ボラセパマレーシアJP

2023マレーシアスーパーリーグ チーム紹介(3)
スリ・パハンFC
クダ・ダルル・アマンFC
ペナンFC

スリ・パハンFC

<ホームスタジアム>
ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン-40000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-7位(22試合8勝4分10敗 得点33失点31勝点27)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手>
FWクパー・シャーマン(リベリア、トレンガヌFCから移籍)
FWルーカス・シルヴァ(ブラジル、ペナンFCから移籍)
DFステファノ・ブルンド(アルゼンチン、アルゼンチン2部エストゥディアンテス・ブエノスアイレスから移籍)
DFマイケル・グラソック(オーストラリア、オーストラリア1部シドニー・オリンピックFCから移籍)
FWシャミー・イスズハン(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
DFファドリ・シャス(JDTから移籍)
DFアズリフ・ナスルハク(JDTから期限付き移籍)
DFシャズワン・アンディック(JDTから期限付き移籍)
GKイルハム・タルミジ(JDTから期限付き移籍)

今季ユニフォーム(左からホーム、アウェイ、サードユニフォーム)

<チーム概要>
2021年には元米国代表でフィリピン代表監督も経験したトーマス・ドゥーリー、2022年にはそのドゥーリー氏がコーチとして連れてきたクリストフ・ギャメルと、いずれもシーズン途中で監督を更迭したスリ・パハンFCは、3年連続となる新監督に昨季はチームのテクニカルディレクターを務めたシンガポールのレジェンド、ファンディ・アフマド氏を迎えています。
ファンディ監督のもとで新体制となったスリ・パハンは、DFシェルゾド・ファイジエフ(ウズベキスタン)、MFケヴィン・イングレッソ(フィリピン)の両外国籍選手を残留させた一方で、シーズン後半に加入し13試合でチーム最多となる9ゴールを挙げたスティーヴン・ロドリゲス(ブラジル)との契約を延焼せず、またチーム2位の7ゴールを挙げたリーグ屈指のMFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)もチームを去るなか、昨季はトレンガヌFCで6ゴール(14試合)を挙げたFWクパー・シャーマンを獲得しています。これまでスーパーリーグでは61試合で39ゴールを挙げたシャーマン(リベリア)選手に加え、昨季はペナンFCで6ゴール(11試合)を挙げたFWルーカス・シルヴァ(ブラジル)といずれもスーパーリーグ経験者FW2名を獲得しています。
またDF陣はいずれも190cmを超えるセンターバックのステファノ・ブルンド(アルゼンチン)、マイケル・グラソック(オーストラリア)が加わり、またJDTから大挙4名の選手(DF3名、GK1名)を期限付き移籍で獲得するなど、今季リーグ上位争いの大穴になりそうなのが今季のスリ・パハンFCです。

<注目選手>
MFアザム・アジー、MFエゼキエル・アグエロ
上では今季のスリ・パハンFCが「今季リーグ上位争いの大穴になりそう」と書きましたが、その鍵を握るのがこの両代表選手です。近年はケガを押して出場を続けているアザム選手は、以前のような自陣深くから相手サイドへの正確なロングパスなどは見られなくなっているものの、それでもスリ・パハンの司令塔として昨季は20試合に出場しています。その才能から毎年オフになると移籍が噂されますが、地元愛からか今季もスリ・パハンFC残留を決めたアザム選手は、自身の代表復帰のためにも今季の復活が期待されます。
また昨年マレーシア国籍を取得したアルゼンチン出身のアグエロ選手は、代表初招集となった昨年末のAFF選手権でもゴールを決めるなど、帰化手続きにより昨季プレーできなかった鬱憤を晴らすかのような活躍を見せました。スリ・パハンFCで求めらる役割は、クダ・ダルル・アマンFCに移籍したマヌエル・イダルゴが抜けた穴を埋めることです。残留したケヴィン・イングレッソやAFF選手権ではチームメートとしてプレーしたデヴィッド・ローリーらとともにその穴が埋められるかどうかに注目です。

