどうかが個人的には気になります。サバは代表合宿にダレン・ロック、スチュアート・ウィルキン、ドミニク・タンが「拘束」されている上、香港戦に彼らが出場することになれば、リーグ戦視点では代表戦は「罰ゲーム」のように見えてしまいます。

香港代表監督は昨年の対戦とは違う試合になると自信を見せる

本日の香港戦を前に記者会見が行われ、香港側からはヨルン・アンデルセン監督とツイ・ワンキット(徐宏傑)選手が出席し、その席上でアンデルセン監督は、かつて対戦したマレーシアとは様変わりした様子に驚いたと話していると、英字紙スターが報じています。

ノルウェー出身ながら現役時代の大半をドイツで過ごしたアンデルセン監督は、1992年に在籍したアイントラハト・フランクフルト時代にはブンデスリーガ初となる外国籍選手の得点王となっています。引退後は指導者に転じ、2008年には現リバプール監督のユルゲン・クロップ氏がドイツ1部のボルシア・ドルトムント監督就任のために退団したFSVマインツ05の監督に就任し、クロップ前監督が果たせなかった1部昇格を果たしています。

このアンデルセン監督がマレーシアと対戦したのは2016年5月から経済制裁の影響で2018年3月に退任した北朝鮮代表監督時代のことでした。AFC選手権アジアカップ2019年大会3次予選で対戦したマレーシアと北朝鮮はホーム、アウェイの2試合とも北朝鮮が4-1で勝利していますが、その当時を振り返ったアンデルセン監督は、「6年前に対戦した北朝鮮代表監督時代は、マレーシア代表を難なく破ったが、現在のマレーシアは大きくメンバーが変わっているだけでなく、半数近くが帰化選手で占められており、チームのレベルは明らかに上がっているのは明らかだ。」と述べています。

昨年6月1日に対戦している両チームですが、このときはマレーシアが2-0で勝利しており、当時も香港代表を率いていたアンデルセン監督は、高い位置からのプレスをかけ、果敢にボールを奪いにくるマレーシアのスタイルは理解しており、それを踏まえた上で前回の対戦とは違った香港代表のプレーを見せられるだろうと述べる一方で、今回のチームはブラジル出身の帰化選手DFエリオとFWマット・オー(いずれも香港1部傑志体育会)と主力を欠くメンバーであることも明かしています。

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上で取り上げた北朝鮮対マレーシア戦は、3度の延期という紆余曲折の末に開催された試合でした。北朝鮮の平壌で予定されていた2017年3月28日の試合は、同年2月13日に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害されたことによる両国の関係悪化による互いの国民の渡航禁止、さらには両国による大使館員帰国などの措置が講じられたことから延期されました。(マレーシアは北朝鮮と国交があり、北朝鮮大使館もあります。)

その後、両国間で徐々に緊張は和らぎ、マレーシア政府による渡航禁止が解除になったことから、試合は一度は6月8日に平壌で開催されることに決まりました。ただし、渡航後の選手の安全を不安視したマレーシア政府は朝鮮半島の核による緊張の高まりなども受け、国民の北朝鮮渡航を再び禁止し、この試合の北朝鮮国外の中立地での開催をアジアサッカー連盟AFCに求めました。これを受けたAFCは朝鮮半島の「地政学上の緊張状態」を理由に2度目の延期を決定し、同年10月に開催することを発表しました。

10月5日と試合日程が決まると、同年9月には、当時のマレーシア・サッカー協会FAMの会長だったジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下(当時、現ジョホール・ダルル・タジム オーナー)が、北朝鮮大使とマレーシアで会談し、その席上で選手および関係者の安全について話し合いました。会談後には、それまでは「北朝鮮で選手は毒を盛られる可能性がある」とも話していたトゥンク・イスマイル会長は、自身が希望するタイミングでいつでも直接入国することができると北朝鮮側から通達されたことを明かしていました。

しかしその直後に今度はマレーシア外務省が、北朝鮮のミサイル発射が続き、朝鮮半島の緊張が拡大したとして、全てのマレーシア国民の北朝鮮への渡航を禁止したことから、試合の1週間前となる同年9月28日にAFCは3度目となる試合の延期を発表しました。

そして3度の延期を経たこの対戦は、北朝鮮のホームゲームは同年11月10日に、マレーシアのホームゲームは3日後の11月13日に、いずれも中立地のタイで行われることで決着した経緯があります。

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