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マレーシアカップ2022
1回戦結果とハイライト映像(2)

今季のマレーシアのフットボールシーズンのフィナーレとなるマレーシアカップ1回戦の残り4カードで勝者が決まり、ベスト8出場チームが出揃いました。Mリーグ1部スーパーリーグの上位11チーム(ただしリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が解決していないことから出場権が剥奪され、12位のペナンが繰り上がり出場)と2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームは除く)の合計16チームが出場するこの大会の優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられます。

マレーシアのサッカーファンの間ではリーグ戦以上に盛り上がるのがこのマレーシアカップ。その歴史は1921年まで遡ります。かつての宗主国である英国の海軍艦船HMSマラヤから寄贈を受けたカップ「マラヤカップ」の争奪戦として始まったこの大会は、各州代表チームによる対抗戦で行われた、いわばサッカーの「甲子園」。マレーシア成立に合わせ、大会名はマレーシアカップに代わったものの、州対抗戦の伝統は現代にも引き継がれており、自分の出身地の代表チームを応援するサポーターの熱狂の度合いは、決勝戦では8万5000名を超える観客を集めることからもわかるでしょう。

太平洋戦争による戦果の影響のため中断期間があるものの、昨年の大会が創設100周年起点大会、今年の大会が通算96回大会と、先日のヴァンフォーレ甲府の優勝が記憶に新しい天皇杯サッカーと並ぶ、アジアで最古のカップ戦がこのマレーシアカップです。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ユナイテッド 0-2 スランゴール
⚽️スランゴール:カイオン2(37分、63分)
🟨クランタン(1):ニック・アズリ・アリアス
🟨スランゴール(0)
MOM:カイオン(スランゴール)
セカンドレグ
2022年11月1日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-0 クランタン・ユナイテッド(通算スコア:スランゴール 3-0 クランタン・ユナイテッド)
⚽️スランゴール:ニック・アキフ(90+1分OG)
🟨スランゴール(1):アレクサンダー・アギャルクワ
🟨クランタン(0)
MOM:フィクリ・チェ・ソー(クランタン・ユナイテッド)
Mリーグ1部スーパーリーグ5位のスランゴールと2部プレミアリーグ5位のクランタン・ユナイテッドが対戦。シーズン途中でのタン・チェンホー前代表監督が就任以来、スーパーリーグを4戦無敗で終えたスランゴールは、マレーシアカップ1回戦でもホーム、アウェイとも勝利で、チームの無敗記録を6に伸ばしています。
一方、セカンドレグは惜しくもOGで敗れたクランタン・ユナイテッドですが、守備に安定感があるわけではないスランゴール相手に無得点と、来季のスーパーリーグ入りに向けては、攻撃陣の補強が急務となりそうです。
スランゴールはベスト8でヌグリスンビランと対戦します。
クランタン・ユナイテッドの深井修平選手は、ファーストレグ、セカンドレグとも先発して、フル出場し、セカンドレグではキャプテンマークをつけての出場でした。また本山雅志選手は両試合もベンチ入りしませんでした。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 1-2 ヌグリスンビラン
⚽️クダ:ファイヤド・ズルキフリ(7分)
⚽️ヌグリスンビラン:チェ・ラシド(42分)、マテウス・アウヴェス(67分)
🟨クダ(1):サンワット・デーミット
🟨ヌグリスンビラン(2):アナス・ラーマット、ザムリ・ピン・ラムリ
MOM:ヤーセル・ピント(ヌグリスンビラン)
セカンドレグ
2022年11月1日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 0-0 クダ(通算スコア:ヌグリスンビラン 2-1 クダ)
🟨ヌグリスンビラン(1):チェ・ラシド
🟨クダ(2):ヒシャムディン・アフマド、フィクリ・ズルキフリ
🟥クダ(1):シャールル・サムスディン(チームコーディネーター)
MOM:エロルド・グロン(ヌグリスンビラン)
スーパーリーグ4位のヌグリスンビランと同8位のクダが対戦。クダはこのマレーシアカップの前に今年いっぱいの契約が残っていたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督との契約を解除しています。契約解除は健康上の問題と家族の問題によるものとはされていますが、監督就任4年目となったアイディル監督にとっては、一昨年、昨年といずれもJDTに次ぐ2位となりながら、今季開幕前に主力選手の半数近くが移籍し、その代わりに獲得した選手が機能せず、苦しいシーズンでした。そのクダは、アイディル前監督に代わり、ヴィクター・アンドラグ コーチを監督代行に指名しましたが、指導者が代わっても今季を象徴するような得点力不足と不安定な守備は代わらず、1回戦で敗退しています。