クダ・ダルル・アマンFC

<ホームスタジアム>
ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター-32000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-8位(22試合8勝3分11敗 得点32失点41勝点27)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWウィリアン・リラ・ソウザ(ブラジル、ヴァンフォーレ甲府から移籍)
FWジョナタン・バロッテリ(ブラジル、前韓国2部全南ドラゴンズ)
FWエベネゼル・アシフアー(ガーナ、前フランス2部ポーFC)
MFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン、スリ・パハンFCから移籍)
MFマヌエル・オット(フィリピン、トレンガヌFCから移籍)
MFアミルベック・ズラボエフ(タジキスタン、フィリピン1部ユナイテッド・シティFCから移籍)
DFアラン・ロバートソン(南アフリカ、フィリピン1部ユナイテッド・シティFCから移籍)
DFボヤン・シガル(セルビア、ウズベキスタン1部PFCナフバホール・ナマンガンから移籍)
MFリー・タック(スリ・パハンFCから移籍)
GKカラムラー・アル=ハフィズ(PJシティFCから移籍)
GKフィクリ・チェ・ソー(クランタン・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ)

<チーム概要>
シンガポール出身のアイディル・シャリン監督が就任した2019年は4位、そこから2020年2位、2021年2位と順調に力をつけていったクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)でしたが、昨季は何故か外国籍選手を総入れ替えし、さらにマレーシア人選手の中心選手だったバドロル・バクティアルやリザル・ガザリなども放出するなど全く別のチームになった結果、8位となりました。
シーズン終了を待たずに退団したアイディル監督に代わり、昨季までトレンガヌFCの監督を4季務めたナフジ・ザイン氏が新監督に就任したクダFCは、アイディル監督時代には考えられないほど積極的な補強を行い、昨季の8位から今季は一気に上位争いに加わりそうな勢いです。
J2甲府から移籍したウィリアン・リラはJ2では90試合出場18ゴール、前韓国2部全南ドラゴンズのジョナサン・バロッテリはKリーグ2部で58試合で18ゴール(いずれもTransfarmarktによる)を挙げているようですが、前フランス2部ポーFCのエベネゼル・アシフアーも含め、心配なのはどの選手とも湿度の高い東南アジアでのプレーは初めてということ。気候だけでなく反則まがいの激しいプレーも多い中で期待通りの活躍を見せてくれるかどうかは未知数です。
リーグ9位の41失点を喫した守備陣はPJシティFCから代表GKカラムラー・アル=ハフィズ、クランタン・ユナイテッドFCからは正GKのフィクリ・チェ・ソーを獲得した他、アラン・ロバートソン(南アフリカ)、ボヤン・シガル(セルビア)の両センターバックを獲得していますが、外国籍選手出場枠(ピッチ上は3名+アジア枠1名+東南アジア枠1名、この他ペンチ入り1名)もあり、アジア枠はアミルベック・ズラボエフ、東南アジア枠はマヌエル・オットになるので残る3枠をどう割り振るのかがナフジ監督の手腕にかかっています。マヌエル・イダルゴの起用の可能性は高いので、残りはFW1名、センターバック1名が外国籍選手起用の基本線となりそうです。
後は昨季の成績を犠牲にしてまで起用された若手や中堅選手たち、DFではアリフ・ファルハンやアクマル・ザヒル、MFではアル=ハフィズ・ハルンやファズルル・ダネル、FWではファイヤド・ズルキフリなどが、その経験を生かしてチームに貢献できるかどうかがクダFC上位進出の鍵となりそうです。

<注目選手>
MFリー・タック、GKカラムラー・アル=ハフィズ
英国出身のリー・タックは、2017年からマレーシアでプレーし、FIFAによる同一刻のリーグで5年連続でプレーする、という要件を満たしマレーシア国籍を申請、昨季はその国籍取得手続きが長引いたためリーグ戦の出場がありませんでした。それでも念願の国籍取得後には昨年末のAFF選手権に向けたマレーシア代表合宿に初招集されると、JDT勢不在の代表では8試合に出場し、2ゴールを挙げ存在感を示しました。そのタック選手は国籍取得申請を支援したスリ・パハンFCを離れ、今季はクダFCでプレーします。スーパーリーグでの豊富な経験に加え、チームを鼓舞するプレースタイルのタック選手はベテランが少ない今季のクダFCには貴重な存在です。
これまで何度も代表合宿に呼ばれながら、試合出場がなかったカラムラー選手も昨年末のAFF選手権で代表デビューを果たしています。2020年からはPJシティFCの正GKを務め他からムラー選手はスーパーリーグでもトップクラスのGKでもあり、昨季は正GKが決まらず、起用された選手たちがことごと安定感を描いたクダFCには最適な補強となりました。

