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2023マレーシアスーパーリーグ チーム紹介(4) クランタンFC、クチンシティFC、クランタン・ユナイテッドFC、PDRM FC、ペラFC

クランタンFC

<ホームスタジアム>
スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル-22000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-2位(18試合11勝4分3敗 得点27失点14勝点37)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-1回線敗退
<主な新規加入選手>
FWヌハ・マロング(ガンビア、インド2部ラジャスタン ユナイテッドFCから移籍)
FWイスマヒル・アキネード(ナイジェリア、前バングラデシュ1部シェイク・ラッセルKC)
FWレオナルド・ロロン(アルゼンチン、前アルゼンチン2部CAミトレ)
MFマリオ・アルケス(スペイン、前ベトナム1部ソンラム・ゲアンFC)
MFカルリ・デ・ムルガ(フィリピン、ジョホール・ダルル・タジムから移籍)
MFカン・イーチャン(韓国、韓国1部江原FCから移籍)
DFミゲル・シフエンテス(スペイン、前スペイン2部UDイビザ)
DFキム・ミンギュ(韓国、韓国1部浦項スティーラーズFCから移籍
DFクリスティアン・ロンティーニ(フィリピン、ペナンFCから移籍)
FWカイリル・アヌアル(サラワク・ユナイテッドから移籍)
MFジェラルド・ガディット(サバFCから期限付き移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ)

<チーム概要>
2012年にリーグ優勝、マレーシアカップ優勝、マレーシアFAカップ優勝の国内三冠を達成したこともある名門のクランタンFCは、国内三冠達成後から凋落が始まり、2019年にプレミアリーグに降格すると、選手への給料未払い問題が明らかになり、プレミアリーグでも低迷を続けました。しかし2020年シーズン終了後、チームオーナーがクランタン州サッカー協会からビジネスマんのノリザム・トゥキマン氏に代わりました。ノリザム氏は資金を投入してチーム再建に着手し、クラブをスーパーリーグに復帰させています。
昨季は2部プレミアリーグで2位となり、リーグ改変がなくともスーパーリーグ昇格を果たしていたクランタンFCは今季、元韓国代表でJリーグ大分でもプレー経験があるチェ・ムンシク氏を新監督に迎え、5シーズン振りのスーパーリーグへ挑みますが、昨季の外国籍選手5名はシーズン途中から加入した原健太選手を含めて全員が退団し、今季の外国籍選手枠上限の9名を獲得しています。
オーナーのノリザム氏は今季の目標としてトップ10入りを挙げていますが、外国籍選手以外は比較的若い選手で構成されたチームでもあり、うまくハマれば台風の眼になる可能性もありますが、歯車が狂い出すと苦しいシーズンになる可能性もあります。

<注目選手>
FWヌルシャミル・アブドル・ガニ
昨季のプレミアリーグではチームトップ、プレミアリーグでも3位となる8ゴールを挙げたヌルシャミル選手ですが、その実力は果たしてスーパーリーグでも通用するのか。昨季のFAカップでPJシティFCとクランタンFCが対戦した際に、このヌルシャミル選手の実際のプレーを見る機会がありましたが、シーズンが始まったばかりということもあったでしょうが、素人目ではスーパーリーグのPJシティFC相手では、当たられた際の身体の強さも感じず、怖さを感じさせることなくプレーしていた印象です。そんなヌルシャミル選手がトップリーグでどのようなプレーを見せてくれるのかに注目です。

クチンシティFC

<ホームスタジアム>
サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン-20000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-4位(18試合10勝4分4敗 得点30失点20勝点34)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手>
FWスディ・アブダラ(ブルンジ、イラク1部アル・ナフトFCから移籍)
MFシロジディン・クジエフ(ウズベキスタン、ウズベキスタン1部ネフチ・フェルガナから移籍)
DFセリオ・サントス(ブラジル、タイ2部カセサートFCから移籍)
GKジュリアン・シュワルツァー(フィリピン、フィリピン1部ADTから移籍)
MFアルハム・クッシャイリ(UITM FCから移籍)
DFバドルル・アフェンディ(サバFCから移籍)
DFカイヨム・マルジョニ(クランタン・ユナイテッドFCから移籍)
DFアルハム・クッシャイリ(UITM FCから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ。)

