ボラセパマレーシアJP

マレーシアカップ2022決勝
ジョホールが逆転勝利でクラブ史上初の国内三冠達成(ハイライト映像他あり)

世間はワールドカップで盛り上がる中、マレーシアでは今季最後の公式戦マレーシアカップの決勝が行われています。マレーシアがまだ英領マラヤだった1921年にマラヤカップとして第1回大会が開催されたこの大会は、太平洋戦争中の中断を経て、マレーシアの成立によりマレーシアカップと名を変えて現在に至り、今回は第96回大会。Mリーグ1部スーパーリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに今季5位のスランゴールが挑む図式となりました

戦前の予想では、コロナ禍の影響で中止された2020年大会を挟み、3大会連続で決勝進出となったJDTが有利の声も多かった一方で、2016年以来6年ぶりの決勝に臨むスランゴールは大会最多の33回優勝を誇り、今年9月に前マレーシア代表監督を務めたタン・チェンホー監督が就任以来、9勝1敗と調子を上げてきていることから、接戦が予想されました。

マレーシアカップ2022決勝
2022年11月26日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
スランゴール 2-0 JDT
⚽️スランゴール:カイオン(45分PK)、ムカイリ・アジマル(分)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(45+2分)、フェルナンド・フォレスティエリ(59分)
🟨スランゴール(2):ムカイリ・アジマル、アリフ・ハイカル
🟨JDT(3):ラヴェル・コービン=オング、フェルナンド・ヴェラスケス、マシュー・デイヴィーズ
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)
準決勝セカンドレグで出場停止となっていたアフィク・ファザイルとフェロズ・バハルディンが先発XIに戻ったJDTのエクトル・ビダリオ監督は、準決勝ファーストレグと同じ4-3-3の布陣を選択、一方のスランゴールは、準決勝セカンドレグで守備の要、センターバックのヤザン・アル=アラブがレッドカードをもらってこの試合出場停止となっており、タン監督は同じヨルダン代表の守備的MFバハ・アブドル・ラーマンを代わりに起用した他、ファーストレグで先発したFWノル・ハキム・ハサンに代えてDFリッチモンド・アンクラを先発させ、やはり4-3-3の布陣を採用しています。
公式発表では7万9988名の大観衆を集めた決勝の勝者には来季のAFCカップ出場権がかかっており、アジアの舞台を目指すスランゴールが試合開始から怒涛の攻撃を見せ、さらに守備では各選手がJDTのパスコースをしっかりと封じ、両サイドのラヴェル・コービン=オング、アリフ・アイマンを機能させず、リーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァまでなかなかボールが渡らない展開でした。
スランゴール攻勢で試合が進む一方で、後期期を活かせない展開が続く中、45分にペナルティエリア内でJDTのマシュー・デイヴィーズがカイオンを倒し、スランゴールがPKを獲得。これをカイオン自身が決めて、スランゴールが1-0とリードします。
しかしJDTも前半終了間際のロスタイムに、スランゴールのペナルティーエリアのすぐ外でレアンドロ・ヴェレスケスが倒され、PKを得ます。このPKは決まらなかったものの、その流れで得たコーナーキックをエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが頭で合わせてゴール!JDTが前半終了間際に追いつき、試合は1-1で折り返します。
しかし後半に入ると、前半飛ばしすぎたのか、スランゴール各選手の運動量が目に見えて落ち始め、JDTの選手の動きに遅れだし、スランゴールはJDTの攻撃をクリアするの精一杯という場面が目立ち始めた59分、ハーフラインからドリブルで持ち込んだアリフ・アイマンが、ゴール前のベルグソン・ダ・シルヴァへ素晴らしいパスが通り、GKと1対1となったシュートはスランゴールGKカイルルアズハン・カリドが反応良く止めたものの、そのセカンドボールに詰めていたフェルナンド・フォレスティエリがこれをゴールし、JDTが2-1とリードします。
この試合で興味深かったのはスランゴールのタン監督の采配です。1-2とリードを許した直後の63分には守備的MFバハ・アブドル・ラーマンに代えてFWノル・ハキムを投入した際には、同時にA代表初招集が発表されたばかりの22歳のDFアリフ・ハイカルも合わせて投入、さらに75分にはエースのカイオンとキャプテンのブレンダン・ガンに代えてU23代表FWコンビのダニアル・アスリとシャヒル・バシャーをピッチに送りこみます。そしてこの若い選手たちはその期待に応えて最後までJDTゴールを脅かすなど、試合には敗れたもの、今季は不安定な戦いを見せたスランゴールに来季への期待を抱かせるプレーを見せてくれました。
またこの試合の結果、マレーシアカップ優勝チームに与えられる来季のAFCカップ出場権は、JDTが既に来季のACL出場権を持つため、スーパーリーグ3位のサバに与えられることになりました。
このマレーシアカップ決勝でMリーグは今季の国内日程を全て終了し、その結果はJDTが国内三冠を達成して幕を閉じました。
以下はマレーシアカップ決勝のハイライト映像、試合後の選手インタビュー、そして試合後の監督の記者会見の様子です。(映像はいずれもMFLのYouTubeチャンネルより)

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