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AFF選手権準決勝2ndレグ-タイに完敗のマレーシアは2大会ぶりの決勝進出を逃す

s1月10日に行われた東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ準決勝セカンドレグで、マレーシア代表はタイ代表に0-3で敗れ、ファーストレグとの通算成績でも1-3と敗れた結果、2大会ぶりの準決勝進出を逃しています。一方、決勝進出を決めたタイ代表は、もう一つの準決勝でインドネシア代表を破って決勝進出を決めているベトナム代表と大会2連覇を賭けて対戦します。

マレーシアのキム・パンゴン監督は、1-0で勝利していたファーストレグの先発から、4名を入れ替えています。ベトナム戦でレッドカードをもらい2試合の出場停止処分を受けていたアザム・アズミがクェンティン・チェンに代わって右サイドバックに戻り、左サイドバックにはファーストレグで唯一の得点を演出したV・ルヴェンティランに代わり、スランゴールでチームメートとなるファズリ・マズランが入りました。またリー・タックとサファウィ・ラシドに代わり、それぞれムカイリ・アジマルとノー・ハキム・ハサンを起用して前回大会チャンピオンに挑みました。

試合開始直後は高い位置でのプレスをかけていたマレーシアでしたが、それも開始から10分を過ぎた頃には徐々にラインが下がり始め、その後は防戦一辺倒になる場面が続く、ファーストレグとほぼ同じ展開となりました。それでもタイFW陣が好機をことごとく逸する展開に助けられたマレーシアの集中力が切れたのは19分でした。左サイドでフリーとなったティーラトン・ブンマタンからのクロスにティーラシン・デーンダーがシャルル・ナジームとドミニク・タンに挟まれながらも頭で合わせゴール!今大会の得点王争いのトップとなる6得点目を決めたタイのエースの活躍で、ホームのタイが先制します。

ファーストレグでは1-0で勝利しているマレーシアは、このゴールで通算成績が1-1となっただけでしたが、試合開始時と比べると意気消沈したようなプレーが出始めます。チームを鼓舞しようとしたキム・パンゴン監督がタイのアレクサンダー・「マノ」・ポルキン監督とともに、この試合の主審を務めたヨルダンのアドハム・マハドメ主審からイエローカードをもらう場面もありました。これに応えるようにマレーシアは左サイドのノー・ハキム・ハサンからクロスにダレン・ロックが頭で合わせ、この試合最初のシュートは放ちますが、これはタイGKカンポン・ファントムアカックルの正面となり、ゴールを破ることはできませんた。また41分には右サイドでFKを得たマレーシアですが、ムカイリ・アジマルのキックはやはりGKカンポン・ファントムアカックルが難なくキャッチ。その後、両チームとも激しいプレーが続くもスコアは変わらず、前半は1-0とタイのリードで折り返します。

後半に入ると、マレーシアのキム監督はファーストレグで先発したリー・タック、V・ルヴェンティランを投入しますが、この交代では状況は打開できず、むしろ守備に不安のあるV・ルヴェンティランのサイドから崩される展開となりました。55分には右サイドでパスを受けたエカニット・パンヤがペナルティエリア内から出たマイナスのクロスをマレーシアDF陣が完全にフリーにしてしまったボーディン・ファラがゴールして2点目を献上、通算スコアでもついにタイにリードを許しました。さらに71分にはやはりウィーラテップポンファンに右サイドから待ち込まれ、そこからのクロスを今季からMリーグのトレンガヌでプレーするアディサク・クライソーンがシュートするもポストにはじかれますが、そのルースボールに再び詰めてゴール!決定的なタイの3点目が決まるとともに、マレーシアの決勝進出の夢はつい得ました。

9(3)対39(11)。これはマレーシア代表とタイ代表の準決勝2試合を合計したシュート数(枠内へのシュート数)です。マレーシアは枠内シュート3本で1ゴール、タイは枠内シュート11本で3ゴールなので、シュート数に対するゴール数の割合はマレーシアガタイを上回っていますが、2試合で1ゴールでは勝てるはずもありません。また大会通算では6試合で11得点7失点を記録したマレーシアですが、ベトナム、タイといった強豪相手には3試合で1得点6失点と得点力不足が露呈し、この問題の克服がAFC選手権アジアカップ2023への最大の課題となります。

準決勝敗退は残念な結果ではありましたが、見方を変えれば、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)所属選手の大量辞退によって、今回の大会はこれまで出場機会が与えられなかった選手を起用する機会にもなりましたし、また本来ならば代表合宿に呼ばれるかどうかのボーダーの選手を招集し、実戦で試してみる機会でもあったとも言えます。具体的に言えば、ラヴェル・コービン=オングがいないことでV・ルヴェンティランが、マシュー・デイヴィーズがいないことでアザム・アズミやクェンティン・チェンは出場機会を得ることができましたし、ファイズ・ナズミやアフィク・ファザイルが不在なことからスチュアート・ウィルキンやムカイリ・アジマルにフル出場の機会が回ってきたのは事実です。またキム監督も選手をやりくりする中で、ブレンダン・ガンをセンターバックで起用するとそれがはまるなど、選手の新たな可能性も探ることができたのは、選手たちにとって自信になったはずし、JDTの選手たちが代表に戻ってきても、キム監督にとっては今後の選手招集の選択肢を増やすことができた大会となったと言えるでしょう。

また今回の大会は、連日メディアでの注目を浴びたことで、EPLは見てもマレーシア国内リーグは見ない、といったマレーシアサッカーに無関心な層にもアピールしたようで、当初はBチームと呼ばれたメンバーが必死で戦う姿勢は、多くのマレーシア人の興味や関心を集めています。これも今大会はFIFA国際マッチデー期間外であることから、「選手は機械ではないので、休息が必要だ」というど直球の正論で自チームの選手を三菱電機カップに出場させなかったJDTのオーナー、トゥンク・イスマイル殿下がいたからで、殿下にはむしろ感謝しても良いくらいです。

準決勝敗退で2020年シーズンが終了したマレーシアサッカーですが、来月2月24日は2023年シーズンが開幕し、すでに多くのクラブがプレシーズンのトレーニングを始めています。今回代表としてプレーした選手たちにはまずは休息を取り、ケガを治療してもらい、それから来季に向けて準備を始めてもらいたいです。ハリマウ・マラヤ、お疲れ様でした。

AFF選手権三菱電機カップ2022 準決勝2ndレグ
2022年1月10日@タマサード・スタジアム(パトゥムターニー、タイ)
タイ 3-0 マレーシア(通算成績 タイ 3-1 マレーシア)
⚽️タイ:ティーラシン・デーンダー(19分)、ボーディン・ファラ(55分)、アディサク・クライソーン(71分)
🟨タイ(3):エカニット・パンヤ、サーラット・ユーイェン、ウィーラテップ・ポンファン
🟨マレーシア(4):ファイサル・ハリム、ドミニク・タン、エセキエル・アグエロ、サファウィ・ラシド
MOM:アディサク・クライソーン(タイ)

(下の試合のハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

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