<チーム概要>
スーパーリーグには創設から100年を超えるチームがある中、2015年創設と比較的新しいチームのクチンシティFCは、2019年の入れ替え戦で当時2部のサラワクFA(現サラワク・ユナイテッドFC)を破って2部プレミアリーグに昇格し、それから4年でクラブ史上初となる1部スーパーリーグ昇格を果たしてます。
2021年にはトレンガヌFA(現トレンガヌFC)でリーグ準優勝を2度経験しているイルファン・バクティ監督が就任すると、2021年は5位、そして昨季2022年は3位となり、リーグ改変がなくともスーパーリーグ昇格を果たすほどのチームになっています。昨季いっぱいで退団を表明していたイルファン監督が残留した今季は、昨季のリーグ得点王アブ・カマラ(リベリア)、そして守備陣を支えたいずれもチーム在籍3年目となるアイルトン(ブラジル)、谷川由来の両選手が残留する一方で、初のスーパーリーグ参戦に向けてFWスディ・アブダラ(ブルンジ)、MFシロジディン・クジエフ(ウズベキスタン)、DFセリオ・サントス(ブラジル)そしてGKジュリアン・シュワルツァー(フィリピン)を獲得しています。
昨季はとにかくアブ・カマラにボールを集めるスタイルに徹したクチンシティFCですが、そのカマラ選手が自由にプレーさせてもらえない時に新加入のスディ・アブダラがどのようなプレーを見せるかが、チームの順位に直結しそうです。

<注目選手>
FWアブ・カマラ
昨季は2部プレミアリーグで11ゴールを挙げた得点王が、果たしてスーパーリーグで通用するのか。通用すれば、スーパーリーグを掻き回す存在になれるでしょうし、通用しなければ、今季は入れ替え戦がなくて良かった、という順位に終わる可能性があるクチンシティFCでは、単純にそこだけが注目ポイントです。

クランタン・ユナイテッドFC

<ホームスタジアム>
スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル-22000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-5位(22試合6勝7分5敗 得点23失点19勝点25)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWダヴィット(ブラジル、前アルバニア1部KFティラナ)
FWグレゴリ(ブラジル)
FWホセ・エルメル・ポルテリア(フィリピン、キリヴォン・ソク・セン・チェイFCより移籍)
MFエルニスト・バトゥルカノフ(キルギス、キルギス1部FCアブディシュ・アタ・カントから移籍)
MFモルガロ・ゴミス(セネガル、スコットランド3部クライドFCから移籍)
DFヤン・ヴィクトル・シルバ・パイシャン(ブラジル、韓国2部忠北清州FCから移籍)
FWシャズワン・ザイノン(クダ・ダルル・アマンFCから移籍)
FWインドラ・プトラ・マハユディン(ペラFCから移籍)
FWアキル・ヒルマン(ペラFCから移籍)
DFシャズワン・ザイポル(ペナンFCから移籍)
FW S・シャルヴィン(スランゴールFC2から移籍)
FWディルガ・スルディ(サバFCから移籍)
DFラティフ・スハイミ(ペナンFCから移籍)
DFアフマド・タスニム・フィトリ(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
GKアシラフ・オマル(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ。)

<チーム概要>
昨季在籍した本山雅志、深井脩平両選手と東山晃テクニカルディレクターが去り、日本人選手路線から方向転換をしたクランタン・ユナイテッドFCは、新監督に元ペナンFCのトマス・トルチャ氏(チェコ)を据えて、クラブ史上初のスーパーリーグに臨みます。
外国籍選手は全員が新加入でダヴィッドとグレゴリーの両FWはいずれもブラジル出身で、ここに東南アジア枠のFWホセ・エルメル・ポルテリアが加わります。中盤はMFエルニスト・バトゥルカノフ(キルギス)、MFモルガロ・ゴミス(セネガル)、ディフェンスはDFヤン・ヴィクトル・シルバ・パイシャン(ブラジル)といった正直なところ、その実力はいずれも未知数のメンバーです。
しかし今季のクランタン・ユナイテッドで注目したいのはむしろ新規加入のマレーシア人選手です。良く言えばリーグ経験が非常に豊富な、悪く言えば選手としてのピークを過ぎたような選手を大量に獲得しています。インドラ・プトラ・マハユディンを筆頭にシャズワン・ザイノン、アブドル・ラティフといった選手たちは前の所属チームでは出場機会を減らしていた選手たちですが、2部プレミアリーグが中止となっていることから降格の心配もなく、若い選手中心のクランタン・ユナイテッドFCにとっては、この「ベテラン」の力を借りて若い選手を育てていくシーズンとなるかもしれません。そういった意味ではトルチャ監督の手腕が試されるシーズンといっても良いでしょう。