ヌグリスンビランは、リーグ戦では1勝1分けと相性の良いクダを相手にしながら、シーズン終盤に調子を落としていた相手に対してファーストレグは1点差勝利、セカンドレグは引き分けと突き放すことができませんでした。ベスト8新種を決めたとはいえ、そこで待ち受けるのは6戦無敗のスランゴール。スランゴール戦ではエース、グスタボが復調するかどうかが鍵になりそうです。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月27日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
PDRM 0-3 KLシティ
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(45+2分、79分)、パウロ・ジョズエ(67分)
🟨PDRM(0)
🟨KLシティ(3):ライアン・ランバート、カマル・アジジ、ケニー・パッラジ
MOM:ジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティ)
セカンドレグ
2022年11月1日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 1-0 PDRM(通算スコア:KLシティ 4-0 PDRM)
⚽️KLシティ:ザフリ・ヤハヤ(89分)
🟨KLシティ(1):ケニー・パッラジ
🟨PDRM(2):アミルル・ヤアコブ、アミル・サイフル
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)
スーパーリーグ6位のKLシティとプレミアリーグ6位のPDRMが対戦。いずれもKLフットボールスタジアムを本拠地とするチームの対戦となり、ファーストレグではKLシティが、セカンドレグではPDRMがアウェイユニフォームを着用して対戦しました。結果は順当にKLシティが2試合連続完封勝ち。2年連続優勝を目指すKLシティが好発進しています。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月27日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 1-5 トレンガヌ
⚽️パハン:スティーヴン・ロドリゲス(43分)
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン3(1分、52分、90+1分)、ニック・シャリフ・ハセフィー(3分)、ファイサル・ハリム(50分)
🟨パハン(1):エセキエル・アグエロ
🟨トレンガヌ(1):マヌエル・オット
MOM:クパー・シャーマン(トレンガヌ)
セカンドレグ
2022年11月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 4-2スリ・パハン(通算スコア:トレンガヌ 9-3 スリ・パハン)
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン2(2分、45分)、ファイサル・ハリム(29分)、アザム・アズミ(35分)
⚽️パハン:リー・タック(71分)、スティーヴン・ロドリゲス(84分)
🟨トレンガヌ(2):アザム・アズミ、アリフ・ファジラー
🟨パハン(2):エセキエル・アグエロ、ケヴィン・イングレッソ
🟥トレンガヌ(1):シャールル・ニザム
MOM:クパー・シャーマン(トレンガヌ)
スーパーリーグ2位のトレンガヌと同7位のスリ・パハンの対戦はいずれもマレー半島東海岸に面した州を本拠地とする両チームの「東海岸ダービー」として白熱した試合が期待されましたが、これがまさかの「クパー・シャーマン祭り」となりました。トレンガヌのクパー・シャーマンは2試合で5ゴール、しかもファーストレグでは開始1分、セカンドレグでも開始2分でゴールをを挙げるなど、1人でスリ・パハンを粉砕しています。
Mリーグで5年間プレーし、マレーシア国籍を取得したリー・タック(英獄)とエセキエル・アグエロ(アルゼンチン)がマレーシアカップから出場可能となったスリ・パハンは、このマレーシアカップではベンチ入り20名中、外国籍選手5名、帰化選手5名と国外出身者が半数を占めるロースターで臨んだものの、通算スコア3-9で大敗しています。孤軍奮闘したマヌエル・イダルゴからは、マレーシア人選手が自信を持ってプレーできていないとと指摘されるなど、外国籍選手や帰化選手だけが奮起してもどうにもならない現実を突きつけられた格好となりました。

 

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