ペナンFC

<ホームスタジアム>
シティタジアム(ペナン州ジョージ・タウン-20000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-12位(22試合2勝5分15敗 得点22失点45勝点11)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手>
FWジオバネ・ゴメス(ブラジル、SERカシアス・ド・スルから移籍)
FWスーニー・サアド(レバノン、タイ1部PTプラチュワプFCから移籍)
MFアドリアーノ(ブラジル、マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
MFカート・ディゾン(フィリピン、フィリピン1部ユナイテッドFCから移籍)
MFウスマン・ファネ(フランス、英国3部モアカムFCから移籍)
DFゾー・ミン・トゥン(ミャンマー、タイ1部チョンブリーFCから移籍
DFリュウ・ヤマグチ(日本、FCマラガシティアカデミーから移籍)
DFアン・セヒ(韓国、ベトナム1部ホアンアイン・ザライFCから移籍)
FWハディン・アズマン(KLシティFCから移籍)
FWヌル・イザット(スリ・パハンから移籍)
MFニック・アキフ(トレンガヌFCから移籍)
DFアズミール・アリフ(クダ・ダルル・アマンFCから移籍)
DFダニッシュ・ハジック(ペラFCから期限付き移籍)
GKランディ・リニン(UITM FCから移籍)

今季ユニフォーム(上がホーム、下がアウェイ)

<チーム概要>
2020年にマンズール・アズウィラ監督のもと、2部プレミアリーグで優勝し1部スーパーリーグに昇格したペナンFCは、マンズール監督がスーパーリーグで監督を務めるのに必要なAFCプロライセンスを保持していなかったことから、スーパーリーグ参加に向けてチェコ出身のトマス・トルチャ監督が就任しました。
昇格初年度となった2021年は新型コロナの影響でリーグは11試合に短縮されたものの、リーグ3位となる大躍進を見せましたが、監督と経営陣の意見の相違が明らかになると、トルチャ監督を更迭されてしまいました。そして迎えた昨季2022年シーズンは後半はほぼ最下位を独走した後、最終的には11位に勝点差6をつけられて最下位に終わっています。幸いにもリーグ改編により2部プレミアリーグが中止となり、入れ替え戦を逃れることはできましたが、今振り返ってみても、監督交代は経営陣の明らかな判断ミスでした。
今季のペナンFCは、マンズール監督がAFCプロライセンス取得見込み(注:この記事執筆時点ではマンズール監督はライセンス取得ができていません)のため、昨季の監督代行から昇格して指揮を取りますが、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)、トレンガヌFC、クランタンFCとともに外国籍選手枠9名の上限いっぱいまで選手を獲得したチームです。
2021年シーズンの好成績に貢献したブラジルトリオのうち、昨季から残留したのはDFラフェエル・ヴィトール(ブラジル)だけで、MFエンドリック(JDTへ移籍)、FWカサグランデ(ヌグリスンビランFCへ移籍)は退団しています。それでもチームのブラジル路線に変更はなく、昨季までの2シーズンをマラッカ・ユナイテッドFCでプレーし4ゴール(19試合)上げたMFアドリアーノ、そしてFWジオバネ・ゴメス(SERカシアス・ド・スルから移籍)の両ブラジル出身選手を獲得しています。
FW、DF共に新戦力を積極的に獲得したのは、22得点がリーグ最多9位タイ、45失点がリーグ最多2位と、昨季は攻守共に課題が山積みだったことがあります。人数を増やせば解決する問題とは思えませんが、幸いなことに今季も2部プレミアリーグは中止のため2部降格の心配がないので、たとえ今回の大型補強が大失敗に終わっても安心です。

<注目選手>
FWハディン・アズマン、DFリュウ・ヤマグチ
KLシティFCから移籍したハディン・アズマンはフェルダ・ユナイテッドFC(既に解散)時代から見えている選手なのですが、先発で起用されるとそこそこ力を発揮するものの、スーパーサブ的な器用ではあまり効果的な役割が果たせない選手です。フェルダ・ユナイテッド解散後はクダFC、KLシティFCとプレーしたものの、主力としての起用はなく、数字も残せていません。ただ今回所属するペナンFCにはマレーシア人FW/攻撃的MFの人材がおらず、一花咲かせる機会はKLシティFCよりははるかにありそうです。
リュウ・ヤマグチ選手に関しては、transfermarktを見ても何の情報もなく、どんな選手なのかが分からないので、プレーに注目する選手というよりも、そもそもどんな選手なのかを知りたいという感じです。ググってみると、本名はリュウ・クリスティアン・ヤマグチでマレーシア国籍という記述やマラガシティFC所属などという記事も見つかるのですが、詳しい情報が見つからないのが現状です。

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