<注目選手>
FWインドラ・プトラ・マハユディン
今季で選手生活21年目を迎えるインドラ・プトラ選手。国内リーグは400試合近くに出場し、150以上のゴールを挙げています。またパハンFA(現スリ・パハンFC)やクランタンFA(現クランタンFC)でリーグ優勝も経験している41歳は、昨季は若手中心のペラFCで9試合に出場しています。前述した通り、今季のクランタン・ユナイテッドFCもチームとして若返りを図る中で、このインドラ・プトラ選手は自身のプレーでこれまでの経験を伝えていくことになりそうです。ただしインドラ・プトラ選手への依存が高まるようなことがあれば、入れ替え戦のない今季は残留できても、来季以降は苦しい戦いを強いられることになります。

PDRM FC

<ホームスタジアム>
MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ-25000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-6位(18試合6勝3分9敗 得点20失点28勝点21)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-1回戦敗退
<主な新規加入選手>
FW鈴木ブルーノ(日本、タイ3部バンコクFCから移籍)
FWウチェ・アグバ(ナイジェリア、サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
FWチュクウ・チジョケ(ナイジェリア)
MFジャック・フェイ(セネガル)
MFチョー・ミン・ウー(ミャンマー、ミャンマー1部ヤンゴン・ユナイテッドより移籍)
DFジェームズ・オクウォサ(ナイジェリア、クウェート1部アル・シャバブより移籍)
DFマーカス・マコーレー(リベリア、ヨルダン1部モグハイェア・アル=サーハンより移籍)
GKラマダン・ハミド(UITM FCから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ。)

<チーム概要>
PDRM FCは、昨季からは守備的MFファディ・アワド(ヨルダン)が残留しただけで、そのほかに7名の外国籍選手が加入しています。特にトランスファーウィンドウ終了直前に加入が決まったFWチュクウ・チジョケ(ナイジェリア)とMFジャック・フェイ(セネガル)については、Transfermarktにも前所属などの記録が見つからず、どんな選手なのかが全く不明です。その一方で、昨季はサラワク・ユナイテッドで、その前はマラッカ・ユナイテッドでプレーしたウチェ・アグバや2シーズンぶりにマレーシアに復帰を果たした鈴木ブルーノ選手などもMリーグ経験者も獲得しています。とは言え、昨季は給料未払い問題により新戦力獲得をFIFAから禁止され、U21やU19の選手で構成されたペラFCやスランゴールFCのセカンドチームのスランゴール2と変わらない18得点25失点(18試合)から新規獲得選手がどのくらい戦力をアップさせてくれるのかに、チームの順位がかかっています。

<注目選手>
2017年にヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)でMリーグでプレーを始めた鈴木ブルーノ選手。その後はトレンガヌFA(現トレンガヌFC)、PDRM FCとプレーした後、昨季2022年途中からはタイ3部のバンコクFCでプレーした後、2年ぶりにPDRM FCに復帰しました。1部スーパーリーグと2部プレミアリーグ(今季は中止)合計62試合で29ゴールを記録し、マレーシアでのプレー経験も豊富なブルーノ選手は、前述したように深刻な得点力不足のチームにとって即戦力のフォワードとして期待されています。

ペラFC

<ホームスタジアム>
ペラスタジアム(ペラ州イポー-27000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-9位(18試合5勝2分11敗 得点16失点30勝点-給料未払いにより勝点9が剥奪されています。)
マレーシアカップ-プレミアリーグ上位4チームに入れず出場資格なし
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWクリスチャン・オビオゾール(ナイジェリア、レバノン1部タダモン・スルから移籍)

FWハディ・ファイヤッド(J2岡山から移籍)
FWスニル・チャンドラン(PJシティFC から移籍)
FWアミルル・アクマル(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
FWシャフィジ・イクマル(クチンシティFCから移籍)
FWファーミ・ダニエル(スランゴールFC2から移籍)
MFオズウィン・リム(PJシティFC から移籍)
MFハスヌル・ザイム(スリ・パハンFCから移籍)
MFファディル・イドリス(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
DFファーミ・ダニエル(スランゴール2から移籍)
DFシヴァン・ピレイ(PJシティFCから移籍)
DFファリス・ズディハム(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
DFフェリックス・アドリアーノ(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
DFハジック・プアド(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
DFラジャ・イムラン(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
DFハフィザル・モハマド(トレンガヌFCから移籍)
GKブライアン・シー(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
GKフィルダウス・イルマン(PDRM FCから移籍)
GKトーフィク・アル=ラシド(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ。)

<チーム概要>
昨季のペラFCは、給料未払い問題未解決を理由に新規選手獲得を禁止されたことから、U19やU21チームの選手をやりくりしてシーズン前半を戦いました。2度目のトランスファーウィンドウでは新たな選手との契約を結ぶことが許されたものの、資金難から大型補強はできず、昨季は10チーム中で9位となりました。それでも昨季終了後に通信事業やIT関連企業を運営するXOX社が新たなオーナーとなったことで経営は安定し、その後就任したのがリム・ティオンキム監督です。
現役時代はヘルタ・ベルリン(ドイツ)やUDイビザ(スペイン)でプレーした後、バイエルン・ミュンヘンのユースでコーチをしていたリム監督は、マレーシア開催となったAFC U16アジアカップでマレーシアU16代表監督を務めるために帰国しましたが、チームはグループステージで敗退しました。ユースの指導経験が豊富ではあるものの、トップチームの指導経験はない中、今季ペラFCの立て直しを任されたリム監督ですが、今季は育成の年として若い選手を起用する方針を明らかにしているものの、クラブ創設100年を超えるチームのサポーターは2季ぶりの復帰となったチームへの期待は高く、育成とは言え成績が悪化すれば、リム監督への不満の声も聞こえてきそうです。
そんなチームに欠かせない外国籍選手ですが、ルチアーノ・ゴイゴチェア(アルゼンチン)、サンディ・アフォラビ(ナイジェリア)の両MFは残留した一方で、FWクリスチャン・オビオゾール(ナイジェリア)を獲得しましたが、さらに開幕直前にはDFシム・ヒョンキ(韓国4部平澤市民FCから移籍)、GKイ・ジュハン(前オーストリア3部ATSVシュタッドル=パウラ)、FWソ・ソンウン(スペイン5部C.D.トゥイージャ)の3名の韓国出身選手を獲得しています。ただし、この3選手はプレシーズンでの不振を見た経営陣がリム監督の意思に反して獲得したといった報道もあります。
いずれにせよ今季のスーパーリーグ最下位候補の1つであることは明らかで、外国籍選手が不発に終わると、早い段階でリーグ界に沈む可能性があります。

<注目選手>
FWハディ・ファイヤッド
U19、U23とマレーシアの年代別代表では飛び級で活躍してきたハディ選手ですが、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のセカンドチームを退団後、2018年12月にJ2岡山と契約してマレーシア人選手初のJリーガーとなりました。しかし岡山でプレーすることはなく、出場機会を求めて期限付き移籍したJ3沼津でも膝前十字靭帯損傷の大ケガなどもあり、2年間で3試合出場にとどまり、昨年オフに出身地のペラ州を本拠地とするペラFCと2年契約を結んでいます。
ハディ選手は、リム監督が指揮を取ることがペラFCとの契約を結ぶ決め手の一つとなったことを明らかにしていますが、今年23歳ながらハディ選手には自分より若い選手も多いペラFCでは主力としての活躍が求められます。

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